出会いってどこにあるかわからない

養護老人ホームに入所して4年目になる太郎さん(88歳)。

同じ施設に入所して、もうすぐ2年になる花子さん(80歳)。

二人の部屋は隣同士。

毎朝、早くから散歩に出掛ける太郎さんを見て、やがて
花子さんも一緒に散歩をすることに･･

散歩をしながら話をするうち、太郎さんの妻は5年前に他界し、
花子さんの夫は7年前に亡くなったことを知りました。

また、太郎さんには3人の息子が、それぞれ家庭を持ち、独立
していることを･･

花子さんの方は、息子1人、娘1人、やはり、それぞれ家庭を
持って暮らしていることを知りました。

そのうちに太郎さんは、自分が週に2回、楽しみに通っている
水彩画教室へ花子さんを誘いました。

太郎さんの描く淡い色彩の風景画を観て、花子さんは素敵
だと思い、太郎さんに教わりながら水彩画を始めるように
なりました。

こうして二人の距離は縮まって行き、先月初旬にめでたく
結婚することになりました。

それで現在は･･

この養護老人ホーム内で同居しているとのことです。

　　出会いってどこにあるか
　　わからないわね。

穏やかな笑顔を見せながら花子さんは言いました。

　　年を取っても、やっぱり
　　ときめくンだよね。

太郎さんも、少し照れながら、そう言いました。

さらに、こんなことも言っていました。

　　気兼ねなく過ごせるようにしようって…、
　　人生1度きりだから。

そうか…、

人生は1度きり…、

80過ぎて、2回目の結婚したってイイじゃないか！

僕は、これを観て、大いに心を打たれましたね。。

　　よし！
　　こうなったらオレも…。

しかし、僕には養護老人ホームへ入所するお金はありません。。。

水彩画も全く描けません。。。

でも、でも…、

　　出会いってどこにあるか
　　わからないわね。

この言葉を信じたいです！

　　年を取っても、やっぱり
　　ときめくンだよね。

この言葉も信じたいです！

　　そうだ！
　　老人ホームも水彩画もムリだけど、
　　オレ、散歩なら今もやってるし！
　　70、80代になっても続けるつもりだし！
　　散歩中に出会うってのはどうだ？

何だか、ときめいてきました…。

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