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怪傑スダ ~永遠のおバカ~

バイト先の冷凍食品センターに、午前10時40分、スダさん担当で、
このエリアでチェーン展開しているラーメン店のF店から電話が
あったらしく・・

  F店に納品するはずの肉シューマイ、
  15ケースのところ、13ケースしか
  届いていないとのことだ。
  残り2ケースは明日の納品でイイと、
  店長が言ってくれたから、臨時便を
  出さなくて済むが・・

と、スダさんが出庫帳票を見ながら言いました。

今日、ラーメンチェーン店に納品される「肉シューマイ」は
全部で410ケース。

納品する店舗数は27店舗・・

帳票を確かめても、在庫を確かめても、間違いなく、昨日410ケース
出庫して、27店舗に注文数量通り配荷されています。

ちなみに、F店の仕分けを行ったのは、“みたらし”ことタナベさん
だったそうです。

ところで、肉シューマイは、このラーメンチェーン店ではランチの
セットメニュー全てに提供されるので、毎回、大量に出庫されます。

丸刈りのまん丸頭、色黒で童顔で目がクリっとしているからなのか、
みんなから“みたらし”と呼ばれているタナベさんは、

  昨日は、F店を含めて3店舗分、合計48ケース、
  肉シューマイを仕分けた。
  F店分として間違いなく15ケース、カゴ車に
  積んだのを覚えてる。

自信たっぷりに言ってます。

そんなタナベさんが仕分けた3店舗に、今日、配達したのが、周り
から“バカバヤシ”と言われているオカバヤシさんで…

このバカバヤシの天敵が、みたらしタナベと言うわけです。。。

で、午後3時頃、バカバヤシが澄まし顔で配達から戻ってきました。

そのバカバヤシに、スダさんが、

  F店から肉シューマイ、2ケース不足と
  連絡が来たぞ・・

と、声を掛けました。

すると、バカバヤシは、フンと鼻を鳴らして、

  あれは毎回、数が多いから、
  仕分けミスも多いわなぁ…

と、言い捨てて、澄ましたまま歩き去ろうとするところを、

  オレは間違いなく410ケースを出庫して
  仕分場まで運んだ。
  それに、帳票通り仕分けられていることは
  間違いない。

スダさんが言うと、すぐ後からタナベさんが、

  オレも間違いなく3店舗分の48ケース仕分けて、
  F店のカゴ車には15ケース積んだ。

と、言い切りました。

そのタナベさんの声を聞き、明らかに唇を歪めるバカバヤシ…

そして、タナベさんに向かって、

  おまえが正しい数を仕分けたとは
  思えんのだわね・・

バカにしたような口調で言いました。

すると、タナベさんも薄ら笑いを浮かべながら、

  おまえに言われる筋合いはないんだわね・・

バカバヤシの言い方を真似て返しました。

さらに、スダさんが畳み掛けるように言いました。

  こうして在庫誤差もなく、コース別の
  帳票にも確認者がチェックを入れて
  いる以上、こちらとしては間違いなく
  肉シューマイを仕分けたとしか言い
  ようがない!

ここでムッとした顔つきになったバカバヤシ・・

  ほんじゃあ、オレが数を間違えて
  配達したとでも言うんかーーーっ!?

  ※ほんじゃあ=この辺りの方言で「それでは」の意

大声で喚くのに対し、わざと落ち着いた口調で、

  どうせ、他の2店舗のどちらかに
  間違えて配達したんじゃないの?

と、タナベさんが言うと、

  どちらからも数量間違いの連絡は
  受けとらんわーーーっ!

青筋立てながら言い返すバカバヤシ。。

  数が少なければ連絡するだろうけど、
  多かったら「ラッキー」ぐらいに思って、
  連絡なんかしないんじゃないの?
  今頃、儲かった…って喜んでるよ。

と、さらに落ち着いた口調で言うタナベさんに対し、

  他の2店舗には、ちゃんと数えて
  納品したわーーーっ!

と、必要以上の大声で喚き散らすバカバヤシ。。。

  数え間違いってコトもあるんじゃないの?
  それとも思い込みで間違ったままの数を
  納品しちゃったとか。。

すっかり見下したような目線でバカバヤシを見て、静かな口調で
言うタナベさんに激怒するバカバヤシ。。。

  ほんじゃあ、言わせてもらうけど、おまえ、
  一度も間違えたコトないんかーーーっ!?

論点がズレたことを言い出した直後、

ブッ…

この音に、3秒ほど庫内は静寂に包まれました。

そして、3秒後、この奇妙な音が、バカバヤシのおならの音だと、
みんなが悟ったのでした。。。

中には、声を上げて嘲笑する者もいて・・

これまでの緊迫した空気は一掃され、ゆる~い空気に変わって
しまったのでした。。

みたらしタナベも明るい笑顔で、

  こんな時、こんな所で屁をこくなっ

と、大きく言い放ち、庫内は笑いの渦…

これでバカバヤシは一瞬、動揺した様子を見せたものの、

  ほんじゃあ、言わせてもらうけど、おまえ、
  一回も屁ぇこいたことないんかーーーっ!?

と、めちゃくちゃ的外れな反撃…っつーか、恥の上塗り。。。

そんな仕分場に、キヤマ課長がやってきて、

  今、××スーパーから、注文していない
  肉シューマイが納品されたと電話があったよ!

そう言いました。

その××スーパーでは、従業員が何も知らず、間違って納品
された肉シューマイを売場に並べてしまい、それがレジを通り、
バーコードが読み取れずにエラーを起こしたことで発覚した
らしいです。

ちなみに、今日のバカバヤシの配送コースは・・

  1.弁当店A
  2,弁当店B
  3.ラーメンN店
  4,ラーメンU店
  5,××スーパー
  6,ラーメンF店

以上の順で、合計6軒の配達でした。

F店分の肉シューマイを、これまで一度も納品されたことのない
××スーパーに間違えて納品してしまったみたいです。

おそらく、荷台の中にカゴ車を積んでいく際、商品が多く積まれて
いるカゴ車から、一部の商品を別のカゴ車に移動させたとか‥

カゴ車を片付けることが面倒だからと、カゴ車の商品を荷台に
直積みするなどによるミスでしょうね…。

まるで火が消えたように消沈するバカバヤシ。。。

  ったく、おまえのバカは筋金入りだな!
  肉シューマイ2ケース分、今度の給料から
  引いといたるでな。。

キヤマ課長は、バカバヤシにそう言って、仕分場から出て行き
ました。。

再びタナベさんが、明るい笑顔、大きな声で、

  ったく、大声張り上げるわ、納品ミスするわ、
  おまけにこんな所で屁をこくわ…

と言いながら、大袈裟な身振りで両手をあげました。

これを聞いたバカバヤシのこめかみ辺りには、ブチ切れそうな
ほどに血管が浮き出てきました。。

こうして怪傑スダの毅然たる姿勢と、みたらしタナベの口撃、
さらにキヤマ課長のとどめの一撃で、またしてもバカバヤシは
倒されたのでした。。。
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