笹やん 暇つぶし
ここのセンターに正社員として入社し、約半年になるオーシバさん。
まだ経験が浅いこともあり、現在25歳という若さのせいもあって、
ミスが多いみたいです。。。
朝、出勤すると、笹やんチームの男子バイトの面々から、
いやぁ～、一昨日はマイッタよ！
オーシバさんの特大ミスの話を聞かされました。
でっかいミス、それも信じられないミス…だそうで、、
それは、この前の金曜日、午前10時少し前…
この日に入庫した「国産牛100％ハンバーグ」を目一杯カゴ車に
積んで仕分け場に運ぶオーシバさん。
その日は、オーシバさん担当の納品先で、この商品の注文が
普段より倍以上あって、危うく欠品になるところでしたが、
絶妙のタイミングで入庫したわけです。
配送便各社とも午前11時までに出発することになっているので、
急いでカゴ車に積み、急いで仕分け、何とか間に合わせようと
慌て気味のオーシバさん。
それを、あるまいことか…
目一杯積んだカゴ車ごと、ホームから地面に落下させた。。。
もちろんオーシバさんも落ちた。。。
大量の国産牛100％ハンバーグ、それを積んだカゴ車、それを
運んでいたオーシバさん…
みんな、地面に落ちたそうです。。。
スッゲェおっきな音が
庫内に響き渡った！
男子バイトたちが、興奮して話しました。
それで、様子に見に行ってみると…
国産牛100％ハンバーグは全部破損！
ダンボールが潰れ、中の商品が飛び出して散乱したそうです。
カゴ車は…
サイドのフレームが“ぐにゃり”と無残に曲がり、キャスターが
一部、折れてしまい、使いものにならない状態。
そして、オーシバさんは？
彼は無事でした。
ケガひとつ負わず、目をテンにして地面に横たわっているだけ。。
騒ぎを聞きつけ、センター長や他の社員もやってきました。
これはアカンわ！
だいたい積み過ぎやて！
こんなたくさん積むもんだから、
バランス崩したンやろ。。
っつーか、何で庫内通路を通らんのや!?
こんなホームなんか通って、危ないに
決まっとるやろ！
カゴ車ごとホームから落したヤツ、
オメーくれぇなモンやぞ！
破損した商品は、数量にして24ケース。金額にして11万7千円ほど。。
オーシバさんの言い訳として、庫内通路を通ると人が多くて危ないと
思ったそうで…
バカヤロッ！
ホーム通った方が危ねーに
決まっとるやろ！
ぷるぷるっ…
首を小刻みに左右に振るオーシバさん。
どうしたんや？
落ちた時、頭でも打ったンか…？
センター長が、やや心配そうに尋ねると、
イエ、ただの片頭痛で…
ぷるぷるっ…
もう一度、首を振って答えるオーシバさん。。。
彼は片頭痛持ち…らしいのです。
何が片頭痛やっ！
頭、イテェのはこっちの方や！
心配して損した…って顔になり、声を荒げるセンター長でした。
こうして散々、叱り飛ばされたオーシバさんでしたが…
午後2時…
既に昼食を終え、この時間は食堂も人がまばら…
オーシバさんは、数名のバイトたちと一緒に、遅い昼食を摂って
いました。
それはイイんですが…
オーシバさんたちのテーブルの上には、何と、午前中に破損させた
国産牛100％ハンバーグが…
電子レンジで加熱して、それを大きな皿に盛り付けて、それらに
ケチャップやらソースやら掛け回して…
それをおかずに、バイトたちと談笑しながらメシ食って…
やっぱ旨いッスね☆
国産牛って書いてあるだけ
あるよナ
これだったらオレ、6個くらい
食べられそう！
などと言い合いながら、楽しくメシ食っていると…
のそっ･･! と入ってきたセンター長に見つかったわけで…
何やっとるンや、テメ…
で…
オーシバさん、食事の後、事務所に連れて行かれ、
オメー、社員としての自覚はあるんか!?
なぁ？
反省しとるかて？
あぁ!?
なぁ？
反省しろ！反省っ!!
外にまで聞こえるほどの大声で、センター長が再び叱り飛ばしたとか。。。
僕は、商品の仕分け作業をしながら、バイトたちから話を聞いて、
その光景が鮮明に頭に描かれていくのでした。
オーシバさんについて、少し前から聞いていることですが…
彼自身、若いこともあり、似たような年齢のバイトたちと、すっかり
友だち気分で接しているらしく…
仕事そっちのけで、何やら大笑いしながら話し込んでいたり…
昼休み、バイトたちと一緒に、マンガ喫茶でランチを食べに行く
のはイイけど、マンガに没頭しているのか、戻り時間過ぎても
平気で遅れて来たり…
まぁ、そういうわけで、決して勤務姿勢は良いとは言えないようで。。。
コサカのヤツ…
最近はオーシバのことで
頭、抱えているようだ。
ハッハッハッハ！
笹やんが、愉快そうに笑いながら、そう言いました。
午後3時20分、事務所脇の自販機で缶コーヒーなどを買い、笹やんと
僕らバイトは、それを飲みながら休憩していました。
コサカ…って言うのはセンター長のことで、笹やんは、こうして
陰では呼び捨てにしているのです。
センター長の頭、抱えさせてるのは、オーシバさんだけじゃなく、
笹やん、、大笑いしているアナタもでしょ？
思わず笑いそうになりながら、そんなコトを思う僕でした…。
と、そこへ…
ふわ～っとした足取りで、オーシバさんがやってきたじゃありませんか！
噂をすれば影…
ホント、影のように、ほんのり暗～い顔つきで、オーシバさんは
笹やんの方へ近づいていきます。
もしかして、今日もセンター長に叱られたのでしょうか･･？
これに気づいた笹やん、タバコをくわえつつ、訝しそうな目で
オーシバさんを見て、
おう、どうした？
ヘンズツー！
この頃、叱られっ放しやナァ！
と言いました。
叱られっ放しなのは、オーシバさんだけじゃなく、笹やん、、
タバコくわえているアナタもでしょ？
やっぱ笑いそうになりながら、そんなコトを思う僕でした…。
おう、まぁ、そう落ち込むな！
そう言って、笹やんは、自分が腰掛けているベンチに手をやり、
オーシバさんにも座れと示しました。
うな垂れ気味に、オーシバさんは力なく、ベンチに腰掛けます。
そして、いきなりボソリとした口調で、こう尋ねました。
あの…、働くって…
働くって、どういうことなんですかねぇ？
ここで周りはシーンとしました。
････････････
ここで半年ほど経過しましたが、どうやらオーシバさんは、
ここの仕事に働き甲斐が感じられていないようで…
いや、ほかの仕事をしても同じかも知れません。
仕事をしているけど、やる気が出ない。
しているつもりなんだけど、ミスばかりして叱られてしまう。
みんなとは仲良くやれるようになったのに、何か違う。
そんなモヤモヤ感が、オーシバさんの頭に渦巻いているのかも
知れません。
どれだけ静寂な時が流れたでしょう。
誰も何も言いません。
････････････
ふぅ～～
ここで笹やん、口からタバコの煙をゆっくり吐き出しました。
そして、隣に腰掛けているオーシバさんへ顔を向け、こう言った
のです。
暇つぶしだ･･
またまた、周りがシーンとしました。
やがて、オーシバさんは、ポカンと口を開け、笹やんを見つめました。
すると、笹やんは、オーシバさんの目線に応えるように言いました。
働くなんてのは、暇つぶしだと思え。
何もしないで暇をつぶそうとすれば
金が要る。
それより働いて暇つぶししていれば、
それだけで金が入る。
こんなイイ暇つぶしはない！
聞いていたオーシバさんは、まだボ～ッとしていましたが、僕ら
バイトは、思わず唸りたくなるほど感じ入るモノがありました。
名言だと思います！
あまり熱入れて打ち込んでもタカが知れているから、適度に肩の力を
抜いて、楽な気持ちで働け…、そういう意味かも知れません。
若いオーシバさんには、説教じみたことを聞かせるより、ずっと
説得力のある一言だと思います！
でも…
これ、センター長が聞いていたら…
オレ、こんな気のない部下たちと一緒に
仕事しとるンかい…。
って、ガッカリするでしょうね。。。
にほんブログ村
まだ経験が浅いこともあり、現在25歳という若さのせいもあって、
ミスが多いみたいです。。。
朝、出勤すると、笹やんチームの男子バイトの面々から、
いやぁ～、一昨日はマイッタよ！
オーシバさんの特大ミスの話を聞かされました。
でっかいミス、それも信じられないミス…だそうで、、
それは、この前の金曜日、午前10時少し前…
この日に入庫した「国産牛100％ハンバーグ」を目一杯カゴ車に
積んで仕分け場に運ぶオーシバさん。
その日は、オーシバさん担当の納品先で、この商品の注文が
普段より倍以上あって、危うく欠品になるところでしたが、
絶妙のタイミングで入庫したわけです。
配送便各社とも午前11時までに出発することになっているので、
急いでカゴ車に積み、急いで仕分け、何とか間に合わせようと
慌て気味のオーシバさん。
それを、あるまいことか…
目一杯積んだカゴ車ごと、ホームから地面に落下させた。。。
もちろんオーシバさんも落ちた。。。
大量の国産牛100％ハンバーグ、それを積んだカゴ車、それを
運んでいたオーシバさん…
みんな、地面に落ちたそうです。。。
スッゲェおっきな音が
庫内に響き渡った！
男子バイトたちが、興奮して話しました。
それで、様子に見に行ってみると…
国産牛100％ハンバーグは全部破損！
ダンボールが潰れ、中の商品が飛び出して散乱したそうです。
カゴ車は…
サイドのフレームが“ぐにゃり”と無残に曲がり、キャスターが
一部、折れてしまい、使いものにならない状態。
そして、オーシバさんは？
彼は無事でした。
ケガひとつ負わず、目をテンにして地面に横たわっているだけ。。
騒ぎを聞きつけ、センター長や他の社員もやってきました。
これはアカンわ！
だいたい積み過ぎやて！
こんなたくさん積むもんだから、
バランス崩したンやろ。。
っつーか、何で庫内通路を通らんのや!?
こんなホームなんか通って、危ないに
決まっとるやろ！
カゴ車ごとホームから落したヤツ、
オメーくれぇなモンやぞ！
破損した商品は、数量にして24ケース。金額にして11万7千円ほど。。
オーシバさんの言い訳として、庫内通路を通ると人が多くて危ないと
思ったそうで…
バカヤロッ！
ホーム通った方が危ねーに
決まっとるやろ！
ぷるぷるっ…
首を小刻みに左右に振るオーシバさん。
どうしたんや？
落ちた時、頭でも打ったンか…？
センター長が、やや心配そうに尋ねると、
イエ、ただの片頭痛で…
ぷるぷるっ…
もう一度、首を振って答えるオーシバさん。。。
彼は片頭痛持ち…らしいのです。
何が片頭痛やっ！
頭、イテェのはこっちの方や！
心配して損した…って顔になり、声を荒げるセンター長でした。
こうして散々、叱り飛ばされたオーシバさんでしたが…
午後2時…
既に昼食を終え、この時間は食堂も人がまばら…
オーシバさんは、数名のバイトたちと一緒に、遅い昼食を摂って
いました。
それはイイんですが…
オーシバさんたちのテーブルの上には、何と、午前中に破損させた
国産牛100％ハンバーグが…
電子レンジで加熱して、それを大きな皿に盛り付けて、それらに
ケチャップやらソースやら掛け回して…
それをおかずに、バイトたちと談笑しながらメシ食って…
やっぱ旨いッスね☆
国産牛って書いてあるだけ
あるよナ
これだったらオレ、6個くらい
食べられそう！
などと言い合いながら、楽しくメシ食っていると…
のそっ･･! と入ってきたセンター長に見つかったわけで…
何やっとるンや、テメ…
で…
オーシバさん、食事の後、事務所に連れて行かれ、
オメー、社員としての自覚はあるんか!?
なぁ？
反省しとるかて？
あぁ!?
なぁ？
反省しろ！反省っ!!
外にまで聞こえるほどの大声で、センター長が再び叱り飛ばしたとか。。。
僕は、商品の仕分け作業をしながら、バイトたちから話を聞いて、
その光景が鮮明に頭に描かれていくのでした。
オーシバさんについて、少し前から聞いていることですが…
彼自身、若いこともあり、似たような年齢のバイトたちと、すっかり
友だち気分で接しているらしく…
仕事そっちのけで、何やら大笑いしながら話し込んでいたり…
昼休み、バイトたちと一緒に、マンガ喫茶でランチを食べに行く
のはイイけど、マンガに没頭しているのか、戻り時間過ぎても
平気で遅れて来たり…
まぁ、そういうわけで、決して勤務姿勢は良いとは言えないようで。。。
コサカのヤツ…
最近はオーシバのことで
頭、抱えているようだ。
ハッハッハッハ！
笹やんが、愉快そうに笑いながら、そう言いました。
午後3時20分、事務所脇の自販機で缶コーヒーなどを買い、笹やんと
僕らバイトは、それを飲みながら休憩していました。
コサカ…って言うのはセンター長のことで、笹やんは、こうして
陰では呼び捨てにしているのです。
センター長の頭、抱えさせてるのは、オーシバさんだけじゃなく、
笹やん、、大笑いしているアナタもでしょ？
思わず笑いそうになりながら、そんなコトを思う僕でした…。
と、そこへ…
ふわ～っとした足取りで、オーシバさんがやってきたじゃありませんか！
噂をすれば影…
ホント、影のように、ほんのり暗～い顔つきで、オーシバさんは
笹やんの方へ近づいていきます。
もしかして、今日もセンター長に叱られたのでしょうか･･？
これに気づいた笹やん、タバコをくわえつつ、訝しそうな目で
オーシバさんを見て、
おう、どうした？
ヘンズツー！
この頃、叱られっ放しやナァ！
と言いました。
叱られっ放しなのは、オーシバさんだけじゃなく、笹やん、、
タバコくわえているアナタもでしょ？
やっぱ笑いそうになりながら、そんなコトを思う僕でした…。
おう、まぁ、そう落ち込むな！
そう言って、笹やんは、自分が腰掛けているベンチに手をやり、
オーシバさんにも座れと示しました。
うな垂れ気味に、オーシバさんは力なく、ベンチに腰掛けます。
そして、いきなりボソリとした口調で、こう尋ねました。
あの…、働くって…
働くって、どういうことなんですかねぇ？
ここで周りはシーンとしました。
････････････
ここで半年ほど経過しましたが、どうやらオーシバさんは、
ここの仕事に働き甲斐が感じられていないようで…
いや、ほかの仕事をしても同じかも知れません。
仕事をしているけど、やる気が出ない。
しているつもりなんだけど、ミスばかりして叱られてしまう。
みんなとは仲良くやれるようになったのに、何か違う。
そんなモヤモヤ感が、オーシバさんの頭に渦巻いているのかも
知れません。
どれだけ静寂な時が流れたでしょう。
誰も何も言いません。
････････････
ふぅ～～
ここで笹やん、口からタバコの煙をゆっくり吐き出しました。
そして、隣に腰掛けているオーシバさんへ顔を向け、こう言った
のです。
暇つぶしだ･･
またまた、周りがシーンとしました。
やがて、オーシバさんは、ポカンと口を開け、笹やんを見つめました。
すると、笹やんは、オーシバさんの目線に応えるように言いました。
働くなんてのは、暇つぶしだと思え。
何もしないで暇をつぶそうとすれば
金が要る。
それより働いて暇つぶししていれば、
それだけで金が入る。
こんなイイ暇つぶしはない！
聞いていたオーシバさんは、まだボ～ッとしていましたが、僕ら
バイトは、思わず唸りたくなるほど感じ入るモノがありました。
名言だと思います！
あまり熱入れて打ち込んでもタカが知れているから、適度に肩の力を
抜いて、楽な気持ちで働け…、そういう意味かも知れません。
若いオーシバさんには、説教じみたことを聞かせるより、ずっと
説得力のある一言だと思います！
でも…
これ、センター長が聞いていたら…
オレ、こんな気のない部下たちと一緒に
仕事しとるンかい…。
って、ガッカリするでしょうね。。。
にほんブログ村
Facebook コメント
コメント 0