中国流スタンダード 郷に入らば…

エゲツない…、中国の出張から帰ってきた建材会社の社長さんが
そう言ってました。

まず最初は上海浦東国際空港で無錫（むしゃく）行きのバスを
待っていた時…。

1台のタクシーが近づいてきて運転手が、

　　無錫行きのバスが事故を起こしたそうだよ。
　　タクシーで行くしかないからこれに乗りなよ。

と、声を掛けてきたそうです。

そいつは大変だ！と思い、そのまま社長さんはタクシーに
乗り込もうとしたところ、バスがやって来たそうです。

それも何事もなく。。。

社長さん、いい加減なウソをついたタクシー運転手を
睨みつけたのですが、彼は反省の顔色も見せず、しゃあしゃあと
して去って行ったそうです。

オレが悪いんじゃない、騙されるヤツが悪いんだ…、
そんな顔をしていたと言ってました。


この社長さん、2週間ほど中国にいたそうですが、もう3日も
経つと日本食が恋しくなり、日本料理店で食事をしようと、
ホテルを出て街中を歩きだしました。

無錫は上海にも近く、多くの海外企業が進出している所だそうです。

日本人のビジネスマンも多いらしく、日本料理店は市街に50軒以上
あるそうです。

しかし、それらの日本料理店は、ほとんど中国人が経営しており、
調理方法もはっきりいってデタラメで味は最低だとか。。。

僕は、せっかく中国に来たんだから地元の料理を心行くまで
味わったらいいのに…、と思ったんですが…

社長さん、懲りずに連日、日本料理店巡り。。。


そしてようやく、日本人が経営しており、日本人が調理している
店に出会うことが出来ました！

　　いやぁ、そこはね、日本料理といっても
　　鶏のから揚げやハンバーグ、それに
　　カレーライスもあってね。
　　ま、日本人が好きな洋食も扱っていて、
　　これが実に旨いんだなぁー。

結局、社長さん、それ以降、毎晩この店に通ったそうです。

やがて、その店の経営者とも仲良くなり、一緒に飲みながら、

　　ウワサには聞いてましたが、中国って
　　エゲツないところですねぇ…、
　　どこの店でも、これが本物の日本料理だ！なんて
　　得意気に言ってますが、これのどこが日本料理だ！？
　　最低ですよ！
　　しかも値段だけは一人前以上だし！

そんな愚痴をこぼすと、その経営者は社長さんを見つめながら、
ゆっくりと左右に首を振り、こう言ったそうです。

　　そう思うのは、あなたが日本人だからですよ。
　　ここでは、そんなエゲツないことが当たり前…、
　　これが中国流スタンダードです。

社長さん、愕然として、その日本人である日本料理店経営者の
顔を見つめ返しました。

　　そうか！･････でも、この人は日本人だ！
　　だけど、ここで生きていくためには
　　中国流スタンダードってヤツを理解しなければ
　　やって行けないってことか！？
　　････････
　　だが…、それは中国に魂を染められたって
　　意味じゃなく、あくまでも、ここに合わせている…、
　　そういうことか…？
　　これも…、郷に入らば郷に従え…ってコトか…？

そんなふうに思い、これからどうやって中国を受け入れて
いくべきか…、そんなことをアレコレ考えるように
なったそうです。

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タグ：日本料理店 中国 無錫