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笹やん 漫遊記

今朝、バイト先の冷凍食品センターに衝撃が走りました!

朝礼で「笹やんが今月いっぱいで辞めることになった」と、
センター長が言ったからです。

  え゛え゛え゛ぇ ぇ──────っ!?

僕らは、口をそろえて驚愕の声をあげました。

なお、現時点では笹やんの後任は未定だそうで…

実は、誰も笹やんの後釜なんてやりたがらないわけでして…

そりゃそうでしょうね。。。

納品先軒数は、やたら多いし、商品アイテム数も多くて
改廃が激しいし、とにかくボリュームあり過ぎで…

それにしても、笹やんも今月で67歳になるわけですから、

  笹やん、どこか身体の調子
  良くないの?

昼休みになり、さすがに熟年女子バイトたちも気になったのか、
笹やんを囲んで、そんなことを尋ねていました。

  いや、そう言うわけじゃないんだ。
  実を言うと、娘から連絡があって…

と、笹やんが語るには・・

笹やんの娘さんは、10月に入籍し、晴れて再婚に至ったわけで、
その相手は、博多で小料理屋を営んでいるとのことです。

何でも京都の有名な料亭で修業をしたそうで、料理人としての
腕は確かだと・・

そんなわけで小料理屋はなかなかの繁盛振りらしく、今は二人で
忙しく切り盛りしているそうで・・

そんなある日、旦那さんの知り合いが、ネットで松花堂弁当や
会席弁当を売りたいから、旦那さんに作ってくれと頼んで来た
らしいです。

その知り合いは、既にネット販売を運営し、順調に売上を伸ばし
ているみたいで、以前、旦那さんに、会議用にと会席弁当を注文
したことがあり、

  あんなに豪勢で旨いモンばかり
  詰めた弁当、食ったことがない!
  出席した得意先のお偉いさんたちも
  喜んでいたぞ!

ってコトで、こいつは商売になる!って、目をつけたわけです。

ところが、旦那さんとしては、

  いやぁ~、ご覧の通り、ウチは
  小狭い店で二人だけでやってるンで、
  もし、たくさん注文が来たら、
  対応できなくて…
  ご迷惑掛けちゃいますンで。。。

などと言って、最初は断ったらしいですけど・・

  大丈夫!大丈夫!
  完全予約制、数量限定、配送エリアも
  限定すれば大丈夫だから!

何度も知り合いの人から頼まれ・・

まぁ、毎月、何回も来店してくれ、高額な飲食をしてくれる
上客でもあることから、

  そうですか…、
  そんじゃ、まぁ…、
  よろしくお願いします。

って感じで、引き受けることに。。。

で…

先月からスタートしたものの、いきなり評判になって、

  予約制はイイが、その予約が受け切れない
  ほどらしい。
  5000円、8000円もする弁当が、茶道や花道の
  会合用とか、会社からは、会議や商談とか言って、
  予想以上に注文が入ってくるそうだ!
  来週は県庁へ8000円の弁当を50食も納めなきゃ
  ならんそうだ!

と、笹やんは興奮気味に鼻の穴を広げて話すのでした。

  それで今度は、おせち料理を重箱に詰めて
  売り出そうと言うことになったらしい!
  こっちの方は3万から5万もするそうだ!
  それがもう30件以上も注文が入っているらしい。
  さあ、そうなるとお手上げだ!
  弁当やおせちばかり作っては出し、作っては出し…
  本業の小料理屋がおろそかになっちゃマズい…って
  ことでオレに連絡してきやがったのだよ。。

娘さんとしては、父親である笹やんに頼るしかなかったのか、
10日ほど前に連絡があったそうです。

娘さんは、笹やんに食材の仕入れ、仕込み、さらに、弁当を
指定の配送センターへ配達するなどの仕事を頼みたいらしく、
どうか博多へ来てくれ!と言うわけです。

  しかし、アイツも…

と、ここで笹やん、ニヤ~ッと笑って、

  アイツも、間もなく35になる。
  相手の旦那は43歳らしい。
  食材の仕込みより、子種の仕込みに
  励みたいようだ。
  「孫の世話しながら手伝ってくれたら
  エエんよ」なんて抜かしやがって。。
  まだ孫の「ま」の字もアイツの腹に
  入っているかどうかわからねぇくせに。。。

と言っていましたが・・

笹やん自身、「孫」の一言に気持ちが揺らいだんじゃないで
しょうか?

  まぁ、何にしても、先々、いろいろ
  忙しくなるようだ。
  店のこと、弁当のこと、それに育児が
  重なると、どうしても身内の手を
  借りたくなるモンだ。
  それでオレを呼び寄せようと言うわけさ。

聞いていた僕らは、

  ふうん、そうだったンだぁ・・

妙にほのぼのした空気に包まれました。

  こう見えても、オレだって
  以前は、厨房に立っていた
  こともあるのだよ、うん。

笹やんは、腕組みしながら、そう言いました。

そう言えば、前に笹やんは、このセンターを辞めたら蕎麦屋を
やりたいと言っていたこともありました。

こうしてみると、笹やんはこれまで、足の向くまま、気の
向くままに、いろんな所でいろんなコトをしてきたわけで・・

でも、最後は故郷・福岡へ・・

それにしても・・

笹やんの後任は誰になるんでしょうねぇ・・?
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