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笹やん 地獄耳

今日の午前中、バイト先の冷凍食品センターの事務所と
庫内一部のフロアを清掃業者が清掃することになっていた
ようです。

  聞いてないじゃんねぇ!

笹やんは、そんなことを知らされていなかったとセンター長に
言い張ってますが…

  言ったやないか!
  ひと月前から!
  社員ミーティングの席でも言っとるし、
  一昨日も念のため、オマエに言ったはずやぞ!

と、センター長は、笹やんの主張を聞き入れようとしません。

  ンなこと言われても
  聞いてないじゃんねぇ!

どうやら笹やんは、清掃業者へ庫内の清掃箇所を案内する係に
任ぜられたらしいのですが、そのことを…

  ゼンゼン聞いてないじゃんねぇ!

ってコトらしく、しかも…

  事務所のフロア清掃をしてもらうので、
  各自、前日までには机回りを片付けるようにと
  言ったにもかかわらず!
  ったく、オマエ、何を聞いとったンや!?

と、センター長から叱り飛ばされても、

  だって聞いてないじゃんねぇ!

知らされていないと言う姿勢を貫こうとする笹やん。。。

  何言っとるんや!
  オメー、うんうんって頷いてたやろ!?


  でも聞いてないじゃんねぇ!


  アホか、オマエは!?


  聞いてないモンは
  聞いてないじゃんねぇ!


  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・とにかく、もう清掃業者が
  来てるから、庫内の案内をしろっ!

徹底抗戦も虚しく、センター長に押し切られる笹やん。。。

で…

結局、出庫などの作業をしながら、清掃業者を庫内に導いて
センター長の言いつけ通り、清掃箇所を説明する笹やん。。。

一方、センター長は10時頃、本社へ行くと言って出掛けたよう
です。

  ったくなぁ~、コサカの野郎!
  こういう時に限って、出掛けやがってなぁ…。

と、笹やんの愚痴が始まります。。。

  アイツ、何でもオレに丸投げしやがって!
  少しは自分で動けってンだ!

誰に聞かせるともなく、独り言にしては大き過ぎる声でグチる
笹やん。。。

  本社に何の用事があるのか知らんけど、
  どうせ大した用じゃねーだろ!
  そこらで昼メシでも食って、ブラブラしてから
  帰ってくるに違いねえンだ!

そうやってグチる笹やんへ、

  あの~、すいませ~ん…

清掃業者の一人が、声を掛けてきました。

笹やん、聞こえないのか、はたまた聞こえないフリをしている
のか、無視します。

  あの~…
  あの~、すいませ~ん…


  ・・・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・・・・・・・・


  すいませ~ん…
  あの…、あの…、
  すいませ~ん…


  ・・・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・・・・・・・・

  
  あの~、すいませ~ん…


  ・・・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・・・・・・・・


  すいません、すいません。
  あの、すいません。

さすがに業者の人もムッとしたのか、やや声が尖ってきました。

そこでようやく笹やんが不機嫌そうな声で、

  何や?

と、答えました。

  あの~、すいませんが、
  東側の非常口ドアが鍵掛かったままなんで、
  開けてもらいたいんスけど…

そう言う業者の顔をシゲシゲと見つめながら、

  は?

と、尋ねる笹やん。

  いやぁ、あの~、非常口ドアを開けておいて
  もらうことになってたんスけどね。
  それで、そのまま通路面を清掃するようにって
  言われたんスけどね。

そう言う業者に対し、

  聞いてないじゃんねぇ!
  そんなの、まるで聞いてないじゃんねぇ!
  だってそうでしょうよ!
  聞いてないじゃんねぇ!
  マジで!
  聞いてるわけないじゃんねぇ!

再び炸裂する“聞いてないじゃんねぇ!”攻撃。。。

この攻撃を受け、一瞬、ポカンと口を開けていた業者ですが、
すぐに立ち直ったのか、冷静な口調で、

  それじゃ、すいませんけど、
  センター長さんに連絡していただいて、
  鍵を開けてもらうように頼んで
  もらえませんかねぇ?

と言いました。

笹やん、少々イラッとしつつ、

  東側の非常口の鍵だな?
  その鍵があればイイんだな?

業者に確認してから、携帯電話を取り出し、センター長へ連絡
している様子です。

  ・・・・・・・・・
  ああ、もしもし・・・・・
  笹○です。
  ・・・・・笹○ですって!

  あの、今、大丈夫ッスか?
  あの、清掃業者が東側の非常口の
  ドアが開いてないからって…、
  鍵を開けてくれって…、
  そう言ってるんスけど…

  ・・・・・・・・・・・・
  ええ?
  もしもし…?
  ・・・・・・・・・・・・
  だからぁ~
  だから、鍵をね!
  ・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・・・・

  ええ、ハイ、ハイ…
  はぁ!?
  だから、ソレ…
  だからぁ、そんなの…
  っつーか、聞いてないじゃんねぇ!
  ・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・・・・
  そんなの知らないじゃんねぇ!
  ・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・・・・
  はぁ?
  収納ボックスって、なんスか?
  はぁー?
  最下段っスね!
  右っスね!
  ハイ、ハイ…
  わかりました、わかりました。
  ・・・・・・・・・・・・  
  わかりましたって!
  ハイハイ…
  ハイ、了解です…。

センター長との電話が終わり、ますますイラついた顔つきで
業者を睨むように見て、

  鍵は事務所の奥の収納ボックスに
  ある。
  最下段の右から3つ目だ!
    
吐き捨てるように言う笹やん。。。

すると、業者の人が、

  は…?
  事務所の奥は、ついさっき床面に
  ワックスを掛けたばっかですから、
  30分くらい後じゃないと通れませんよ!

と言いました。

すると、笹やんは、イライラ最高潮の顔になり、

  バカこの!
  鍵が欲しいって言ったのオマエだろ!

怒鳴り出しました。。。

これには業者も少し驚いた様子でしたが、すぐ落ち着いて
苦笑いしながら、

  わかりました。
  まぁ、30分経ってから、そこへ
  鍵を取りに行かせてもらいますよ。
  でも、イイんですか?
  私が勝手に取りに行っちゃって?

そう言うと、笹やんは顔を赤らめたまま、

  おお、イイよ!
  行ってこいよ!
  だけど、ちゃんと元に戻しとけよ。

そう言って、作業に戻るのでした。

僕らも、ちょっとした「笹やん新喜劇」に気をほぐしましたが、
作業を始めることにしました。

そして12時40分頃だったでしょうか…

清掃の影響もあり、作業が遅れたので、昼休みもズレ込んで
しまいました。

とりあえず、午前中の作業は終了ということで、休憩する
ことに…

しかし、笹やんは作業場内で、社員のフジエさんをつかまえ、
何やらセンター長の悪口を言っているみたいです。

  あのコサカって野郎は、面倒なことになると
  すぐ他人に丸投げしやがる!
  そのくせ自分は何でも出来ると思いやがって…
  全く無責任なとっつぁん坊やだ!

ま…、フジエさんとしては、こうした笹やんの愚痴には慣れて
いるのか、うんうんと優しく頷いて見せます。

  だいだいアイツにセンター長の器なんて
  ありゃしねーんだ!
  オレに言わせりゃ、ただのワガママなガキだ!


  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・・・・・・

フジエさんは常に眉毛が八の字になっているせいか、常に何やら
困っているような顔つきに見えます。

そのフジエさんが、笹やんをなだめるように無言で頷きます。

年齢も笹やんより少し下ぐらいなので、気が合うのか、よく二人で
話をしています。

  何でも悪いコトになると自分を棚に上げて、
  オレを悪者にしやがる!
  いつまでも黙っていると思ったら大間違いだ!


  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・・・・・・


  前から一度、思いっきりハメてやろうと…
  まぁ、オレにも考えってモンがあるんだよ。


  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・・・・・・


  コサカの野郎は、ここのセンター長って座に
  あぐらをかき過ぎてやがる!
  ロクに考えもねーくせに、何だかんだ
  エラそうに言いやがって!

と、この辺りで、フジエさんの表情がややこわばってきました。

それもそのはず…

何と、センター長が戻って来たようで、今、一歩一歩、笹やんの
背後に近づいて来ているのでした。

  要するに口先だけなんだよ!
  あの野郎は!
  ホント、エラそうなことばっか
  言いやがる!


  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・おい、笹やん。。。


  どこで覚えてきやがったのか?
  言うことだけは一人前だ!


  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・おい、笹やん。。。

今やフジエさんは完全にこわばった顔になり、眉毛もシッカリ
八の字です!

しかし、笹やんは空気を読み取ることができないようで…

  難しいコト言ってねーで、
  身体を動かせってンだ!
  なあ、おい!
  そう思うだろ、フジエよぉ!


  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・さ、笹やん。。。


  何だ?
  オマエも溜め込んでないで
  言いたいコトあれば言ってみろ!


  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・さ、笹やん。。。


  だから何だ?
  言ってみろ!


  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・笹やん、後ろだ。。


  へ…?

そう言われて、ようやく後ろを振り向く笹やん。。。

そこには、冷たく笹やんを見据えるセンター長が…


  ず わ っ!!

さすがの笹やんも驚いたようで、奇妙な叫び声を上げました。

同時に、僕らバイトの爆笑の渦!

そこでセンター長が、笹やんに冷た~く言いました。

  オレの耳は地獄耳だからな…
  今聞いたことは、一生忘れんゾ!

それだけ言ってセンター長は、事務所へと歩いて行きました。

笹やんにとってはメッチャ気まずい圧力…。

フジエさんに代わって、顔をこわばらせた笹やんでした。。。

それにしても…

笹やんに言われたコトって、それを言われた人にとっては別に
地獄耳じゃなくても忘れられないコトだと思うんですが…

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