静かな昼下がりのラーメン

やっぱり、シンプルなラーメンは、いつ食べても旨いです。


ガラガラっと入口の戸を開けると、カウンターだけの店内。

　　いらっしゃい…

決して元気とも、やる気があるとも言えないオヤジさんの声。

　　ラーメン…、ください。
　　大盛って、できますか？

僕も、あまり元気のなさそうな声で、それでも大盛で注文。

カウンターには、背中を丸めて黙々とラーメンを食べている
20代の男性客が一人だけ。

たぶん、この店のひいき客だと思いました。

僕は、彼の席からひとつ離れた左の席へ腰掛けることにしました。

気だるい換気扇の音。

アテもなく上がる茹で鍋の湯気。

その鍋を、ぼんやりとした目つきで見ているオヤジさん。

やがて…

のそりとした姿勢で、茹で上がった麺を取り出し、水気を切り、
スープが入った丼に入れて…

やはり、ノソノソとした手つきで、チャーシュー、メンマを
盛り付けて…

　　はい…、大盛。

またも、元気や、やる気を感じさせない声でラーメンを出して
くれます。

僕は、ペコリと頭を下げて、のそりとした手つきで割り箸を割り、
きざみネギの一部を、ちょんちょん！と箸先で押さえるように
してスープに浸します。

昔ながらの、アノ…、ダシ感があるしょうゆ味のスープの匂いが
心地よく漂ってきます。

それから、ゆっくりと麺をつまみ上げ、少し息を吹きかけ、

　　ズルルッ！

これまた心地よい縮れ麺の食感と風味に、どことなく懐かしい
気分に浸りつつ、メンマを一本、口に入れ、スープを啜り…

静かな平日の昼下がり。

シンプルなラーメンが、とても似合うと思います。

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タグ：ラーメン