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笹やん キョトン顔

午後3時…。

バイト先の冷凍食品センター内、事務所前。

センター長から、そこへ集合するよう、指示がありました。

集まったのは、笹やんを含め、現場管理を担当する社員5人と
僕を含む出庫作業のバイト約20人。

バイトは、まだ何人もいますが、とりあえず日曜日出勤者を
集合させたみたいです。

全員、何が始まるのかと、隣同士でボソボソ話していると、
そこにセンター長がやってきて、みんなの前に立ち、

  ハイ、ご苦労さまです!
  えー、今日、集まってもらったのは、
  みんな、今、やっていると思いますが
  ミスゼロ推進運動について…、
  まぁ、えー、今後、より精度の高い
  活動ができるよう、えー、いわゆる、
  改善確認者を選定したいと思います。

と、説明を始めました。

途端に、

  ちぇっ!またかよ…。

と、誰もが言葉にはしませんでしたが、まさしく
そんな表現がピッタリの空気が漂い出しました。。。

そんなコトを察する様子もなく、センター長が説明を
続けます。


  まぁ、今まで改善点を指摘されて、
  作業の改善をしてもらっているとは
  思いますが、えー、まぁ、実際のところ、
  指摘を受けて100%改善されているか
  どうかの確認が出来ていなかった…。
  えー、それじゃアカンということを、
  この前、コンサルから指摘され、えー、
  これからは100%改善されているかを
  特定の人間に確認してもらい、改善が
  されていなかったら~…、

と、ここでセンター長、説明を止めて、

  おい、ヤマシタ!
  オメー、聞いとるか!?
  ヨコ向いとらずに、ちゃんと
  聞いとれョ!

と、ヤマシタという学生バイトに注意しました。

ヤマシタ君、ニタ~と笑いながらペコッと頭を下げましたが、
その顔つきと態度が気に入らなかったのかセンター長が、

  だいたいオメーは、いっつも
  話を聞く態度になっとらんのだ!
  ちゃんと聞けよ!!

ややキツイ口調で注意すると、ヤマシタ君、一気に
ふてくされた表情になり、ぼそっと

  はい…

聞き取りにくい返事をして、うつむいてしまいました。

少し離れた位置で、これを見ていた笹やんが、
ニコ───っと楽しそうに笑っていました。。。


センター長、気を取り直したような顔になって、説明を
再開します。

  えー、だから改善されてなかったら~、
  確認者は、改善されてない部分を指摘して、
  相手に100%改善するように指導して~、
  えー、その改善しなければならない中身が
  100点満点中、何点なのかも記録して~、
  100%改善されるまで指導するように…。
  でぇ~、改善の指摘や指導を受けた者は、
  ちゃんと改善に心掛けるよう、気をつけるように…。


改善…、改善…、改善…、改善…、

改善…、改善…、改善…、改善…、

改善って何回言ったら気が済むんだろ。。。


改善、指摘、指導、それと管理…、それらの言葉が
やたら出てくるんですよね。。。

センター長は、さらに続けます。

  でぇ~、改善確認者はウチの社員の
  中から選抜するんだけどぉ…、
  えー、改善確認者が1名。
  それと、確認者が休みの時などを
  考えて、サブを1名…、
  これについては、もうコンサルの人が
  指名していますので、ここで発表します。

と、ここにきて、みんな、急にシーンとした空気に
包まれたようです。

  お!?
  誰?誰?
  誰が確認者になるの?

みたいな空気です。。。


  改善確認者…、笹○!
  サブ…、タカハシ!
  以上!!

センター長が言い放ちました!

それを受けて、笹やん…

  きょっ…と──────ん…。

文字にすれば、そんな感じの顔をしていました。
それも、何故か…、ポリポリ片手で股間を掻きながら。。。

この笹やんの顔!
ぜひ写しておきたいっ!

僕は、そんな強烈な衝動を抑えつつ、必死に笑いを
こらえていました。

すると、それが隣に伝わったのか、横にいたバイトが
プッ!と噴き出して、両肩を揺らし始めました!

思わず僕も、そして近くに立っていたバイトも、
たちまち、ブフフッ…、笑い出してしまいました!


  笹○!
  これはコンサルからの指名だからな。
  大変かも知れんけど、ちゃんとやれよ!
  進め方とか、わからんコトがあれば
  オレに聞いてくれ。
  あくまでも、オマエが主導でやっていけよ!
  タカハシはサブだから…オマエの代行役だからな!
  いいな?
  ちゃんとやってくれヨ!

センター長が、笹やんに畳みかけるような口調で言うたび、
笹やんはキョトン顔のまま、コクコクと無言で頷くだけ。

相変わらず、片手で股間を掻いてます。。。

もう我慢できず、僕らは、明らかに口元を緩め、顔中に
笑顔を作って、堂々と笑い出しました。

ジロリ!とセンター長が睨みましたが、そのセンター長の
目元は、明らかに笑ってました!

間違いありません!!

センター長も、この先の笹やんの活躍を想像して、
笑いをこらえていたのです。。。
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sandy

はじめまして。
毎回更新を楽しみにしています。

なかでも笹やんの記事は、今度はなにがあるんだろうと、ついつい引き込まれます。

ある意味愛すべきキャラクターなのかなと。

これからの展開が楽しみです。
by sandy (2012-09-10 09:17) 

あべしん

sandyさん、はじめまして。
毎回お読みいただき、本当にありがとうございます。

笹やんは自分の思ったことを、自分のペースで
進めるという、現代ではうらやましいキャラの
人間です。
その分、周りからヒンシュク買ってますが、本人は
そんなことすら気づいてないようで…。

ま…、そこのところが愛すべきキャラと言えるかも
知れません。

by あべしん (2012-09-11 07:05) 

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