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商店街は生き物

小さな駅から歩いて10分ほどの所にある、かつては商店街だったと
思われる路地・・

間もなく再開発されて、この辺りにはマンションが数棟、建てられる予定
だそうです。

今日、僕は、この路地にある1軒の空き店舗の解体に来たわけですが・・

様子を見に来たと言う、70過ぎのおじさんが話し掛けてくださって・・

  ウチも以前は、この近くで靴屋をやっていたが、
  周りには縫製工場や印刷工場など、こじんまりと
  した工場がたくさんあって・・
  今、残ってるのは印刷屋だけかなぁ‥

そう言われると、確かに近くには古めかしい工場だか倉庫のような
建物がいくつかあります。

で、おじさんの話では・・

それらの工場は、家内制みたいな夫婦、親子でやってるような工場が
多かったらしく・・

  ここの商店街は、八百屋に魚屋、肉屋のほか、
  惣菜を売る店が多かった。
  工場で働く人にとって、ここは食糧庫みたいな
  もんだった。
  アンタたちがいるこの店も、昔は惣菜屋で、
  五目おこわがおいしい店だった。

この空き店舗は、既に備品類は撤去されていますが、厨房の感じから
すると、確かに多種類の惣菜を調理していたみたいです。

家族みんなが一日中、工場で働いているから、食事の支度をする時間
もなく・・

  この商店街で、おにぎり、お弁当を買って、
  昼食にしたり、夕食前には魚屋へ大皿を
  持って行けば、刺身や焼き魚を・・
  肉屋に大皿を持って行けば、トンカツや
  ハンバーグを盛り付けて返してくれた。

なるほど、まさに食糧庫です。

  もう40年以上前になるかなぁ‥
  あの頃は景気が良くて、どこの工場も忙しそうで・・
  ウチも、あの頃が一番、靴が売れたなぁ‥
  みんな、商店街で惣菜やら野菜を買って・・
  活気ある商店街を歩いているだけで、疲れが
  吹っ飛んで、何とも楽しかった。

おじさんは、ぼんやり遠くを眺めるようにして話してくれました。

1軒1軒の工場、それと商店街の1店1店が、ひとつの家族みたいに
なっている・・

今ほど色々なモノはなかったし、便利ではなかっただろうけど、今には
ない活気、熱いエネルギーがあったかも知れないです。

このおじさんも、そんな景気が良かった頃は30前後・・

元気ハツラツ!って頃だね。

そんなことを思うと、この人気が全くなくなってしまった商店街も、生き物
みたいに思えます。

そうそう・・ 商店街は生き物ですね。

昭和が終わり、この商店街も役割を終えたわけで。。

マンションが出来上がった頃は、この辺りのレトロな空気も消えてしまって
いるんでしょうね。
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