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笹やん 不精髭

バイト先の冷凍食品センターの社員である笹やんは、毎日、
髭を剃らないようで、剃るとしたらスーパー銭湯へ行った時、
そこで髭を剃ると言っていました。

実は、僕も風呂好きですが、笹やんも同じらしく、週に
1、2回はスーパー銭湯へ行くそうです。

しかも、そこは僕が行く銭湯と同じところ!

今まで一度も会わなかったのが不思議なくらいです。

たぶん、時間帯がズレてるんでしょうね。

ところで…

今日の笹やんの不精髭は、やたら目立つと言いますか…

これまで、不精髭を生やした笹やんの顔は、何度も見ていま
したが、今日は格別で、5ミリ以上の長さになっています。

  ひょっとして、この1週間、
  笹やんは銭湯に行ってない…?

ってコトでしょうか?

では、なぜ風呂好きの笹やんが、1週間もスーパー銭湯に
行っていないのか?

午前11時半ごろ…

作業場にセンター長がやって来て、笹やんに小言を言いました。

  おい!笹○!
  おまえ、その髭、何とかしろよ!
  さずがに見苦しいぞ!
  一応、ここは食品を扱うセンターだから、
  身だしなみには気を遣えよ!

笹やんの不精髭については、誰もが知っており、センター長も
少しぐらいならと、大目に見ていましたが、確かに今日のは
見苦しいと言われても仕方がありません。。。

また、不精髭を生やしているのは笹やんだけでなく、他にも
若年、中高年を問わず、男子バイト数人も生やしており、
特にうるさく注意されることはありませんでした。

が…

さすがに今日の笹やんは、遠目に見ても明らかに髭が目立ち、

  それとも何や?
  おまえ、このまま髭を
  伸ばすつもりか?
  だったらもう少し体裁よくしろよ!
  顔中の髭を生やす気か?
  なぁ?

センター長から、こんなコトまで言われる始末。。。

しかし、笹やんは普段の通り、とても人懐っこい笑顔で
ニタ~ッと笑って、センター長を見ているだけ…

笹やんは、下の前歯が2本抜けていて、髭が伸びている中での
笑った顔は、知らない人が見れば…

  変質者!?

  変態おじさん!?

  キモい!!

などと思われるんじゃないでしょうか…。

  おまえ、笑ってないで、ちゃんとしろよ!
  なぁ?
  別に毎日、髭を剃って来いとまで言わんけど、
  ここまで生えると、もうアカンやろ!

センター長に言われ、笹やんはニヤニヤ笑いながら、

  すみません…、
  どうも、ここ最近
  調子が冴えなくて…

あごの辺りを撫でて答えました。

すると、センター長はキョトン顔になって、

  調子が冴えなくて…って、
  おまえ…
  最近に限らずさぁ…
  冴えてたことあったっけ?

と言いました。

周りの僕らは、ここで一気に声をあげて笑い出してしまいました。。。

そこで笹やん、ややムッとして、

  商品アイテムがやたら増え過ぎて、
  こっちは在庫管理が大変で
  髭剃る暇もないってコトですよ!

と言い返しました。

確かに、今月に入り、新規商品がどんどん増えていき、出庫
ミスや仕分けミスも数件あって、大変と言えば大変です。

  在庫管理って言うほど
  管理しとらんやろ!?
  オメーはッ!!
  ミスばっかしやがるし!


  だから、アイテム多過ぎなんスよ!
  こんなの管理しろって言われても
  ムリに決まってるじゃんねぇ!


  おまえだけじゃないんやゾ!
  ほかの社員も、この時期は
  商品アイテムが急増するんや!
  それでもちゃんと管理してるヤツは
  やってるんや!


  オレのところだけ、アイテム数が
  ケタ違いじゃんねぇ!
  これじゃパニック状態で、管理どころじゃ
  ないじゃんねぇ!


  そういうおまえを見とると、
  こっちがパニック状態になるわッ!

こうしたセンター長と笹やんのやり取りを、僕らは作業しながら
チラ見し、クスクス笑って楽しんでいるのでした。。。

  せめて、この時期だけでもバイトを
  増員してほしいンですけど…

と、笹やんは含みを持たせた笑顔でセンター長に言いました。

増員って、おまえなぁ…
これまで何回も言っとるにも拘わらず…
おまえのところが格段にバイト人員が多いんやゾ!
何回も同じコト言わすなよ!

イラつき気味でセンター長が答えますと…

  できれば1人でもいいから、
  よく動いてくれるバイトを
  よこしてくださいよぉ

そう言った笹やんを、ジッと見つめるセンター長。

  ・・・・・・・・・・・
   ・・・・・・・・・・・

ここで僕らもピンときましたね。

笹やんの狙いは、例の「なぎさちゃん」を自分の管轄に
取り込みたいってコトです。

なぎさちゃん…

笹やんが恋心と言いますか、下心を抱く52歳のバイト女子
マエダさんのことです。

彼女は、女優の片平なぎささんに似ていて、笹やんは
マエダさんのをことを、なぎさちゃんと呼んでいるのです。

  ・・・・・・・・・・・
   ・・・・・・・・・・・

センター長も、笹やんの思惑に気づいたようで、しばらく
無言で、ちょっと意地悪そうな目で笹やんを見ていましたが、

  そう言う問題じゃない。
  人の数で解決する問題じゃないやろ。
  おまえ自身の管理能力の問題や!
  増員する予定は一切ない!
  それと…

ここでセンター長は、言葉を区切って、笹やんの顔を舐めるように
見ながら、

  今日、ちゃんと髭を剃れ!
  明日も不精髭を生やしていたら、
  おまえの顔中に除毛剤塗りつけたるッ!

そう言って、作業場から出ていきました。

僕らは大爆笑。。。

これまでに笹やんは、あれやコレやとマエダさんを呼び込む
ためにセンター長へ画策していたようですが、今回も無駄だった
ようで。。。

それにしても残念なのは…

明日の笹やんの顔を見ることが出来ないってコトです。

自ら髭を剃って来るか、センター長に除毛剤を塗りつけられるか…

いずれにしても、ツルツル笹やんを見ることが出来なくて、
とても残念です。。。
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