笹やん トボケ顔
日曜日は、冷凍食品センターでバイトしていますが、そこの
20代後半のバイト男子・ハヤカワさん…
彼は大人しく地味な性格で、会話はひかえめ、そして動きも
ひかえめ、スピード感はありませんが、物事をコツコツと
こなすタイプです。
が…
ミスが多いようで…。
午前中の出庫作業で商品を間違えて出してしまい…
その商品が、今日、初めて出庫される商品であったため、
周囲も気づかず、そのまま納品先の店舗ごとに仕分けられ…
間違いに気づいたのは、ほぼ仕分け作業が完了してから…
おいっ！
これ違うやろ！
新商品だから間違えんように
気をつけろヨと言ったにも拘わらず、
何で間違えるんやっ！
作業場を通り掛かったセンター長の大声が響き渡りました。
誰や！？
これ出庫したヤツは！
しばらく沈黙が続きます。。。
誰やって聞いとるやろ！？
なおも沈黙。。。
周りを見渡しながら、センター長が、
ハヤカワ…
おめーやろ！？
ズバリ、言い当てました。。。
何ごとにもひかえめで地味なハヤカワさんですが、ここは大いに
狼狽したらしく、その様子がセンター長に見破られてしまった
ようです。
何で黙っとるんや！
さっさと名乗り出て謝れよ！
おめー、このまま納品したら、
大きなクレームになることが
わからんのかっ！
っつーか、おめー、何回も
同じようなミスしやがって！
なぁ？
出庫の際には商品名と数量を
出庫表と現物を照合して
確認しろって何回も言っとるにも
拘わらず、何でそれが出来んのや！？
っつーか、おめー、確か一昨日も
冷凍麺の出庫ミスしたやろ！？
なぁ？
なに考えとるんや？
まったく反省しとらんなぁ…。
っつーか、ミスして申し訳ないという
気持ちになっとらんやろ？
ひとつのミスが全体に迷惑を
掛けるんや…って、おめーに
何回も何回も言っとるやろ！
にも拘わらず…、
っつーか、おめー、オレの注意を
聞き流しとるんかっ！
なぁ？
ハヤカワさんは、さっそくセンター長の「なぁなぁ攻撃」と
「にも拘わらず攻撃」にさらされ、薄ら笑いを浮かべて顔面を
硬直させたまま、突っ立っています。
薄ら笑いを浮かべつつ、目は全然笑っていないハヤカワさんの
顔を見て、僕は笑いを堪えるのに必死です。。。
これは僕だけじゃなかったと思います。
既に、笑いで身体を揺すっているバイトも見られました。。。
おめー、このまま仕事を続けていく
気でおるんか？
なぁ？
オレの注意を聞くこともなく、
同じミスを繰り返して、このまま
続けていけるつもりでおるんかって
聞いとるんやっ？
第一、おめー、ここで仕事して
何年になる？
なぁ？
昨日、今日から始めたわけじゃねーだろ！
3年目か？
4年目になるか？
普通ならミスしやすい作業とか、工程とかが
分かる時期やぞ！
自然とミスしないように気を付ける
時期やろ！
にも拘わらず、まるで変わらずに
同じミスばっかしやがって！
どーなっとるんや？
なぁ？
クドクドとセンター長から攻撃を受け、ハヤカワさんは薄ら笑いを
浮かべたまま、一言も返すことなく突っ立っているだけ。。。
そのハヤカワさんの薄ら笑いに、僕は「諦観」の表情を感じ取った
のです。
今なお続くセンター長の怒声に対し、ハヤカワさんは薄ら笑いを
もってして耐え忍んでいるような…
反論しないけど、反省もしない…
ただひたすら怒声を浴び、時が過ぎるのを待つ。
センター長にしてみれば、まさに「暖簾に腕押し」状態。。。
暖簾のハヤカワ…
僕は、そんな言葉を思い浮かべてしまい、笑いが込み上げて
きました。
ところで…
ハヤカワ…さんが間違えて出庫した商品は、冷凍ロースかつ(L)で、
本来は冷凍ロースかつ(ロング)を出庫しなければならなかったのです。
冷凍ロースかつ(ロング)は、今回初めて出庫する商品で、
これまでの冷凍カツSKが終売になって、
代わりに今週から冷凍ロースかつ(ロング)を
納品することになるんで、間違えるなよ。
いいか？
冷凍ロースかつ(L)と間違えるなよ！
ロングとLを間違えるなよ！
って何回も言ったにも拘わらず！
おめー、見事に間違えたな。
ロングとLを間違えたんやろ？
なぁ？
あれほどLはロングのことじゃなくて、
サイズの規格やぞって言ったにも
拘わらずっ！
なんにも聞いとらんな、おめーは…。
今やセンター長は、顔面から湯気が上ってくるほど真っ赤になって
ハヤカワさんを怒鳴っているわけですが…
この段階で、我慢できず笑い声を発した周囲のバイト…
もちろん、僕も含まれています。。。
つまり、ハヤカワさんは、
そこに落とし穴があるから
落ちないように気をつけろ
と言われた矢先に落ちてしまったわけです。。。
さあ！ここで笹やんが姿を見せました。
笹やんは、フォークリフトで午後からの仕分け商品の出庫をしており、
それを僕らがいる作業場まで運んできたのでした。
来るなり笹やんは、センター長の真っ赤な顔を見て、何事かと不審に
思ったようでした。
ゆっくりと運んできた商品を床に置き、何事もないように収納庫へ
戻ろうとする笹やんを、センター長が呼び止めました。
名を呼ばれた笹やんは、ホンの一瞬、間を置いて、
なんスか？
トボケ気味に言いました。
おめー、ちゃんと冷凍ロースかつの件、
バイトに説明しとけよ！
オレが心配した通り、こいつが…
センター長は、ハヤカワさんを指差して、
さっそく出庫ミスしたんだぞ！
っつーか、笹○、おめーも
管理者の立場だったら、
新規商品の出庫確認ぐらいしろよ！
間違いなく新しい商品が出されて
いるか確認するのが当り前やろ！
おめーがバイトを放ったらかしに
しとくから、こうやって同じ
ミスばっかするヤツが出てくるンやぞ！
と、笹やんを叱り出しました。
これに対して笹やん、
え？
出庫ミス？
ハヤカワが何を間違えて
出庫したんスか？
センター長に尋ねます。
笹やんは、ハヤカワさんの出庫ミスを知らなかったのです。
これにイラついたセンター長。
だから冷凍ロースかつだって
言っとるやろ！
ロングとLを間違えるなって
言ったにも拘わらず、
見事に間違えたんや！
ハヤカワのミスは、おめーの
管理の怠慢でもあるんやぞ！
わかっとるンかっ！
センター長の怒声はハヤカワさんから、笹やんへと移ります。
へ？
ロング…？
トボケ顔の笹やん…。
まるで冷凍ロースかつ(ロング)が新商品として今日から出庫される
ことを忘れているかのような…
笹○…、
まさか、おめー、冷凍ロースかつの件、
忘れとるンやないやろうな？
････････････
おめー、それでも管理者かて？
ハヤカワもハヤカワなら、
おめーもおめーや！
センター長に怒鳴られ、
ああ、あの件ですか…
ロングって、Lのことでしょ？
と言った笹やんに、僕らバイトは爆笑☆
ハヤカワさんまで笑ってます。。。
怒り狂ったように人差し指を立てた右手を笹やんの目の前で
ブンブン振るいながら、
おめーの頭の中はどーなっとるんや？
ロングとLを間違えないように
出庫するようバイトに指示しとけって
おめーに何回も言ったやろ！
おめーはハヤカワ以下やっ！
センター長の怒声は延々と響き渡るのでした。。。
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20代後半のバイト男子・ハヤカワさん…
彼は大人しく地味な性格で、会話はひかえめ、そして動きも
ひかえめ、スピード感はありませんが、物事をコツコツと
こなすタイプです。
が…
ミスが多いようで…。
午前中の出庫作業で商品を間違えて出してしまい…
その商品が、今日、初めて出庫される商品であったため、
周囲も気づかず、そのまま納品先の店舗ごとに仕分けられ…
間違いに気づいたのは、ほぼ仕分け作業が完了してから…
おいっ！
これ違うやろ！
新商品だから間違えんように
気をつけろヨと言ったにも拘わらず、
何で間違えるんやっ！
作業場を通り掛かったセンター長の大声が響き渡りました。
誰や！？
これ出庫したヤツは！
しばらく沈黙が続きます。。。
誰やって聞いとるやろ！？
なおも沈黙。。。
周りを見渡しながら、センター長が、
ハヤカワ…
おめーやろ！？
ズバリ、言い当てました。。。
何ごとにもひかえめで地味なハヤカワさんですが、ここは大いに
狼狽したらしく、その様子がセンター長に見破られてしまった
ようです。
何で黙っとるんや！
さっさと名乗り出て謝れよ！
おめー、このまま納品したら、
大きなクレームになることが
わからんのかっ！
っつーか、おめー、何回も
同じようなミスしやがって！
なぁ？
出庫の際には商品名と数量を
出庫表と現物を照合して
確認しろって何回も言っとるにも
拘わらず、何でそれが出来んのや！？
っつーか、おめー、確か一昨日も
冷凍麺の出庫ミスしたやろ！？
なぁ？
なに考えとるんや？
まったく反省しとらんなぁ…。
っつーか、ミスして申し訳ないという
気持ちになっとらんやろ？
ひとつのミスが全体に迷惑を
掛けるんや…って、おめーに
何回も何回も言っとるやろ！
にも拘わらず…、
っつーか、おめー、オレの注意を
聞き流しとるんかっ！
なぁ？
ハヤカワさんは、さっそくセンター長の「なぁなぁ攻撃」と
「にも拘わらず攻撃」にさらされ、薄ら笑いを浮かべて顔面を
硬直させたまま、突っ立っています。
薄ら笑いを浮かべつつ、目は全然笑っていないハヤカワさんの
顔を見て、僕は笑いを堪えるのに必死です。。。
これは僕だけじゃなかったと思います。
既に、笑いで身体を揺すっているバイトも見られました。。。
おめー、このまま仕事を続けていく
気でおるんか？
なぁ？
オレの注意を聞くこともなく、
同じミスを繰り返して、このまま
続けていけるつもりでおるんかって
聞いとるんやっ？
第一、おめー、ここで仕事して
何年になる？
なぁ？
昨日、今日から始めたわけじゃねーだろ！
3年目か？
4年目になるか？
普通ならミスしやすい作業とか、工程とかが
分かる時期やぞ！
自然とミスしないように気を付ける
時期やろ！
にも拘わらず、まるで変わらずに
同じミスばっかしやがって！
どーなっとるんや？
なぁ？
クドクドとセンター長から攻撃を受け、ハヤカワさんは薄ら笑いを
浮かべたまま、一言も返すことなく突っ立っているだけ。。。
そのハヤカワさんの薄ら笑いに、僕は「諦観」の表情を感じ取った
のです。
今なお続くセンター長の怒声に対し、ハヤカワさんは薄ら笑いを
もってして耐え忍んでいるような…
反論しないけど、反省もしない…
ただひたすら怒声を浴び、時が過ぎるのを待つ。
センター長にしてみれば、まさに「暖簾に腕押し」状態。。。
暖簾のハヤカワ…
僕は、そんな言葉を思い浮かべてしまい、笑いが込み上げて
きました。
ところで…
ハヤカワ…さんが間違えて出庫した商品は、冷凍ロースかつ(L)で、
本来は冷凍ロースかつ(ロング)を出庫しなければならなかったのです。
冷凍ロースかつ(ロング)は、今回初めて出庫する商品で、
これまでの冷凍カツSKが終売になって、
代わりに今週から冷凍ロースかつ(ロング)を
納品することになるんで、間違えるなよ。
いいか？
冷凍ロースかつ(L)と間違えるなよ！
ロングとLを間違えるなよ！
って何回も言ったにも拘わらず！
おめー、見事に間違えたな。
ロングとLを間違えたんやろ？
なぁ？
あれほどLはロングのことじゃなくて、
サイズの規格やぞって言ったにも
拘わらずっ！
なんにも聞いとらんな、おめーは…。
今やセンター長は、顔面から湯気が上ってくるほど真っ赤になって
ハヤカワさんを怒鳴っているわけですが…
この段階で、我慢できず笑い声を発した周囲のバイト…
もちろん、僕も含まれています。。。
つまり、ハヤカワさんは、
そこに落とし穴があるから
落ちないように気をつけろ
と言われた矢先に落ちてしまったわけです。。。
さあ！ここで笹やんが姿を見せました。
笹やんは、フォークリフトで午後からの仕分け商品の出庫をしており、
それを僕らがいる作業場まで運んできたのでした。
来るなり笹やんは、センター長の真っ赤な顔を見て、何事かと不審に
思ったようでした。
ゆっくりと運んできた商品を床に置き、何事もないように収納庫へ
戻ろうとする笹やんを、センター長が呼び止めました。
名を呼ばれた笹やんは、ホンの一瞬、間を置いて、
なんスか？
トボケ気味に言いました。
おめー、ちゃんと冷凍ロースかつの件、
バイトに説明しとけよ！
オレが心配した通り、こいつが…
センター長は、ハヤカワさんを指差して、
さっそく出庫ミスしたんだぞ！
っつーか、笹○、おめーも
管理者の立場だったら、
新規商品の出庫確認ぐらいしろよ！
間違いなく新しい商品が出されて
いるか確認するのが当り前やろ！
おめーがバイトを放ったらかしに
しとくから、こうやって同じ
ミスばっかするヤツが出てくるンやぞ！
と、笹やんを叱り出しました。
これに対して笹やん、
え？
出庫ミス？
ハヤカワが何を間違えて
出庫したんスか？
センター長に尋ねます。
笹やんは、ハヤカワさんの出庫ミスを知らなかったのです。
これにイラついたセンター長。
だから冷凍ロースかつだって
言っとるやろ！
ロングとLを間違えるなって
言ったにも拘わらず、
見事に間違えたんや！
ハヤカワのミスは、おめーの
管理の怠慢でもあるんやぞ！
わかっとるンかっ！
センター長の怒声はハヤカワさんから、笹やんへと移ります。
へ？
ロング…？
トボケ顔の笹やん…。
まるで冷凍ロースかつ(ロング)が新商品として今日から出庫される
ことを忘れているかのような…
笹○…、
まさか、おめー、冷凍ロースかつの件、
忘れとるンやないやろうな？
････････････
おめー、それでも管理者かて？
ハヤカワもハヤカワなら、
おめーもおめーや！
センター長に怒鳴られ、
ああ、あの件ですか…
ロングって、Lのことでしょ？
と言った笹やんに、僕らバイトは爆笑☆
ハヤカワさんまで笑ってます。。。
怒り狂ったように人差し指を立てた右手を笹やんの目の前で
ブンブン振るいながら、
おめーの頭の中はどーなっとるんや？
ロングとLを間違えないように
出庫するようバイトに指示しとけって
おめーに何回も言ったやろ！
おめーはハヤカワ以下やっ！
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