笹やん 大激怒
ガッシャ─────ン！！！
ものすごい音響でした。。。
今日の昼、2時頃のことです。
バイト先の冷凍食品センターで、フォークリフトが各種商品を
積んだカゴ車に激突しました！
リフトを操作していたのはササキさんという40代のバイトの
人で、彼は午後から出勤し、深夜まで働いているそうです。
また、彼のリフト操作の荒っぽさは評判で、センター長から
よく注意されていますが、全く改めようとせず、これまでも
何度かリフトで商品を破損させていました。
バカ野郎！
ササキっ！
おまえ、何やっとるンだ！！
笹やんの怒声が響き渡りました。
とにかくササキさんがフォークリフトを操作すると、誰もが
避けていくほどで、やたらスピードを出し、急に曲がったり、
急旋回したり、積み上げられたパレットに突っ込んで行ったり…、
しかも、脇見運転をしているのか、庫内の壁や鉄柱にも
激突したこともあるそうです。
僕は目撃したことがないのですが、確かに庫内の一部の壁面に
悲惨な傷跡が残っている箇所があったり、ドアも一部、凹んで
いる箇所もあり、これらは、ほとんどササキさんの痕跡らしい
です。。。
商品の破損件数もダントツらしく、パレットに商品を積んで
急旋回するものですから、商品が振り飛ばされたり、
パレットをすくい上げようとして、勢い余り、積んである
商品をフォークでブッ刺したり…、
もうササキにリフトを
運転させるなっ！
以前よりセンター長が厳命したそうですが、あいにく
リフトを操作する人が絶対的に少ないらしく、さらに
ササキさんのように深夜まで作業する人は特に少ないので、
仕方なく彼をリフトマンとして使っているようです。
そして今回は、これから出発する配送便に積み込むため、
商品を積んで並べられたカゴ車に突っ込んだわけです。
現場を見に行くと、4台ほどカゴ車が転倒しており、当然、
商品は床上に散乱しており、ケースや袋が破れ、中身が
散らばっている商品もあります。
また、転倒したカゴ車の中には、側面の鉄パイプが
グニャグニャに曲がり、凄惨な姿になっているのも
見られました。
そんな光景の中…、
当のササキさんは、フォークリフトに乗ったままの状態で、
やや口を開け、放心したような目つきで静止していました。
こうしてみると、フォークリフトって素晴らしく頑丈に
できているンだなぁ…なんて、僕は感心したりもしました。。。
なにしろ、リフトの方は傷らしい傷も、凹みもありません。
バカ野郎！
おまえ、何回やったら
気が済むんだっ！
再び笹やんの怒声です。
おーい、みんな手伝え！
破損した商品を取り替えて、
早く準備しろ！
配送便の出発が遅れると
ヤバいぞ！
笹やんは周囲のバイトに指示して、カゴ車の商品を確認させ
たり、取り替えさせたりしました。
僕ら、別作業をしていたバイトも手伝うことになりました。
おいっ！ササキ！
笹やんがササキさんに怒鳴ると、ようやくササキさんは
我に返ったのか、笹やんに向き直り、
ハッ…、
ス、スンマセン
と、唇を歪めて言いました。
スンマセンじゃねーわ！
って言うか、おまえ、
なんでカゴ車に突っ込むんや？
どうやったら、こんなふうに
なるんや？
笹やんが声を荒げて尋ねても、ササキさんは、
ハッ…、ハッ…
と、笑っているのか返事してるのか、よくわからないような
声を発するのみ。。。
僕はこれまで、ササキさんという人の存在は知っていましたが、
話したこともなく、こんなに間近で見るのは初めてでした。
いつも、荒っぽい運転する人だなぁ～…って感じで、離れた
位置でしか見ていませんでした。
こうして近くで見た印象として、ササキさんは荒っぽい
リフト操作の割に、顔つきや動作から、気が小さそうな感じを
受けました。
おまえ…、
こんなコトばっかりやってるから
バイト代少なくなるんやゾ。
バイト代少ない、少ないって
グチっとるけど、当たり前やろ！
こんだけモノ壊したり、商品破損させたり…
その分、おまえのバイト代から
差し引かれとるんやゾ！
笹やんが言うように、ササキさんは毎月、本来のバイト代を
受け取ることができず、破損分を差し引かれているようで、
それが面白くないから、ササキさんは荒っぽい操作でリフトに
乗り、うっ憤を晴らしているのかも知れません。
…って、だったらイタチごっこ？
いつまで経っても本来のバイト代は手に入らないヨ…。
しばらくすると、センター長もやってきて、この凄惨な状況を
見るなり、
ササキ…、今月のバイト代、
ないかも知れんゾ…。
と言いました。
ハッ…、ハッ…？
ここでササキさんは、目を丸くしてセンター長を見つめました。
ハ…じゃねーわッ！！
オメー、自分でわかっとるやろ！
今月に入って何回、商品
破損させた？
なぁ？
オメー、毎週やっとるンやぞ！
わかっとるやろーなッ！
なぁ？
今度はセンター長の怒声が響き渡りました。
単純に計算しても、オメーが
今月になって破損させた金額は
20万円超えとるンやぞ！
なぁ？
20万円やぞ！
ハッ…、ハッ…
だから、ハ…じゃねーわッ！
20万円も、オメー…
信じれンぞ！
なぁ？
今まで、オメーの記録では
10万までいったことはあったけど、
20万やぞ！
オメー、わかっとるやろ！
なぁ？
それだけの金額の商品をオメー
ひとりで今月、破損させとるンやぞ！
ハッ…、ハッ…
普通だったら、1ヵ月で10万も
商品破損させた時点でクビやぞ！
クビ！！
なぁ？
それをオメーが泣いて頼むものだから…、
それに深夜までやってくれることもあって、
それで仕方なく使ってやっとるンやぞ！
なぁ？
今日はハッキリ言わしてもらうけど、
オメーみたいに、いい歳してメチャクチャな
運転するヤツおらんぞ！
って言うか散々、壁やドアにぶつかったり、
商品破損させたりして、なんで大人しい
運転しようと思わんのや？
なぁ？
ハッキリ言うけど、オメーなんか使い物に
ならんのを、仕方なく使ってやっとるンやぞ！
ハッ…
センター長にハッキリ言われ、さすがに肩を落とし、
ションボリしたササキさん…。
この様子を笹やんは、面白そうにニヤニヤしながら
眺めていました。
センター長が、そんな笹やんをジロリと睨み、
おい、笹○！
今月、ササキが破損させた合計金額、
たぶん、ササキのバイト代で
賄えんから、その分、おまえの
給料から引いとくぞ！
エエな？
と、本気口調で言いました。
は…？
と、笹やん、目をテンにしてセンター長へ、
ちょっ、ちょっ…ちょっと
待ってくださいよ。
なんでオレがササキの分を？
おかしいじゃんねぇ！
そう言いながらも、センター長は冗談を言っていると
思っているのか、笹やんは再びニヤニヤしています。
仕方ないやろ…。
破損金額は間違いなくササキの
バイト代を超えるンやから…。
おまえの管理責任と言うことで
おまえ、不足分を負担しろ
どうやら、マジでセンター長は言っているようだと
悟った笹やん…
管理責任って…、
ササキはオレの管轄のバイトじゃ
ないじゃんねぇ！
オレ、全然関係ないじゃんねぇ！
抗議する笹やん。。。
おまえの管轄バイトとか
そー言うんじゃなくて、
おまえ、リフト操作指導責任者やろ？
なぁ？
って言うか、おまえ…
すっかり忘れとるやろ？
センター長にサラリと言われ、慌てる笹やん。。。
え゛～～～～～っ！！
第一、なんでササキのリフト操作の
荒さを今まで放っておいたンや！？
なぁ？
オレが前々から、ササキに厳しく
指導しろって、おまえに言っとるにも
拘わらず…
おまえ、生返事だけで何も
しとらんかったやろ！
そのツケが今、こうして回ってきたんやぞ！
え゛～～～～～っ！！
とにかく、今回の破損金額も
合わせて、正確な金額を
計算しとくから…、
おい、ササキっ！
オメー、今月まだ1週間あるけど、
もう破損させるなよ！
笹○の給料減るから…
センター長は、笹やんからササキさんへ向き直り、そう言い
ました。
ハッ…、ハッ…
ササキさんは、頭をペコペコさせて返事しましたが…
この人、満足にしゃべれないんだろうか…？
さっきからハッ…、ハッ…しか言ってないし…。
笹やんは、キッ！とササキさんを睨み、
バカ野郎！
ササキっ！！
ふざけんなっ！
テメー、覚えてろよ！！
怒りを込めて叫びました。さらに…
テメーのせいで…、
って、なんでオレがテメーの
ケツ拭かなきゃアカンのだ！
バカ野郎！
今度、リフトでミスしたら、
クビだ！クビっ！！
ぶっ殺すぞ！テメー！
唾を飛ばしてササキさんに怒鳴る笹やん、大激怒です。。。
ハッ…、ハッ…
ササキさんは、薄笑いしながら、笹やんにペコペコするだけ…。
ホント、この人って、満足にしゃべれないのかな…？
ま…、笹やんには申し訳ないですが、僕らバイトは、
この段階で笑いを押し殺してましたけど。。。
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ものすごい音響でした。。。
今日の昼、2時頃のことです。
バイト先の冷凍食品センターで、フォークリフトが各種商品を
積んだカゴ車に激突しました！
リフトを操作していたのはササキさんという40代のバイトの
人で、彼は午後から出勤し、深夜まで働いているそうです。
また、彼のリフト操作の荒っぽさは評判で、センター長から
よく注意されていますが、全く改めようとせず、これまでも
何度かリフトで商品を破損させていました。
バカ野郎！
ササキっ！
おまえ、何やっとるンだ！！
笹やんの怒声が響き渡りました。
とにかくササキさんがフォークリフトを操作すると、誰もが
避けていくほどで、やたらスピードを出し、急に曲がったり、
急旋回したり、積み上げられたパレットに突っ込んで行ったり…、
しかも、脇見運転をしているのか、庫内の壁や鉄柱にも
激突したこともあるそうです。
僕は目撃したことがないのですが、確かに庫内の一部の壁面に
悲惨な傷跡が残っている箇所があったり、ドアも一部、凹んで
いる箇所もあり、これらは、ほとんどササキさんの痕跡らしい
です。。。
商品の破損件数もダントツらしく、パレットに商品を積んで
急旋回するものですから、商品が振り飛ばされたり、
パレットをすくい上げようとして、勢い余り、積んである
商品をフォークでブッ刺したり…、
もうササキにリフトを
運転させるなっ！
以前よりセンター長が厳命したそうですが、あいにく
リフトを操作する人が絶対的に少ないらしく、さらに
ササキさんのように深夜まで作業する人は特に少ないので、
仕方なく彼をリフトマンとして使っているようです。
そして今回は、これから出発する配送便に積み込むため、
商品を積んで並べられたカゴ車に突っ込んだわけです。
現場を見に行くと、4台ほどカゴ車が転倒しており、当然、
商品は床上に散乱しており、ケースや袋が破れ、中身が
散らばっている商品もあります。
また、転倒したカゴ車の中には、側面の鉄パイプが
グニャグニャに曲がり、凄惨な姿になっているのも
見られました。
そんな光景の中…、
当のササキさんは、フォークリフトに乗ったままの状態で、
やや口を開け、放心したような目つきで静止していました。
こうしてみると、フォークリフトって素晴らしく頑丈に
できているンだなぁ…なんて、僕は感心したりもしました。。。
なにしろ、リフトの方は傷らしい傷も、凹みもありません。
バカ野郎！
おまえ、何回やったら
気が済むんだっ！
再び笹やんの怒声です。
おーい、みんな手伝え！
破損した商品を取り替えて、
早く準備しろ！
配送便の出発が遅れると
ヤバいぞ！
笹やんは周囲のバイトに指示して、カゴ車の商品を確認させ
たり、取り替えさせたりしました。
僕ら、別作業をしていたバイトも手伝うことになりました。
おいっ！ササキ！
笹やんがササキさんに怒鳴ると、ようやくササキさんは
我に返ったのか、笹やんに向き直り、
ハッ…、
ス、スンマセン
と、唇を歪めて言いました。
スンマセンじゃねーわ！
って言うか、おまえ、
なんでカゴ車に突っ込むんや？
どうやったら、こんなふうに
なるんや？
笹やんが声を荒げて尋ねても、ササキさんは、
ハッ…、ハッ…
と、笑っているのか返事してるのか、よくわからないような
声を発するのみ。。。
僕はこれまで、ササキさんという人の存在は知っていましたが、
話したこともなく、こんなに間近で見るのは初めてでした。
いつも、荒っぽい運転する人だなぁ～…って感じで、離れた
位置でしか見ていませんでした。
こうして近くで見た印象として、ササキさんは荒っぽい
リフト操作の割に、顔つきや動作から、気が小さそうな感じを
受けました。
おまえ…、
こんなコトばっかりやってるから
バイト代少なくなるんやゾ。
バイト代少ない、少ないって
グチっとるけど、当たり前やろ！
こんだけモノ壊したり、商品破損させたり…
その分、おまえのバイト代から
差し引かれとるんやゾ！
笹やんが言うように、ササキさんは毎月、本来のバイト代を
受け取ることができず、破損分を差し引かれているようで、
それが面白くないから、ササキさんは荒っぽい操作でリフトに
乗り、うっ憤を晴らしているのかも知れません。
…って、だったらイタチごっこ？
いつまで経っても本来のバイト代は手に入らないヨ…。
しばらくすると、センター長もやってきて、この凄惨な状況を
見るなり、
ササキ…、今月のバイト代、
ないかも知れんゾ…。
と言いました。
ハッ…、ハッ…？
ここでササキさんは、目を丸くしてセンター長を見つめました。
ハ…じゃねーわッ！！
オメー、自分でわかっとるやろ！
今月に入って何回、商品
破損させた？
なぁ？
オメー、毎週やっとるンやぞ！
わかっとるやろーなッ！
なぁ？
今度はセンター長の怒声が響き渡りました。
単純に計算しても、オメーが
今月になって破損させた金額は
20万円超えとるンやぞ！
なぁ？
20万円やぞ！
ハッ…、ハッ…
だから、ハ…じゃねーわッ！
20万円も、オメー…
信じれンぞ！
なぁ？
今まで、オメーの記録では
10万までいったことはあったけど、
20万やぞ！
オメー、わかっとるやろ！
なぁ？
それだけの金額の商品をオメー
ひとりで今月、破損させとるンやぞ！
ハッ…、ハッ…
普通だったら、1ヵ月で10万も
商品破損させた時点でクビやぞ！
クビ！！
なぁ？
それをオメーが泣いて頼むものだから…、
それに深夜までやってくれることもあって、
それで仕方なく使ってやっとるンやぞ！
なぁ？
今日はハッキリ言わしてもらうけど、
オメーみたいに、いい歳してメチャクチャな
運転するヤツおらんぞ！
って言うか散々、壁やドアにぶつかったり、
商品破損させたりして、なんで大人しい
運転しようと思わんのや？
なぁ？
ハッキリ言うけど、オメーなんか使い物に
ならんのを、仕方なく使ってやっとるンやぞ！
ハッ…
センター長にハッキリ言われ、さすがに肩を落とし、
ションボリしたササキさん…。
この様子を笹やんは、面白そうにニヤニヤしながら
眺めていました。
センター長が、そんな笹やんをジロリと睨み、
おい、笹○！
今月、ササキが破損させた合計金額、
たぶん、ササキのバイト代で
賄えんから、その分、おまえの
給料から引いとくぞ！
エエな？
と、本気口調で言いました。
は…？
と、笹やん、目をテンにしてセンター長へ、
ちょっ、ちょっ…ちょっと
待ってくださいよ。
なんでオレがササキの分を？
おかしいじゃんねぇ！
そう言いながらも、センター長は冗談を言っていると
思っているのか、笹やんは再びニヤニヤしています。
仕方ないやろ…。
破損金額は間違いなくササキの
バイト代を超えるンやから…。
おまえの管理責任と言うことで
おまえ、不足分を負担しろ
どうやら、マジでセンター長は言っているようだと
悟った笹やん…
管理責任って…、
ササキはオレの管轄のバイトじゃ
ないじゃんねぇ！
オレ、全然関係ないじゃんねぇ！
抗議する笹やん。。。
おまえの管轄バイトとか
そー言うんじゃなくて、
おまえ、リフト操作指導責任者やろ？
なぁ？
って言うか、おまえ…
すっかり忘れとるやろ？
センター長にサラリと言われ、慌てる笹やん。。。
え゛～～～～～っ！！
第一、なんでササキのリフト操作の
荒さを今まで放っておいたンや！？
なぁ？
オレが前々から、ササキに厳しく
指導しろって、おまえに言っとるにも
拘わらず…
おまえ、生返事だけで何も
しとらんかったやろ！
そのツケが今、こうして回ってきたんやぞ！
え゛～～～～～っ！！
とにかく、今回の破損金額も
合わせて、正確な金額を
計算しとくから…、
おい、ササキっ！
オメー、今月まだ1週間あるけど、
もう破損させるなよ！
笹○の給料減るから…
センター長は、笹やんからササキさんへ向き直り、そう言い
ました。
ハッ…、ハッ…
ササキさんは、頭をペコペコさせて返事しましたが…
この人、満足にしゃべれないんだろうか…？
さっきからハッ…、ハッ…しか言ってないし…。
笹やんは、キッ！とササキさんを睨み、
バカ野郎！
ササキっ！！
ふざけんなっ！
テメー、覚えてろよ！！
怒りを込めて叫びました。さらに…
テメーのせいで…、
って、なんでオレがテメーの
ケツ拭かなきゃアカンのだ！
バカ野郎！
今度、リフトでミスしたら、
クビだ！クビっ！！
ぶっ殺すぞ！テメー！
唾を飛ばしてササキさんに怒鳴る笹やん、大激怒です。。。
ハッ…、ハッ…
ササキさんは、薄笑いしながら、笹やんにペコペコするだけ…。
ホント、この人って、満足にしゃべれないのかな…？
ま…、笹やんには申し訳ないですが、僕らバイトは、
この段階で笑いを押し殺してましたけど。。。
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