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笹やん 返り討ち

おぅ!と笹やんが片手をあげ、軽い感じで
僕を呼び止めました。

バイト先の冷凍食品センター。
昼の12時を少し過ぎた頃です。


  昼メシ奢るから、
  一緒に行こう。

そう、笹やんに言われ、僕は何のためらいもなく
笹やんの愛車に乗せてもらい、昼ごはんを食べに
連れて行ってもらいました。

お店は、笹やん行きつけのうどん屋です。

僕は、笹やんと同じ「冷やしうどん大盛」をいただきました。
hiyasiU.jpg

食べながら、笹やんが語り始めました。

  チュル…チュチュ…、

  今日、1時半から…、

  クチャクチャ…、

  “ニオイ”が来て…、

  チュルル…、クチャクチャ…、
  ズッ、ズズゥ~…、

  あの…、
  また、アイツ…、今度は…、

  チュル…、クチャクチャ…

  作業ミスのことで…、

  チュル…、ゴボッ!!

たぶん、ごまか何か、のどに引っ掛かって、むせ返る笹やん。

  うわっ!
  汚ねっ…!

そう思って、僕は、ちょっと身を反らしましたが、
笹やんに悟られることなく、再び、うんうん!と
頷きながら、話を聞いている態度を示しました。

で、笹やんの話を要約すると…、

今日の1時半に、例のコンサルのイシダさん…彼女のことを
笹やんは“ニオイ”と呼んでます…がセンターに来て、
今月、発生した作業ミスの内容を途中チェックに来るとの
ことです。

それで笹やんとしても、自分の管轄内で作業ミスを
発生させているため、いろいろ言われると思うけど、
自分の言っていることに対して、反論しないように、
ほかのバイトにも言っておくように…、と僕に指示を
出したわけです。

要するに、イシダさんのチェック中に、笹やんが
説明している内容を、僕らは、その通りだと言って
いればイイわけです。


さて、センターに戻り、僕は指示通り、同じグループの
バイトに、笹やんの伝言を伝えました。

また、何か笹やん、やってくれそうだね!とか言いながら、
みんな、期待してるみたいです。


そうこうしていると、イシダさんがセンター長と一緒に
センター内に姿を見せました。

  笹○さん!

さっそくイシダさんに呼ばれる笹やん。

来たか!と言うような顔つきでイシダさんの方へ歩いて
行きます。

それにしても、イシダさん…、

この暑い季節にも関わらず、相変わらず厚化粧に
原色の服装でキメてます。。。

  今月10日、同じ商品名で規格の違う
  商品を出庫して、そのまま19店に
  発送してしまうと言うミスが
  ありましたね!

  この商品の管理担当も、出庫担当も
  笹○さんの管轄ですが、あれから
  どんな対策をしましたか?

上から目線でイシダさんが言うと、笹やん、キッと
表情を引き締め、

  ええ、大きなミスを犯してしまい、
  ご迷惑を掛けたと反省しています。

  対策としては、それぞれ、規格違いの
  商品の保管場所に、注意を促すための
  ポスターを作り、貼り付けてあります。
  出庫担当者にも間違えのないように、
  口頭で指導しました。

と、ハキハキ、キビキビとした口調で答えました。

笹やん「してやったり!」と言わんばかりの表情。


  どーだ…、これで文句ないだろ!
  さ、もう帰れ!帰れ!

たぶん、心の中で、こんなふうに思っているんじゃ
ないでしょうか?

すると、イシダさんは鼻で溜め息をもらすようにして、
笹やんを睨みながら、

  貼紙で注意を促しているのは
  先ほど、わたしも確認しました。

  でも、出庫担当者はひとりだけじゃ
  ないんでしょ?
  全員に間違えないよう、指導しましたか?

そう言うと、笹やんがキッパリと答えました。

  ハイ!
  みんなに言ってあります!

と、僕らの方を見たので、うんうん!と僕らは
頷きました。

本当は、僕は…、いや、今日のバイトはみんな、
その商品自体もよく知らないと思いますが、
一応、笹やんの指示に従い、頷いておきました。

  じゃあ、どうして昨日も同じ
  商品を間違えて出庫したんですか!?

やや声を大きくして、イシダさんが指摘しました。

  あ…。

笹やん、絶句。

さらにセンター長からも、

  あの商品は、規格が大きい方が
  出荷先は1社だけと決まっとるだろっ!

  そのことをちゃんと全員に説明しとけと
  言ったにも関わらず、オマエ、言うこと
  きかないから、昨日も発送ミスが
  あったんだぞ!

  オマエんところに、何でその連絡が
  いってないんだ?

  それも問題だけど…オマエ、
  もう一度、全員に説明しとけっ!

と、クドクドと叱られ、

  あ…。

再び、絶句する笹やん。。。

もう、バッサ、バッサとメッタ斬りされたようです。

脇にいた僕らは、必死に笑いを堪えていました。

イシダさんからの指摘を予想し、万全を期したつもり
だった笹やん…、

見事、返り討ちにあってしまいました!
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