小さな食堂のかつ丼

お昼に入った食堂で食べたかつ丼（700円）です。

とんかつは大きくてやわらかく、とてもおいしいかつ丼で、
それはよかったのですが…

この小さな食堂は、いかにも昭和っぽくて…

木製のカウンターの表面にも、長年、手ぬぐいなどで
拭き清められたためか、独特の光沢が見られ…

かつ丼以上に味わい深い食堂です。

たぶん、80歳を過ぎていると思える店主が一人、厨房で調理を
しています。

同じく80を越えている、やや腰の曲がった店主の奥さんと
思われる女の人が、注文を取ったり、お茶を運んでくれたり、
お会計をしています。

小さな食堂ですが、お客さんはまあまあ多くて、サラリーマン風、
作業服姿など、いろいろです。

みんな、それぞれ定食を食べたり、中華そばを啜ったり･･

一様に黙って静かに食べてます。

2、3人連れの客もいますが、会話することなく黙々と食べて
います。

ラジオから演歌が流れてきました。

型の古いラジオが、カウンターの上に取り付けられた棚に
置いてあるのでした。

ガラガラッと、入口の引戸が開いて、制服を着た事務員らしい
50代ぐらいの女の人が入ってきて、

　　こんにちは～、出来てる？

と、この食堂の奥さんに尋ねました。

すると、厨房から店主が、しゃがれた声で、

　　親子丼ときつねうどんが
　　二つだったね。

そう言って、カウンターの上に大きなお盆を置き、そこに
3つの丼を置きました。

湯気を立てている3つの丼に、今度は奥さんがラップを掛け、

　　いつもありがとうね。
　　じゃあ、気をつけてね。

そう言って、事務員らしい人にお盆ごと手渡しました。

この食堂の隣にある事務所に勤めているのかも知れません。

出前はしないけど、こうしてテイクアウトにも応じている
みたいです。

食べ終ったら器を返しに来てもらうんでしょうね。

ラジオから交通情報が聞こえてきました。

な～んか、いいなぁ･･

よくわかンないけど、な～んか昭和っぽくて、いいなぁ･･

かつ丼を食べ終えた僕は、しばらく、ここの空気にまったり
していました。

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