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笹やん 交際中

若手バイトのスダさんは、興奮のあまり、足をもつらせて
その場で転んでしまいました。。。

バイト先の冷凍食品センターの作業場内は爆笑の渦…

引きつった照れ笑いを浮かべて立ち上がったスダさん…

  オレ、見ちゃったぜ!
  とうとう見ちゃったぜ!

そう叫んだのです。

出勤して来るなり、転んだ後、何を言い出すかと思えば…。

  笹やん、シマダさんと
  同棲しとるンやで!

ど───────ん!!って感じで、場内に大きな衝撃が走りました。。。

シマダさんは、ここでバイトしている40半ばの女性で、いつも
ニコニコしていて、とても明るい感じの人です。

聞くところによりますと、彼女は独身で、笹やんの近所で
独り暮らしをしているそうです。

  ええっ?


  マジかぁー?!


  やだ~!
  うっそぉ~!  

中年女子バイト数人とスダさんと仲の良いバイトたちが、それぞれ
声を上げながらスダさんの方へ近寄っていきました。

そして、スダさんの語るところによりますと…

昨夜10時過ぎ、スダさんが笹やんの住むマンション近くを
原付で走っており、進行方向の信号が赤になったので停車して、
何気なく笹やんの住んでいる部屋を眺めていたら…

  いきなり窓が開いて、そこから
  シマダさんが、いきなり顔を
  出してきたんやで!

とのことで、

  オレ、一瞬、何事かと思った…
  ハア~~~?って感じ…
  何でシマダさんが…って感じでさぁ、
  でも間違えなくシマダさんだった!
  あの顔はシマダさんだ!
  ってコトはさぁ…
  やっぱ、笹やん、シマダさんと
  つき合うようになって一緒に
  住んでるってコトじゃない!

そう語るスダさんの顔を見つめ、なぜか神妙な顔つきになって
聞き入る女子バイトの面々…。

  笹やんって、意外とヤリ手?


  って言うかさぁ、シマダさんって
  笹やんみたいなの好みだったっけ?


  もうちょっと選ぼうヨ…


  いやいや…
  笹やんって、押しが強いから
  押し倒されちゃったんじゃない?  


  そうそう!
  あの歳で全身精気に
  溢れてるって感じだし…。


  いやだぁ!性器だって?


  ちゃう、ちゃう!
  性器やなくて…
  精力の方の精気やんか


  同じようなモンだし…


  確かに歳の割には
  元気っぽいわなぁ


  シマダさん、欲求溜ってたんかなぁ?


  笹やんみたいに後先考えずに
  ガンガン突っ込んでくるのが
  好きなんちゃう?

誰に遠慮することもなく、そんなコトを言い合ってニヤニヤ
しています。

そこへ突然、若手バイトの一人が、

  何でシマダさん、
  窓から顔出したんやろ?

そんな質問を投げ掛けたのです。

  ・・・・・・・・・・・・
   ・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・。

しばし沈黙する作業場内…。

確かに、この時期、夜になれば冷えてきて窓を開ける必要は
なさそうです。

また、シマダさん一人だけが窓を開け、顔を出すと言うのは
どういう事なのか?

  そんなの知るかい!

沈黙はスダさんの、この言葉で破られました。

同時に全員、我に返ったように表情をやわらげました。

考えてみれば、シマダさんが窓から顔を出そうが出すまいが、
そんなのどうでもイイことで、知ったことじゃないと言えば
それまでです。。。

  アレじゃない?
  夜景を見たくなったとか…
  火照った身体を冷まそうと
  したとかさぁ…


  夜景って…
  笹やんの部屋、1階だぞ…
  別に夜景ってほどのモン
  何も見れんし…。
  それに火照った身体って何や?
  おまえ、何を想像して言ったんや?
  このエロ坊主が!

若手バイトとスダさんのやり取りに、明るい笑いが起こりました。

さあ、こうなると放ってはおけないのが中年女子バイトチームで、
作業場内に澄ました顔で現れた笹やんを見るや…

  おいおい、笹やん!
  マジか?


  ねえ、ちょっと笹やん!
  いつからなの?


  あんたもイイ歳して
  元気っつーか…


  けどさぁ、ひょっとして
  20近く歳が離れてるんじゃない?
  すごくない?

そんなコトを言いながら、遠慮なく笹やんの肩をポンポン叩くわ、
近寄ってニヤニヤしながら笹やんの顔を舐めるように見るわ…。

一方、笹やんも満更でもなさ気に、肩を叩かれてもニヤニヤして
平気でタメ口をきく中年女子バイトチームの面々を見ています。

  で…?
  なんのコト?

ニヤけつつ、とぼけた様子の笹やん。

  なんのコトって…
  シマダさんに決まってるじゃん!


  でもイイの?
  あんた、責任取れるの?

詰め寄る中年女子バイトたち。

笹やんは、再び澄まし顔で言いました。

  ああ、シマダさんね…
  責任って何や?
  女子高生じゃあるまいし!

ここで若手バイト数人が声をあげて笑いました。

しかし、この段階でスダさんの言ったことは事実であると判明した
ようなモンですが…

笹やんによれば、決して同棲しているわけではなく、シマダさんとは
何度か笹やんの部屋で一緒に軽く一杯やりながら食事をして過ごす
ことがあるとのことです。

立派な男女交際…ってことです。

なお、シマダさんは笹やんと同じ福岡県出身らしく、この点でも
気が合って、つき合いが進行したのかも知れません。

  何でシマダさん、
  窓から顔出したんやろ?

唐突に、先ほどの若手バイトが同じ質問を笹やんに投げ掛けました。

どうやら彼は、部屋の窓からシマダさんが顔を出したことが気に
なって仕方がないようです。。。

  ?????・・・・・・?

当然、笹やんは意味がわからず、ポカンとした表情で若手を見て
います。そこでスダさんが、昨夜、目撃した内容を話すと、

  ああ、アレね…
  実はオレんちに一度も使ってない
  ホットプレートがあるんで、昨日、
  焼肉パーティーすることになって…
  それで焼肉食ってるうちに熱気が
  部屋ン中にこもったんで、
  シマダさんが窓を開けた…
  それだけのコトや…。

笹やんが答えると、今度は質問した若手がポカンとした表情に
なりました。期待してたのと違う答えだったから意気消沈して
しまったのかも知れません。。。

  それにしてもなぁ~
  ええ?
  20も年下の独身女、部屋に連れ込んでなぁ
  二人で焼肉かぁ?
  ええ?
  熱気こもったン、焼肉のせいだけと
  ちゃうやろ~?

中年女子バイトチームのリーダー格・キノシタさんが笑いながら
笹やんをからかいました。

僕らバイト全員、声をあげて笑いました。

実に、ほがらかな雰囲気です。

  で?
  笹やん…
  この先、どーするの?

やや神妙な顔になり、キノシタさんが尋ねます。

  は…?
  この先って?

とぼけた様子の笹やん。

  この先って、シマダさんと
  どーするかってコトやろ!
  とぼけンな!

大きな声でキノシタさんが言うと、笹やんは妙に落ち着いた
感じで、

  どうもこうも…
  普通につき合いを続けるつもりだ

と言いました。

  つき合いを続けるって、
  一緒に暮らすとか、籍入れるとか
  考えたりしないの?

キノシタさんが尋ねると、

  オレもこの歳だしなぁ…
  男と女は結婚するとヒビが入る…。

静かな口調でした。笹やんは、そう言って、ちょっとだけ
遠くを見つめるような目になりました。

  ・・・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・・・・・・・・

作業場内が沈黙しました。

今の笹やんの言葉に、全員が共鳴しているかのようです。

少なくとも僕は共鳴しました。

男と女は結婚するとヒビが入る…

だから、一緒にならずにつき合いを続けた方が、壊れず、
新鮮さが保たれるのかも知れません。

深い!

今日の笹やん、とても深いコトを言いました!

一方のシマダさんは、どうなんでしょう?

昼の休憩時間にキノシタさんら中年女子バイトチームが
シマダさんに直撃インタビューするって言ってましたけど…

残念ながら、その結果が耳に届いてません。。。

追々、確かめて行きたいと思います。
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