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飛行機の中で気を失った男のお話

え~、毎度バカバカしいお話で…

手荷物は、少なくて軽いに越したことがありませんよね。

これから楽しい旅行に出掛けようってえのに、両手に
大きくて重いバッグを抱えてたんじゃ、行く先々で邪魔に
なって仕様がない。

第一、これじゃまっすぐ歩くことも出来やしない…。

  おい、ちょっと…
  ちょっと、待ってくれっての!
  おーい!

家の中にある物、全部持ってきたのかと思うほどの手荷物を
抱えた男がヨタヨタしながら、前方を急いで歩く仲間に
声をかけますが…

  おいおい、早く歩いてくれよ!
  これじゃ飛行機に間に合わないぜ!

仲間から小言を食らう始末。。。

いったい、大きなバッグに何を詰め込んできたのか、とにかく
手荷物が多すぎるわ、重すぎるわ…

とにかく飛行機の時間に間に合わなくちゃ、せっかく楽しみに
していた旅行が台無しに…

渋々、仲間たちは、その男の重たい手荷物を交互に持ったり、
担いだり…

何とか時間に間に合いました☆

  いやぁ、よかった!
  なあ、みんな!


  なあ、みんな…じゃねーよ!
  おまえのせいで、こっちは
  ヘトヘトだい!


  いやぁ、悪かった、悪かった!
  でも、おかげで時間に間に合って、
  オレは肩の荷が下りたヨ。


  バカヤロー!
  こっちに手荷物持たせておいて
  何が「肩の荷が下りた」だッ!?
  おまえみたいなヤツのことを
  お荷物ってんだ!

ってな感じで、荷物がどうのこうのと言ってモメておりますが…

さあ、何はともあれ!

目的地に向かう便に搭乗しよう!

ってコトになったものの…

  あっ!
  そちらのお客様…、
  大変申し訳ございませんが、
  お手荷物が少々多過ぎるようで…

係の者に指摘されました。

  え…?
  オレのことかい?
  少々多過ぎるってのは、
  どう多いんだい?
  少々なのか、多いのか、
  どっちかにしてくれぃ!

その大きくて重たい手荷物を持った男が、係の者に食い下がります。

  あの…、申し訳ございません、お客様。
  つまり、その…
  これだけのお荷物になりますと、
  追加料金をお支払いいただいた上、
  ご搭乗いただくことになりますが…


  えぇっ!
  追加料金だぁ!?
  冗談じゃねぇやい!
  こっちはコツコツとバイトで
  稼いで貯めた金で、これから
  南の島へ行って、パァーッと
  陽気に楽しもうってンだ!
  こんな所で余計な金を使うつもりは
  ねえンだよ!


  そうでございますか。
  どうか楽しいご旅行になりますように…
  でも、あの…、お客様。
  これは決まりでございまして…。
  もし、お客様が追加料金をお支払いに
  なりたくないとおっしゃるのでしたら、
  お荷物の一部を、この空港に残したまま
  ご出発いただくことになります。
  それでよろしゅうございますか?


  何だと!?
  さてはテメェ、詐欺だな!
  金を払えだの、荷物をよこせだのと
  ぬかしやがって!
  よぅし!
  わかった!

と、男は、その場でバッグを開き、何と!!

Tシャツ10枚、ワイシャツ6枚、ジャケット2枚、短パン1枚、
ジーンズ3本、ジョギング用のパンツ2枚を重ね着し、さらに
帽子を2つ被りました。

要するに、手荷物を減らそうと、持ってきた衣類を全て身に
着けたってワケでして…

  おいおい、どーしたんだ?
  これから南の島へ行こうってのに、
  何だい?それじゃ、まるで
  雪ダルマじゃないか?

仲間たちから、呆れるように言われたものの、まぁ、何とか
無事に飛行機に乗ることが出来ました。

が…

  お客様、シートベルトを
  お締め願います。
  失礼ですが…、お客様?


  う、うん?
  わかってる、わかってるんだけどよぉ…
  このシートベルトは、どうもサイズが
  合わねえようだ…。
  もっと、こう…、ゆったりした
  ベルトはないのかい?


  はあ…
  あいにく、シートベルトは
  これ以上、緩くなりません。


  そ、そうかい…
  こりゃ困ったゾ!
  うっ…!

とても綺麗な客室乗務員から、ベルトを締めるように注意され、
無理やり締め付けようとする男…

  うっ…!
  ううっ!?

たくさんの服を重ね着しているせいか、汗がドンドン出てきます。

汗まみれになりながら、必死でベルトを締めようとしているうち…

とうとう男は、気を失ってしまいました。。。

熱中症です!

それも、飛行機の中で…。

  お客様!
  お客様!?
  どうなされました?

  しっかりしてください!
  お客様!?

  ご気分がお悪いのですね?
  上着をお脱ぎください。
  お手伝い致します。

男は気を失いつつ、自分の周りに、たくさんの客室乗務員が
集まってきたことがわかりました。

  ああ、みんな、何てキレイなんだろう!
  それに、こんなに優しくしてくれるなんて!
  まるで、女神様だ!

モウロウとしながらも、心配そうに自分を介抱してくれるキレイな
客室乗務員たちの顔を眺め、悦に浸る男…。

  ああ、オレは幸せ者だ!
  こんな美しい女神たちに
  囲まれて世話をして
  もらえるなんて!

それから…

すっかり気を失った男が目を覚ましたのは、目的地に到着してから
搬送された病院のベッドでした。。。

気がついた男に、医師が言いました。

  目を覚ましたようだね。
  気分はどうかね?


  あれ?
  ここは…?

まだ、あの美しい客室乗務員たちの顔を思い浮かべながら、男は
ベッドから少し起き上がって尋ねました。

  ここは病院だよ。
  何があったのか覚えて
  いないのかね?


  ええっと、その…、
  シートベルトのサイズが合わないのを
  無理やり締めてたら、ドンドン汗が
  出てきやがって、その後のことは…、


  キミは熱中症に罹ったんだよ。
  たくさんの客室乗務員たちが適切に
  対応してくれたんだ。
  まさに幸運の女神たちだよ!
  キミはラッキーだったんだ。


  あ、そうか!
  みんな美人だったしなぁ…
  確かにオレはラッキーだ。
  たくさんの福来てた!(たくさんの服着てた!)

おあとがよろしいようで。。。

(英国・スタンステッド空港での実話より)
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