捕えられたスカウトマン

スカウトマンと呼ばれている人のお仕事と言いますのは、

　　これだっ！

と目をつけた相手を業界に誘い込むことでして、その業界と
申しますと、芸能界、プロ野球などのプロスポーツ界に
とどまらず、各種企業に至るまで、実に多種に渡ります。

風俗業界にもスカウトマンがおりまして…、

まぁ…、ひと言で風俗と申しましても、キャバクラ向き、
ソープ向きなど、いろいろタイプがあるんでしょうナ。。。

そんな風俗スカウトマンの一人が、ちょっとした事件を
起こしまして…。


午前7時、私立大学4年の女性は特急列車に乗り、京都へ
向っていました。

列車の指定席に腰掛けた瞬間、彼女は、何かおかしいと
思っていたようです。

なぜなら、彼女の乗った車両は女性専用車両だったので…。

その車両に、それも彼女のシートの隣に、30歳ぐらいの男が
座ってきたから…。

声には出さなかったが、

　　何、このオッサン…、
　　なんで女性専用車両に居るわけ？
　　早く気づいて出てけヨ…

それぐらいのこと、胸の内で舌打ちしながらつぶやいたんじゃ
ないでしょうか。

そんな彼女の気持ちに構うことなく、京都行きの特急列車は
快走していきます。

やがて…、

男はハンカチを取り出したかと思うと、それをハラリと彼女の
足元に落してしまいました。

ハンカチを落とした…、

彼女もそれに気づきましたが、拾ってあげようと言う気は
ありません。

男はゆっくりと前かがみになり、落したハンカチを拾おうと
したようです。

が…、

彼女は、しばらく何が起きたのか、何をされているのか、
全くわかりませんでした。

ハンカチを拾おうと装い、男は彼女の足を触っているのです。。。

男の手のひらは、間違いなく彼女の足をさすっています。
ゆっくりと、上下に手を動かし、彼女の足をさすっているの
です。

　　･･･････？
　　▼◎＃★♀∬･････!!

不快と驚異で声をあげることも出来ず、ただもう彼女は
目を見張り、口元を歪めるだけでした。

そのうち、男は元通りシートに座ったかと思うと、今度は
自分の身体を彼女の方に押し付けて来るではありませんか！


　　ご乗車ありがとうございます。
　　おくつろぎのところ、誠に
　　申し訳ございません。
　　乗車券、特急券を拝見させて
　　いただきます。

前方から乗務員が検札のため、こちらに向かって歩いて
きました。

乗務員が近づくと、男は動きを止め、大人しく検札を
受けました。

乗務員は男に対して、ほんの少し眉をひそめたようですが、
何を言うでもなく、検札を済ませました。

彼女も何事もなかったかのように特急券などを示した
ものの、車両から乗務員が去ろうという時、彼女はトイレに
行くフリをして、乗務員に訴えました。

　　ワタシの隣に座ってる男、
　　痴漢です！
　　ワタシ、足を触られたンです！
　　って言うか、その前に女性専用
　　車両なんですから、何で、男を
　　座らせたまま放っておくんですか！？
　　おかしくないですか！？

などとキツい口調で言ったことでしょう。

乗務員は頷き、彼女に頭を下げて詫びた上で、数名の乗務員らと
相談し、警察へ連絡しました。

また、男を逃がさないため、そして、彼女の身を守る意味で、
その女性専用車両の前後の出入口に2名ずつ乗務員が立ち、
彼女のシート脇に1名の乗務員が立ちました。

間もなく京都に到着。

そこで警察官数名が待機しており、男は逮捕されました。

なぜ痴漢行為をしたのか？

そんな警察官の問いに、男は済まし込んだ顔で、

　　オレ、風俗のスカウトマンだから…、
　　彼女、スカウトしようと思って、
　　それで確かめるため、ちょっと身体に
　　触れただけだヨ。
　　仕事なんだよ、コレも…。

とか、ふざけたことを言ったのかも知れません。

それにしても…、と男にしてみれば呆気にとられたことでしょう。

トイレへ行ったと思った彼女が戻ってくるなり、乗務員らが
出入口に立ったり、座っているシートの真横に立ったり…、

この時点で、ヤバいかな…？

と思いはしたものの、まさか警察まで待機しているなんて…。

　　エラい段取がエエっちゅうか、
　　彼女を見事に救助したみたいやけど…
　　いつの間に、どこでどうなったンや？

取調室で、男は思わず口にしました。

彼女のSOSに応え、被害を最小限に留めて救助することが
出来たわけです。

　　あの特急列車、
　　一体なんやねん？

男が吐き捨てるように言うと、警察官が答えました。

　　サンダーバードや！


･･････おあとがよろしいようで。

（実際に発生した京都府迷惑防止条例違反事件に基づきます）

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タグ：スカウトマン 風俗