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カレーライスの丸三食堂

僕たちが時々行く廃材処理場。そこへ行くときに河川の
堤防沿いの道路を走っていきますが、そこを下りて一般道へ
交わる信号のない交差点の角に、小さな食堂があります。

それはとても小さな、小さな食堂で、しかもとても古い
食堂です。

昔は真っ白だったであろうと思われる薄茶色の暖簾には、
「お食事」と書かれており、入口の上には、やや傾いた
看板が掲げられていて「丸三食堂」と記されています。

その「丸三食堂」の四文字も、塗装がはげてしまい、
おそらく「丸三食堂」と書いてあるのだろうと推察して
読んでいる程度のモノです。

僕たち…、仕事仲間のIさん、Uさんと僕は、ここを通る度に
この食堂が気になっていました。

暖簾が揚がっているから、やっているとは思いますが、
そんな気配が感じられず、ただひっそりと、まるでそこだけ
別次元のような空気さえ感じられます。

今日、廃材処理場へ行った帰りに、丸三食堂を通り掛かると、
何と!一人のおじさんが、ひょい!と暖簾を片手であげて
食堂を出ていくではありませんか!

そのおじさんは、口に爪楊枝をくわえているようでしたから、
この丸三食堂で、何か食べたのだろうと思われますし、
たぶん、お客さんだろうと思います。

  おい!
  やっとるやないか!


  今、お客さんが出て
  いきましたね!

Iさんが叫び、僕が答えました。

同時に僕は、ブレーキを踏み、何の迷いもなく、丸三食堂の
横へ車を停車させました。

停車させたところは舗装されていない、車3台分ほどの空地
みたいな場所で、駐車場とも何も表示されていませんでしたが、
車を停めてもよさそうな感じで、全くためらうことなく停車
させてしまいました。

Iさんも、別にとがめる様子もなく、それどころか率先して
車を降り、ズンズンと食堂の入口へ歩いて行きます。

果たして…、

丸三食堂は営業していました。

4人掛けテーブル1つ、2人掛けテーブル1つ、カウンター席が
4つという狭い空間の中、カウンターで一人のお爺さんが、
瓶ビールを飲みながら、うどんを食べてました。

Iさんと僕は2人掛けテーブルの椅子に腰掛けることにしました。

感動です!

何とも言葉に表せないような、深く心底まで波打つような
感動を覚えました…。

これまで、何度素通りしてきたことか…。

気になりつつも入ることが…、入る勇気がなかった…、

でも、こうして中に入って、この目で店内を見ることが出来た!

椅子に腰掛けて、すすけたような壁や天井を見ることが出来た!

看板は傾いてはげていても、暖簾は色褪せていても、小さな
小さな丸三食堂は、なおも営業を続け、そこで食事をしている
お客さんもついている…、

感動です!

Iさんと僕は、前かがみの姿勢でテーブルに両腕を置き、深い
感銘に浸りました。

  はい…

素っ気なく言って、お茶を出してくれたお婆ちゃんに、僕らは
650円のカレーライスを注文しました。

カレーライスを選択した理由としましては、最も無難なメニュー
であろうと思ったからです。

この食堂には各種定食、麺類がありますが、とりあえず初回は
無難なカレーにしておこうと言うわけです。

そんなカレーライスがこちら!
curryD1401.jpg

Iさんと僕は、再び深い感銘に浸ることが出来ました。

素晴らしい! の一言です。

大盛りとも何とも言っていないのに、こんもりと盛られたごはん。
その上にカレーがたっぷりかけられています!

ごはんが見えない!

スプーンを入れたら、まるで皿のフチからこぼれそうなカレー!

低い天井の蛍光灯に照らされたカレーライスは、今まさに
奇跡の光を放ち、この狭い空間を希望と感動の渦で包み込んだの
です!

味は普通です。

普通においしい、バーモントカレーみたいな味。

それがまた感動を呼ぶのです!

小さくて古めかしい食堂に、飾らない大盛りカレー、そして
親しみのある普通のおいしさ。

  感動的だったなぁ!
  Uさんにも教えてやろう。
  カレーライスの丸三食堂やッ!

帰りの車の中で、Iさんが興奮してそう言ってました。
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