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笹やん 注意報

センター長が目をつり上がらせて、笹やんに大声で言いました!

  笹っ!
  おめー、ヤバいぞ!

それを聞いて笹やん、キョトンとした顔で、

  は…?
  何のことで?

ホントに何が何だかわからないというように答えました。

午前11時ちょっと前、バイト先の冷凍食品センターです。

このセンター内の作業ミスをなくすことを目的としたカイゼン活動の
コンサルタントであるイシダさんという40代後半になる女性から、
今朝、センター長に電話があったそうです。

その内容が、今月に入り、納品する商品を間違えたり、納品した
けれど袋が破れてしまっていたり…、そんなクレームが増えており、
圧倒的に笹やんが担当する納品先、または商品が多いとのことです。

そこでコンサルのイシダさんは、センター長に対し、

  総責任者としてカイゼン活動への
  取り組み姿勢が出来ていない!

とか、

  社員一人一人にもっと徹底した
  指導をするべき!

とか、キツく言われ、さらに、

  特に笹○さんは厳重に注意した上で、
  カイゼン活動について、一から
  理解してもらえるよう指導してほしい!

とも言われ、さらに、さらに、

  今日の午後から、わたしもそっちへ
  行くから笹○さんと顔合わせて、
  しっかり話し合いましょう!

と言うことになったそうです。

腕を組んで突っ立ったままの姿勢でセンター長は、

  ったく、おめーは!
  今まで何回も、もっと気を入れて
  取り組めって言ったにも拘わらず、
  何もしてないから、こーゆーコトに
  なるんだぞ!
  オレまで面倒なコトに巻き込みやがって!
  イシダさんと何をどう話したらイイんだ!
  おめー、考えとけ!
  オレは知らんぞ!

そう言い放つと、

  ええーーっ!
  でも、オレだって何もしてないわけ
  じゃないンすよ!
  って言うか、今月に入って商品アイテムが
  一気に増えたじゃないですか!
  こんなに増えちゃ、間違いも起こりやすく
  なりますよ!

と笹やんが言い返しますが…、

  おめー、ナニ開き直っとるンや!
  間違いがないようにするための
  カイゼン活動だろっ!
  って、何回同じこと言わすンや!
  ホント、おめー、なんにも理解
  してねーなっ!


  それより、ニオイが来るンすか!?
  何を話すンですか!?
  

  なんや?ニオイって?


  あ…、イシダさんのことです。。。


  ニオイって、おめー…、
  あの香水の匂いのアレか?
  なぁ?

ハッハッハー…って、お互い笑い出して、まるで緊迫感なし!

そんなわけで、センター長も笹やんも、お互い「オレは知らんぞ!」
という感じで、イシダさんが来ても、何をどう話し合うかなんて、
全然、考えていない様子です。。。

それよりも笹やんは、センター長が事務所に戻るや、僕らバイトに
向って、

  おい、いいか!
  今日、午後からオレ、ニオイを避けるため、
  ちょっと居なくなるかも知れんからな…。

そんなことを言い出し、

  時々、様子を見に、ここへ来るかも知れんけど、
  もし、ニオイが近くに居たり、こっちへ
  来そうになったら、こうやって…

と、笹やんは自分の鼻を、チョンチョンと指でつまむ真似をして、

  これが合図だ!
  いいな!
  これで、ニオイが近くにいると、
  オレに教えろ!

そう言いました。

僕らバイトは、アホらしいと思いましたが、何か面白くなることを
期待してもいました…。

それにしても…、

イシダさんが来て、逃げ回っていたら、余計あとから、ややこしく
なるような気もしますけど、笹やんにとって、そんなことは
関係ないコトなのかも知れません。

午後1時半になり…、

笹やんが“ニオイ”と呼んでいるように、香水の匂いをプンプン
まき散らしながら、コンサルのイシダさんが庫内にやってきて、

  お疲れさまーっ!
  笹やんは?

そう尋ねてきました。

この頃、イシダさんも「笹やん」と気安く呼ぶようになっています。

  あ…、えっと…、
  笹○さんですか?
  今、ちょっと…、
  冷凍倉庫で商品出してると
  思いますけど…

一人のバイトが答えると、イシダさんは、

  あっそ…、ここに戻ってきたら
  あたしが来たこと伝えておいて!

そう言って、庫内のあちらこちらを見回り始めました。

5、6分ほどして、笹やんが僕らのいる出庫商品置き場に近寄ってきて、

  どうだ? 来たか?

と言うような目で僕らを見ました。その時、バイトの一人が
自分の鼻の頭を親指と人差し指で、チョンとつまむ仕種をしました。

確かに、向い側の離れた場所から、イシダさんがこちらに向かって
歩いてきます。

バイトの合図に、笹やんは満足気に、しかも、

  コポポ…

そう、文字に表わすと、そんな感じです。

コポポ…、と笑いを堪えたいんだけど、堪え切れずに吹き出しちゃった
みたいな笑い方をして、チョロチョロした足取りで、その場から逃げて
いきました。

周りにいる僕らも、声を殺して笑いました。

何だか、童心に帰ったような…、“ニオイ接近”の合図と言うか、
注意報と言うか、それが少年時代の探検隊ごっこを思い出させました。

きっと笹やんなんかは、探検隊ごっこの隊長で、仲間にアレコレと
合図の仕方や、こういう時になったら注意報を発信しろ!…とか言って
遊んでたんだろうなぁ…と思いました。

僕もガキの頃、そんな遊びをしてましたよ。

で…、

イシダさんがこちらにやってきて、

  今、笹やんじゃなかった?
  ここに居たでしょ?

と言いましたが、僕らは、居たみたいだけどすぐ居なくなった…という、
当たり障りがなく、イイ加減な返事をしました。

ふぅん…、とイシダさんが言い、再び庫内を見回るようにして
去っていきました。

今度は15分ぐらい経ったでしょうか。

カゴ車を牽きながら笹やんが戻ってきました。

  とりあえず、時間を稼げるだけ
  稼いで、ニオイの滞在時間を
  減らさねえと…

と言いながら、カゴ車に積んである商品をパレットに降ろし出しました。

そこにイシダさんが近づいてきます。

一人のバイトが、自分の鼻をつまむ合図をしますが、商品を
降ろしている笹やんは気づきません。

  あ~…

とか言いながら、そのバイトは鼻をつまんでいます。

ようやくそれに気づいた笹やん、ハッとなって立ち上がり、向きを
変えたところにイシダさんが居ました。

  ぷはっ!

思わず吹き出す笹やん。

すると、イシダさんの顔に、笹やんの唾が数滴飛んだらしく、

  たっ!

そんな短い叫び声をあげて、イシダさんは顔をしかめ、

  笹やんっ!!

今度は大声で怒鳴りました。

笹やん、若干、表情をこわばらせつつ、それでも半ば笑いつつ、
ペコペコ頭を下げながらイシダさんを見ているだけ…。

  何してンのっ!!
  今日は片が付くまで
  みっちり話し合いましょ!

イシダさんはそう言って、笹やんの防寒着の袖をつかみ、
ぐいぐいと引っ張っていきました。

  ・・・・・帰れません…。

聞き取りにくかったですが、笹やんはそんなことを言ったように
思います。

気がつけば、少し離れたところにセンター長が真っ赤な顔をして
立っていました。

えらく怒っているみたいだと思ったら、必死で笑いを堪えてました。。。
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