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笹やん 絶体絶命

ちょうど今、多くのサラリーマンの方々、夏期休暇ですよね。

そのせいなのか、今日はバイト先の冷凍食品物流センターも
予想以上に慌ただしかったです!

僕は「お盆」の時期、ここで働くのは初めてなので、
チョットびっくりしました。

年末ほどではありませんが、出庫量がメッチャ多いです!

たぶん家族そろって、外でおいしいモノ食べたり
するんでしょうね?

外食用のステーキ肉とかハンバーグ、それに寿司ネタ食材の
出庫量が普段の3倍ぐらいになっています!

さすがに今日は、センター内の作業者たち、目をつり上がらせて
バタバタしています。

いつもはマイペースの笹やんでさえ、唇を固く結んで、
血走った眼でフォークリフトを操り、商品を次々と出庫
しています。

センター内が、まるで、

  うおわぁぁぁ~~~ん!

と、大きく、そして耳障りなサイレンでも聞いているような、
そんな喧騒感があります。


で…、

そんなバタバタ状態の中…、

ちょっとした事件が起こったのです。。。

実は、僕自身、実際に目撃していたわけではありませんので、
バイト仲間から聞いた話を元に書いていきますが…、


笹やんは、商品を出庫するとき、フォークリフトを操って、
パレットごと、まとめて出庫します。

もちろん、出庫すべき数量に合わせていますが、ほとんど
パレットにドーンと積まれた状態で、それを僕らバイトが、
さらに小分けして納品先ごとに出庫していきます。

ですから笹やんは、商品を、必要な数量だけパレットに
積んで収納ラックから取り出します。

この収納ラックは3段になっており、1段当たりの高さが
1.5メートル。

このスペースに1種類の商品がパレットに積まれて保管
されているわけです。


それで…、

笹やんは、最上段のラックの商品を出庫する際、どうやら、
そのパレットに積まれている商品の数が、2ケースだけ
多かったらしく、一旦、フォークリフトでパレットごと
ラックから取出し、そのまま2段目のラックの下あたりまで
降ろし、それからリフトを降り、リフトを足台にして、
さらにフォークリフトで持ち上げて2段目ラック下で
止めてあるパレットによじ登り、余りの2ケースを担いで
3段目のラックに登って、空いているパレットに
載せることにしたそうです。

空いているパレットと言っても、別の商品がいくつか
積まれていますから、見分けやすいようにと、積み方を
整え、それぞれ商品を分けて積み上げていたそうです。

その時…、

笹やんのフォークリフトが何者かによって操られ、
持ち上げられていたパレットは、ス───ッと床に
降ろされて、そのまま置き去り…。

ピィピィピッ…

むなしい電子音をあげて、笹やんが乗っていたフォークリフトが
冷凍庫内から消えて行ったのです。。。

積み替え作業に集中していた笹やんは、まったく
気づかなかったようで、作業を終えてリフトに戻るため、
ラックを降りようとした笹やんは茫然…。


  !!!・・・・・・・・?
  ??◆@▼∬♂・・・・?!

声にならない衝撃が走ったことでしょう!


  ・・・・・・足場のパレットがない…、
  って言うか、フォークリフトが
  なくなってるジャンねぇ…!

と、笹やん風に言えば、こんな感じになるでしょうか?


足場を失った笹やん…、飛び降りるとしたら高さは
3メートルあり、床はコンクリートですし、足腰には
結構なダメージを食らいそう。。。

そうかと言って、このままマイナス20度ほどの冷凍庫内で
ジッとしていては凍え切ってしまう!

笹やん、絶体絶命!!


結局、笹やん、ラックの支柱にしがみつき、慎重に慎重に
床まで降りて行ったそうです。


無事着地した笹やん、冷え切った身体にムチ打って、
血相変えて飛び出していったことでしょう。

どうやら笹やんのフォークリフトを乗っていったのは、
ナイトウさんと言う40代半ばになるバイトの人で、
随分なベテランらしいのですが、とても無口、無表情な
人で、僕も何度か挨拶をしたことがありますが、一度も
返されたことがありません。

今日は全体的にバタバタで、出庫商品は多いわ、時間は
なくなって来るわで、みんな、冷静さを欠いていたのだと
思います。。。


  ナイト───ッ!!
  おいッ!コラァーッ!!

笹やんの怒声が響き渡るのは僕もハッキリ耳にしました。。。


  ナイト───ッ!!
  何処いった──ッ?
  ナイト───ッ!!

そんな笹やんの叫びを聞いて、バイトのナカムラさんが、
近くにいたナイトウさんに向かって、

  ナイトウさん、ナイトウさん
  笹やんさんが呼んでますよ。

と言いましたが、黒縁メガネの奥には何の感情も
見出すことができない虚ろな眼のナイトウさん…。

表情ひとつ変えず、まったく動じることはありません。

って言うか、ナイトウさん…ビビって硬直していただけかも。。。


やがて笹やんがナイトウさんを見つけ、もの凄い剣幕で、

  オイッ!ナイトウっ!!
  おめーバカヤロー!
  なんで人が使ってるリフト
  乗ってくんだっ?!
  エエッ?!
  オイッ!
  ナイト───ッ!
  聞いてるのかッ?!こらっ!

と、ナイトウさんを小突きながら怒鳴り散らす笹やん。  

一方、ナイトウさん…どれだけ大声で怒鳴られても、眉ひとつ
動かさず、直立不動の体勢。。。

さらに笹やんが大声で詰め寄ると、ナイトウさん、ぽつりと…、

  空いてるリフト…、
  なかったもんで…。


それを聞いて笹やん、ふぅーっと息を吐いて、また何か
言おうとしたみたいでしたが、舌打ちして、うなだれて、
そして去っていきました…。
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