笹やん 桃源郷
先月24日、バイト先の冷凍食品センターで「ナッちゃん効果」に
ついて紹介しました。
これは、ここのセンターの社員であるノダさんのチームに
22歳の女子バイト・通称ナッちゃんが配属されて以来、彼女の
若さと明るさによって、男子バイトたちは一気に奮闘し、作業
時間が大幅に短縮され、生産性が高まった…
そんな効果を「ナッちゃん効果」と呼んでいる…ってコト
でした。
言い換えれば、どれだけ理屈を並べて作業効率化を論じようと、
カイゼン活動を推進しようと…
そんなことより、たった一人の若い女子を配属させるだけで
周りの男が張り切ってしまい、それで生産性は高まる…って
ワケです。。。
で…
ノダさんチームには、同じく社員である我らが笹やんが、
ひそかに下心を抱く52歳のバイト女子が居て…
笹やんとしては、ノダさんだけでなく、センター長にも交渉を
繰り返し、何とかして、52歳のバイト女子を自分のチームに
引き込もうと画策していたそうで…。
ところで、この52歳のバイト女子はマエダさんといって、
目鼻立ちがくっきりとした美形で、女優の片平なぎささんに
似ています。
スタイルもスラッとしていて背も高い方なので、笹やんで
なくとも中高年男子たちから注目を集めているようです。
また、働き者でハキハキしており、明るい性格なので周囲から
好感を得ています。
実は、以前、マエダさんは笹やんチームに属しており、その頃、
僕も会話をしたことがありましたが、とてもイイ感じの人
でした。
あれから、笹やんが本能のまま、しつこくマエダさんの尻を
追い駆けるようなマネを続けたので、センター長が、彼女を
笹やんから避難させようと、ノダさんチームへ移したわけです。
が…
笹やんとしては、自分の行動について全く意識することなく、
執拗にマエダさんを引き込むことに精神を集中させている
ようで。。。
ちなみに、今ではマエダさんのことを、笹やんは“なぎさちゃん”
と呼んでます…って、これも信じ難いコトですが。。。
さて、そんな状況の中…
おいっ！笹○！
今月に入ってから、オマエの管轄の
作業時間に遅れが目立ってるけど、
どういうことや!?
午後の休憩中、事務所近くの自販機でコーヒーを買って、僕らは
ひと休みしていましたが、そこにセンター長がやってきて、
笹やんに声を掛けました。
その質問に対し、笹やんは、すぐに答えが見つからないのか、
タバコをくわえたまま、煙たそうな目でセンター長を見つめて
います。
先週なんて特にひどかったンやぞ！
おまえ、ちゃんとチェックしとるのか!?
なぁ？
オレが調べたところでは、バイトの
動員数も通常通りだったし…、
それよりも何よりも、2月ってのはなぁ、
物量が比較的、少ない月なんやぞ！
にも拘わらず、なんで作業時間が
遅れてまうんや!?
･･･････
･････････････。
笹やんは煙たそうな目のまま、無言です。
あのぉ…、ソレってたぶん…
バイトの人数や、物量の問題とか
じゃなくてぇ…
気合の入り方の問題じゃないッスか？
笹やんに代わって、若手のバイト男子が、センター長に向かって
言いました。
センター長は、不審げな目で若手を見ながら、
気合ってナンや？
よく意味がわからんけど…
そう尋ねると…
ウチらも、ノダさんチームみたいに
「ナッちゃん効果」出したいんスけど、
カワイイ女の子、一人も居なくてぇ…
そんな若手の答えに、センター長は真から呆れた顔つきで
言いました。
アホかっ！
何が「ナッちゃん効果」や！
っつーか、何で今、ここに来て、
気合がなくなるんや？
なぁ？
今まで通りに作業してればエエのと
違うンか？
だってぇ、センター長…
通路に掲示してあるグラフ見たら、
一目瞭然ッスよ！
ノダさんチームってぇ、アラレちゃんが
休みの木曜と日曜って、たいてい生産性
下がってるじゃないッスかぁ
アラレちゃん…って言うのが、例の22歳のバイト女子のあだ名で、
小柄で丸顔、それにメガネを掛けているところが、マンガの
アラレちゃんみたい…らしいです。
で、この若手が言っていることは、庫内の通路に掲示板があって、
そこに、日別で各社員ごとの作業生産性がグラフ化されており、
僕も見ましたが、確かに、アラレちゃんの休みの日である木曜、
日曜に限って、ノダさんチームは、他の曜日と比べて生産性が
下がっています。
ま…、これで「ナッちゃん効果」が鮮明になったとも言える
わけです。。。
仮にナツミ(これがナッちゃんの名前らしいです)の
効果があったとしても、そんなもん
一時的なモンで、持続性なんて
期待できんやろっ!?
でもぉ、カレこれ1ヵ月ぐらい
持続してますしぃ…
って言うか、アラレちゃんって、
よく働くそうじゃないですか？
それ見れば、周りのバイトは、
「ああ、あんな小柄な女の子が
一生懸命やってるなぁ…、
よぅし、オレたちも…」って
気になるから、アラレちゃんが
いる限り持続するんじゃないッスか？
それで何や？
ナツミみたいに若くてよく働く
女子をひとり入れれば、おまえら
作業時間を短縮できるって言うンか？
まぁ、そういうことッスね。
アホッ!!
そんな他力本願みたいなコト言っとらんと、
何で自発的に作業に取り組もうとせんのや!?
おまえら時給減らしたろか？
若手は、半ば冗談交じりでセンター長とやり合っていましたが、
この様子を、ニヤニヤしながら見ていた笹やん…
グイッと勢いよく缶コーヒーを飲み、意を決したように、
センター長に言いました。
センター長、ウチはやっぱり
「なぎさちゃん効果」で行きますよ！
若けりゃイイってもんじゃない。
なぎさちゃんみたいに、周囲に
気配りが出来て、自発的に作業して
くれる人がひとり居たら、周りも
動いてくれますよ！
笹やんは、実に活き活きとした眼差しで、そしてハキハキと
した口調で言いました。
････････････。
これに対し、メッチャ冷め切った目で笹やんを見るセンター長。。。
･･･････おまえなぁ、
なぎさちゃんって、ひょっとして
マエダさんのこと言っとるんか？
おまえ、まだそんなコト言っとるんか？
そうです！
マエダさんをオレのところに
戻してくださいよ！
ノダのところじゃモッタイナイです。
宝の持ち腐れですよ！
どんな宝の持ち腐れや？
マエダさんは、おまえにとって、
どんな宝なんや？
おまえのスケベ心のために
安易な異動は出来ん！
スケベ心って何ですか!?
オレは、より良い作業環境のために…
ここで、センター長のみならず、若手バイト、そして僕らも
苦笑、冷笑を漏らしつつ、笹やんを見つめました。。。
マエダさんを引き入れて、笹やんはより良い作業環境を作ろうと
言うより、より良い桃源郷を作ろうとしているような…。
思えば、笹やんチームは、他の社員のチームより明らかに
女子バイトの構成比が高いです。
これも、笹やんの意向が反映しているんでしょうね。。。
より良い作業環境は、
おまえの管理能力次第やっ！
おまえまで他力本願みたいな
こと言いやがって！
それもスケベ心丸出しで…
あ…
ここで言葉を失う笹やん。。。
幸い、この場に女子バイトがいなかったので、笹やんは彼女らの
冷たい目線を浴びずに済みましたが…
マエダさんこと、なぎさちゃんを引き入れるための笹やんの
画策は、この先も続きそうです…。
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ついて紹介しました。
これは、ここのセンターの社員であるノダさんのチームに
22歳の女子バイト・通称ナッちゃんが配属されて以来、彼女の
若さと明るさによって、男子バイトたちは一気に奮闘し、作業
時間が大幅に短縮され、生産性が高まった…
そんな効果を「ナッちゃん効果」と呼んでいる…ってコト
でした。
言い換えれば、どれだけ理屈を並べて作業効率化を論じようと、
カイゼン活動を推進しようと…
そんなことより、たった一人の若い女子を配属させるだけで
周りの男が張り切ってしまい、それで生産性は高まる…って
ワケです。。。
で…
ノダさんチームには、同じく社員である我らが笹やんが、
ひそかに下心を抱く52歳のバイト女子が居て…
笹やんとしては、ノダさんだけでなく、センター長にも交渉を
繰り返し、何とかして、52歳のバイト女子を自分のチームに
引き込もうと画策していたそうで…。
ところで、この52歳のバイト女子はマエダさんといって、
目鼻立ちがくっきりとした美形で、女優の片平なぎささんに
似ています。
スタイルもスラッとしていて背も高い方なので、笹やんで
なくとも中高年男子たちから注目を集めているようです。
また、働き者でハキハキしており、明るい性格なので周囲から
好感を得ています。
実は、以前、マエダさんは笹やんチームに属しており、その頃、
僕も会話をしたことがありましたが、とてもイイ感じの人
でした。
あれから、笹やんが本能のまま、しつこくマエダさんの尻を
追い駆けるようなマネを続けたので、センター長が、彼女を
笹やんから避難させようと、ノダさんチームへ移したわけです。
が…
笹やんとしては、自分の行動について全く意識することなく、
執拗にマエダさんを引き込むことに精神を集中させている
ようで。。。
ちなみに、今ではマエダさんのことを、笹やんは“なぎさちゃん”
と呼んでます…って、これも信じ難いコトですが。。。
さて、そんな状況の中…
おいっ！笹○！
今月に入ってから、オマエの管轄の
作業時間に遅れが目立ってるけど、
どういうことや!?
午後の休憩中、事務所近くの自販機でコーヒーを買って、僕らは
ひと休みしていましたが、そこにセンター長がやってきて、
笹やんに声を掛けました。
その質問に対し、笹やんは、すぐに答えが見つからないのか、
タバコをくわえたまま、煙たそうな目でセンター長を見つめて
います。
先週なんて特にひどかったンやぞ！
おまえ、ちゃんとチェックしとるのか!?
なぁ？
オレが調べたところでは、バイトの
動員数も通常通りだったし…、
それよりも何よりも、2月ってのはなぁ、
物量が比較的、少ない月なんやぞ！
にも拘わらず、なんで作業時間が
遅れてまうんや!?
･･･････
･････････････。
笹やんは煙たそうな目のまま、無言です。
あのぉ…、ソレってたぶん…
バイトの人数や、物量の問題とか
じゃなくてぇ…
気合の入り方の問題じゃないッスか？
笹やんに代わって、若手のバイト男子が、センター長に向かって
言いました。
センター長は、不審げな目で若手を見ながら、
気合ってナンや？
よく意味がわからんけど…
そう尋ねると…
ウチらも、ノダさんチームみたいに
「ナッちゃん効果」出したいんスけど、
カワイイ女の子、一人も居なくてぇ…
そんな若手の答えに、センター長は真から呆れた顔つきで
言いました。
アホかっ！
何が「ナッちゃん効果」や！
っつーか、何で今、ここに来て、
気合がなくなるんや？
なぁ？
今まで通りに作業してればエエのと
違うンか？
だってぇ、センター長…
通路に掲示してあるグラフ見たら、
一目瞭然ッスよ！
ノダさんチームってぇ、アラレちゃんが
休みの木曜と日曜って、たいてい生産性
下がってるじゃないッスかぁ
アラレちゃん…って言うのが、例の22歳のバイト女子のあだ名で、
小柄で丸顔、それにメガネを掛けているところが、マンガの
アラレちゃんみたい…らしいです。
で、この若手が言っていることは、庫内の通路に掲示板があって、
そこに、日別で各社員ごとの作業生産性がグラフ化されており、
僕も見ましたが、確かに、アラレちゃんの休みの日である木曜、
日曜に限って、ノダさんチームは、他の曜日と比べて生産性が
下がっています。
ま…、これで「ナッちゃん効果」が鮮明になったとも言える
わけです。。。
仮にナツミ(これがナッちゃんの名前らしいです)の
効果があったとしても、そんなもん
一時的なモンで、持続性なんて
期待できんやろっ!?
でもぉ、カレこれ1ヵ月ぐらい
持続してますしぃ…
って言うか、アラレちゃんって、
よく働くそうじゃないですか？
それ見れば、周りのバイトは、
「ああ、あんな小柄な女の子が
一生懸命やってるなぁ…、
よぅし、オレたちも…」って
気になるから、アラレちゃんが
いる限り持続するんじゃないッスか？
それで何や？
ナツミみたいに若くてよく働く
女子をひとり入れれば、おまえら
作業時間を短縮できるって言うンか？
まぁ、そういうことッスね。
アホッ!!
そんな他力本願みたいなコト言っとらんと、
何で自発的に作業に取り組もうとせんのや!?
おまえら時給減らしたろか？
若手は、半ば冗談交じりでセンター長とやり合っていましたが、
この様子を、ニヤニヤしながら見ていた笹やん…
グイッと勢いよく缶コーヒーを飲み、意を決したように、
センター長に言いました。
センター長、ウチはやっぱり
「なぎさちゃん効果」で行きますよ！
若けりゃイイってもんじゃない。
なぎさちゃんみたいに、周囲に
気配りが出来て、自発的に作業して
くれる人がひとり居たら、周りも
動いてくれますよ！
笹やんは、実に活き活きとした眼差しで、そしてハキハキと
した口調で言いました。
････････････。
これに対し、メッチャ冷め切った目で笹やんを見るセンター長。。。
･･･････おまえなぁ、
なぎさちゃんって、ひょっとして
マエダさんのこと言っとるんか？
おまえ、まだそんなコト言っとるんか？
そうです！
マエダさんをオレのところに
戻してくださいよ！
ノダのところじゃモッタイナイです。
宝の持ち腐れですよ！
どんな宝の持ち腐れや？
マエダさんは、おまえにとって、
どんな宝なんや？
おまえのスケベ心のために
安易な異動は出来ん！
スケベ心って何ですか!?
オレは、より良い作業環境のために…
ここで、センター長のみならず、若手バイト、そして僕らも
苦笑、冷笑を漏らしつつ、笹やんを見つめました。。。
マエダさんを引き入れて、笹やんはより良い作業環境を作ろうと
言うより、より良い桃源郷を作ろうとしているような…。
思えば、笹やんチームは、他の社員のチームより明らかに
女子バイトの構成比が高いです。
これも、笹やんの意向が反映しているんでしょうね。。。
より良い作業環境は、
おまえの管理能力次第やっ！
おまえまで他力本願みたいな
こと言いやがって！
それもスケベ心丸出しで…
あ…
ここで言葉を失う笹やん。。。
幸い、この場に女子バイトがいなかったので、笹やんは彼女らの
冷たい目線を浴びずに済みましたが…
マエダさんこと、なぎさちゃんを引き入れるための笹やんの
画策は、この先も続きそうです…。
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