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出会い系サイトに散った男

男は今年、55歳になった。

市役所の総務課に勤めている。

別段、仕事が忙しいわけではなかった。
主にパソコンの情報システム管理を担当していた。

1日中、椅子に腰かけていると退屈でどうしようもなくなる
時がある。

そんな時、男は出会い系サイトに接続して、時間をつぶす
のだった。
ほぼ毎日、小一時間ほど、こんなことをしていた。

時には職場で与えられたアドレスを使って出会い系サイトで
知り合った女性とやりとりをすることもあった。

おっと、隣の席のヤツ、いつの間にか戻ってきてるがな!

何食わぬ顔を装いページを閉じる。
気づかれてはいないだろう…。

そうなのだ。

いつしか男は、勤務中に出会い系サイトを閲覧することも
楽しいが、それより、周囲の目を気にしながら、そんな
サイトを閲覧しているちょっとしたスリルが堪らなく
楽しくなってきたのだった。

そのうち知り合った女性と実際に会う機会も持てた。
2度会うことができたが、まだ肉体関係にまでは行って
いない。

なぁに、焦らない、焦らない…。
こっちにはたっぷり時間があるんや…。

しかし、勤務中に様々な出会い系サイトを閲覧してきたが、
かれこれ何回くらいやって来ただろう…。

軽く1万回は超えているだろう。

出会い系のほか、旅行に関するページも閲覧することが
あった。

行ってみたいと思った所を選んで、閲覧していると、
ちょっとは旅行気分が味わえた。


  おい…
  ちょっとエエか?

いつの間にか課長が男の脇に立っており、軽く肩を叩いた。

ん?なんやねん…?
オレに話って珍しいやんか…どないしたん?

そう思って、男は課長の後について行った。

薄暗い、少し狭苦しい応接室。
そこに課長と向き合って腰掛けた。


  おい、君!
  コレなんやねん?

少し声を荒げて課長は請求書のような紙切れを
テーブル上に置いて見せた。


・・・・・!!

男は驚くと同時に、しまったッ!と心の奥で叫んだ。

それは男が出会い系サイトに登録した際の登録料が記載
された請求書だった。

それが2枚。

いずれも高額だった。


  いったい君は勤務中に何してんねん!!
  コレどないするつもりや!?

男は額に、それと背中に粘り気のある汗がつたっていくのを
感じた。
そして急に辺りが、ぐるぐると黒っぽい渦巻きのように
なったかと思うと、男は胸が苦しくなり、その場に突っ伏した。


男は自宅で休養していた。

病気休職中ということになっていたが、その間に懲戒免職の
処分が下った。

以上、
今日は、大阪府のある市職員が起こした最近の事件を元に、
物語を書いてみました。
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