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究極の二択

大学2年のSは、高校時代の友人であるMから、3ヵ月ほど前に
金を借りていました。

Mはフリーターです。

Mは、飲食店でアルバイトをしていますが、バイト代の
ほとんどはパチンコで消えて行くようです。

そんなMから、

  おい、そろそろ返せよ!

先月から毎週1、2回、返済の催促を受けるようになりました。

しかし、その度にSは、

  もう少し待って

と、曖昧に笑いながら引き延ばしていたのです。

そして…

三日月が浮かぶ冴えた夜のことでした。

Sは、Mに呼び出されるまま彼のアパートへ行くと、そこには
Mのほか、これも高校時代からの友人であるYが部屋にいました。

二人とも座布団の上にあぐらをかき、無表情でSの顔を見上げて
いるのでした。

酒でも飲もうと誘われたSですが、見た感じ、そんな雰囲気では
ないようです。

するとMが、いきなり立ち上がるや、Sの顔面を力一杯殴りつけた
のです。

Sは、痛みを感じる前に驚きのあまり、顔を両手で覆ったまま
床に倒れ込んでしまいました。

そんなSの腹の辺りを、Mは足で何度か踏みつけます。

  おい、イイ加減にしろよ!
  いつになったら金を返す気だ!

そう言って、尚もSの腹部を強く踏みつけてきます。

Sは両手で顔を覆ったままです。「く」の字に身体を曲げて
床の上に横たわり、苦痛に耐えていたのですが…

何やらドタドタと激しい物音がしました。

そのうちにSは、自分の両腕をMとYにつかまれ、部屋から
出されて、Yの車の後部シートに押し込められるようにして
乗せられました。

車中は、耳障りなほどの大音響で下品な感じのロックが
流れていたのを、Sはぼんやり覚えていました。

やがてYの車は海浜公園に到着しました。

いったい何時頃でしょう。

時々、風で木々の葉が揺れる音が聞こえるくらいで、ほかに
何も聞こえません。

静かで、誰もいない海浜公園でした。

三日月だけが、Sたちを黙って見ているのでした。

Mは、力任せにSの肩をつかむと、放り捨てるようにして
Sを車外に投げ出しました。

ドサッという音と共に、Sはアスファルトの上に転がりました。

そして、再びMは、倒れ込んでいるSの身体を蹴り始めたのです。

しばらくして、Mは怒気を含んだ声でSに言いました。

  おいっ!
  そこのトイレの便器に顔を突っ込むか、
  海に飛び込むのがイイか?
  どっちだ?

恐怖と痛みとで黙って倒れているSへ、同じ言葉を何度か
繰り返すM。

この言葉に対し、Sは、

  どちらも嫌だ!

とは言えなかったのです。

それは、やはり自分はMから金を借りたままで、返すアテも
なく、もうそのままにしておいてやろうと言う気持ちが
あったからです。

いくらほどの金を借りたのでしょう?

しかし、執拗に返済を迫られるほどの金額だったようです。

暗黙のうちに、Sは自ら非を認めました。

こんな理不尽な選択を、Sは受け入れたのでした。

そして、遊歩道から2メートル下の海面に向かって飛び降り
たのです。

幸いなことに、Sは軽傷を負っただけでした。

自力で海から上がって、ふらふら歩いていると交番が目に
入り、自然と足が、そこへ向かいました。

それからしばらくして、MとYは暴行などの容疑で捕まり
ました。

以上が、実際に兵庫県で起きた事件の概要です。

それにしましても…

  そこのトイレの便器に顔を突っ込むか、
  海に飛び込むのがイイか?

この二択…

僕は妙に感心したのです。

僕だったら、便器を選ぶと思います。

けど、排便した状態のままの便器だったら、海を選ぶかも…。

などと思っているうち、

  なるほど究極の二択だな…

そう感心したのでした…。
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