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笹やん 名奉行

大型連休も終盤・・

外食業界も繁忙期のピークです。

バイト先の冷凍食品センターでは、特に回転寿司、ビュッフェ
スタイルのレストランなどが通常の2倍以上の物量で、配送も
増便して対応しているほか、欠品を防ぐために緊急入庫や、
他センターからの補給便など・・

今朝も早くから、入出庫バースは大混雑!

先週の日曜日も混んでいましたが、今日の方がトラックの台数も
はるかに多く、センターの社員やバイトが手分けして、入庫の
トラックを誘導したりしています。

ピピィィ────ッ!!

指定の入庫バースへ誘導するため、笛を吹きながらトラックへ
合図するセンター長。

その他、手の空いたバイトが3人、同じように笛を吹いたり、手を
上げたりして、交通整理に駆り出されていますが・・

センター長は、朝からずっとコレをやっているので、顔が真っ赤に
なっています。。。

明らかに疲れ切っているみたいで、顔に表情と言うモノが見られ
ません…。

  ハハッ、
  コサカの奴…。

庫内から、その様子を見て、笹やんなどは指を差してセンター長の
ことを笑っているのでした。。。

そんな笹やんを、センター長もまた見ているのでした。。。

顔が真っ赤になっているのは、疲れだけでなく、怒り…のせい
かも知れません。

  笹○め…。
  オレのこと笑ってやがるナ…。

って感じでしょうね。


で、午前10時を少し過ぎた頃・・

センター長が威勢よく作業場内に駆け込んできて、

  Gセンターからの補給便で大型車が
  2台来る!
  そのうちの1台には、ここから冷凍野菜
  3種類を、それぞれ3パレットずつ積む
  ことになっている!
  今、外で誘導しているバイトたちが
  仕分け作業に入るから、オマエ、
  バイトを2人連れて、外出ろや!

やはり顔を真っ赤にして、笹やんに言うのでした。

  ・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・・・・

無言でセンター長を見る笹やん・・

  おいッ!
  聞こえんのか!
  早よ、外出ろっつーの!

  ・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・・・・

  おいッ!

  ・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・・・・

  笹○!
  おめー、エー加減にしろよ!

口から火を吐くほどの勢いで喚かれて、ようやく笹やん、口を開き
ました。

  何でオレなんスか・・?

そう言われてセンター長、鼻の孔を大きく広げ、

  オメー、この時間、作業に一区切り
  つくやろ!
  30分くらい手伝えやッ!

本当に火を吐きそうな勢いです。。。

その時・・

パパァァァ───ン!

ブォォ────ッ!

数台のトラックの、けたたましいクラクションが鳴り響きました。

  ホレ見ろ!
  バースの方が混雑してまったやないか!

パパァァァ───ン!

  ほいほい…、
  おいッ!
  早よせいや!

クラクションに対し、届くことのない返事をしてから、再度、笹やんを
促して外へ出て行くセンター長。。。

  しゃーねえナァ…
  よし、来てくれ。

と、笹やんは、僕とヤノさんに声をかけて、外へ・・


ピピィィ────ッ!!

ピッピッピッ・・

ピピィィ────ッ!!

笹やんの誘導は、なかなか手慣れたモンで、センター長より上手く
仕切っているみたいです。

うっかりしてセンター長が積込みバースへ1台のトラックを誘導して
しまったのですが・・

ピピィ──ッ!!

笹やんが止めて、入庫バースが空くまで待機するよう説得しました。

やがて、Gセンターからの補給便が到着。

大型トラック2台は、それぞれ冷凍麺各種と、和洋惣菜を荷台一杯に
積んでいるようです。

ピッピッピッ ピッピッ
ピッピッピッ・・

冷凍麺の方に、このセンターから冷凍野菜を積み込むことになって
いるみたいで、笹やんは、そちらのトラックを優先してバースに
接車させます。

  おーい!
  こっちが先じゃねーか!

別のトラックから、ドライバーがイラついた様子で、笹やんに
言いました。

冷凍麺が接車しようとしているバースへ順番待ちをしていた
トラックらしいです。

  わりぃけど、この便は緊急で積込みが
  あるンや!
  もう少し待っとれ!
  すぐに5番バースが空くンで、
  そっちへ着けさせてやるから!

そう言って納得させ、さらに、5番バースで荷下ろししている
トラックに対しては、庫内のリフトマンへ、

  おまえもリフトで、このトラックの
  荷下ろしを手伝え!
  後がつかえてきたンで早く!

そう言って、作業を急がせました。

10時30分あたりになると、ほぼ積込みが終わり、バースは空いてきます。

そこで笹やんは、もう1台のGセンター便を積込みバースに接車させ、
そこで荷下ろしするよう指示しました。

  おい、大丈夫か?

本来、入庫に使うことが出来ないバースなので、センター長は
少し心配そうに言いました。

  だって、しゃーないじゃんねー!
  こうでもしないと午前中に
  終わりませんよ!

笹やんが、そう言っているうちに、庫内からクレームが・・

  おーい!
  こんなところで荷下ろしされちゃ
  困るンやけど・・!

仕分けしている別グループのバイト数人が、バースから外に向かって
大きな声で抗議しています。

  しゃーねーやろ!
  パレットごと降ろすから、
  そのままラックに持ってけ!

笹やんも大声で言い返します。

で、今度は、冷凍麺のトラックが、一通り荷下ろしを終え、冷凍野菜を
積み込むことになったみたいで・・

ところが、まだ冷凍野菜が出庫されていないようで・・

  庫内のリフトマンたちも
  イッパイイッパイで手が回らん!
  笹○!
  おまえ、冷凍野菜、出庫して来てくれ!

センター長が、笹やんに言いますと、

  そんな・・!
  オレ、今、誘導したりで
  イッパイイッパイなんで…
  センター長、行ってきてくださいヨ!

口を尖らせて言い返します。

  いや、オレだって…

そう言い掛けるセンター長に、

  ここはオレがやりますから、
  出庫の方、お願いしますよ!

笹やん、そう言ったかと思うと、順番待ちで近づいて来るトラックに
向って、思いっきり笛を吹きました、

ピピィィ────ッ!!

両手で、接車するバースを示します。


  いや、オレも…

まだシブっているセンター長。。。


ピピィィ────ッ!!

もう一度、笹やんは、思いっきり笛を吹きました。

しかも、センター長の耳元で。。

さすがに顔をしかめ、手で耳を覆うセンター長。

ピピィィ────ッ!!

さらに笛を吹く笹やん・・

  おめー、ワザとやっとるやろ…。

怒りで目を険しく光らせるセンター長・・

ピピィィ────ッ!!

  !!・・・・・・・・・
   ・・・・・・・・・・・

無言で笹やんの胸ぐらをつかもうとするセンター長・・

これをかわし、ニヤニヤしながら走って逃げる笹やん・・

そして、笹やんを全力疾走で追い駆けるセンター長・・

二人とも、ほとんど子どもです…。

それで、まぁ…

逃げ切る笹やんを追い駆けるのを諦めたセンター長、庫内で冷凍野菜を
出庫することに・・

30分ほど経った頃には、9パレット分の冷凍野菜も出庫され、入庫の
トラックもかなり落ち着いてきたようです。

それにしても、笹やんがこれだけ見事に立ち振る舞うとは・・

何台ものトラックを誘導し、ドライバーを説得し、センター長に
出庫させ・・

もう交通誘導の必要もなくなり、庫内に戻る笹やんと僕ら・・

センター長は、冷凍野菜の積込みを手伝い、それももう終わろうと
しています。

そんな様子を見て、笹やんの晴れやかな一声!

  これにて一件落着!

すると…

  ・・って、ナニが落着やッ!
  ゼンゼン落着じゃねーわッ!

センター長、再び怒りで険しく目を光らせました。

まぁ、それでも何とか無事に入出庫が出来たみたいで・・

以上、「笹やん 名奉行」の一幕でした。。。
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