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笹やん 柿の種

先週の土曜日と日曜日、バイト先の冷凍食品センターの
近隣で産業祭りが催され、夜には花火が盛大に打ち上げ
られるなど、なかなか盛り上がったみたいです。

で、このセンターからも、祭りへ協賛したそうで、その
お礼にと、多種のペットボトル飲料やスナック菓子などが
主催者側から贈られ、休憩室のテーブルに山積みされて
いました。

そう言うわけで、僕らは、午後4時を少し過ぎた頃、休憩室へ
行き、そこで贈ってもらった緑茶や紅茶などと共に、スナック
菓子の袋を開け、雑談しながら飲み食いしていました。

  これだけ飲み物があれば、しばらく
  自販機で買わなくて済むから助かるね。

  と言っても、3日も持たんだろ。。

そう言いながら、笹やんが近くにあった「かっぱえびせん」を
手にして、

  このかっぱえびせん…
  今もテレビCM、やっとるンかい?

誰に尋ねるでもなく言いながら、開封して、食べ出しました。

  これこそカルビーのロングセラー商品だ。
  やめられない♪ とまらない♪
  か~っぱえびせん♪・・ってな。
  今でも、この歌でCMやってンのかなぁ。。

笹やんは、そう言いながら、本当にとまらない勢いで、やたら
かっぱえびせんを食べまくっています。

  昔のかっぱえびせんのCMは、確か
  ビールジョッキに、このえびせんが
  溢れるほど入っていく映像だったはずだ。
  ビールを注ぎ入れる効果音も入っていた
  気がする。
  オレは、あのCMが妙に好きだったのだよ、うん。

  へぇ~、そんなCM、見たこと
  ないッスよ。

若手バイトのリーダー格・スダさんが言いました。

そして、さらに、

  カルビーって言うと、やっぱ、
  ポテトチップでしょ?
  これだってロングセラーでしょ?

と言うと、

  いや、かっぱえびせんに比べれば、
  ポテチなんて、まだまだ・・
  ポテチの前にサッポロポテトが
  発売された。

既にかっぱえびせんを半分以上、食べ尽くした笹やんが答え
ました。

  サッポロポテトなら、オレもガキの頃、
  よく食ってました。
  バーベQ味も好きだったっスね。

スダさんは、そう言ってから、

  でも、アレって何でバーベQ味なんスかねぇ?
  オレ、ガキの頃、バーベキューなんか
  食ったことなくて、あの味がバーベキューだと
  信じて育ってきたんスけど、実際にバーベキュー
  食ってみると全然違ってて。。

と、笑いますと、僕を含め、周りも、

  うん、うん・・

賛同して頷くのでした。

このことは僕自身、ずっと疑問に思っていたことなのでした。

今になってみると、バーベキューの味なんて様々で、特に
コレと言う決まりがあるわけじゃなく・・

かと言って、当時、スダさんと同じくバーベキューなんて
食べたことがなかったので、サッポロポテト・バーベQ味って
言われたら、もう、それで、

  ほう、バーベキューとは、こうした味の
  食べ物であるのか…。

信じるしかなかったわけで。。。

  あの時代は、結構イイ加減だった。

ゴクゴクと緑茶を飲んでから、笹やんが言いました。

  確か明星食品だったと思うが、ビーフ味の
  ラーメンってのがあった。
  ビーフ味と聞いて、オレはよだれを
  垂らしながら、急いでスーパーまで
  行って買ってきたものだ。
  しかし、食ってみると「これのどこがビーフだ!?」って
  味だった。
  まあ、それでも買ったラーメンは全部、食ったけどな。
  まさに“一杯食わされた”ってわけだ。

ここで僕らは、軽快に笑いました。

笹やんの話は続きます。

  ところで、かっぱえびせんと言えば、
  思い出すのは中学生の頃のことだ。

また、ゴクゴク緑茶を飲んでから、話を始めました。

  オレは中学へは自転車で登校して
  いたのだが、途中に酒屋があってナ・・
  そこを夕方に通ると、ほぼ毎日、
  その酒屋の前で、アレはたぶん、
  日雇い人夫だろうナ・・
  そいつら5、6人で車座になって
  歩道に座り込んで酒盛りをしてやがった。
  缶ビールにワンカップ大関、中には
  焼酎の一升瓶を地面に置いて、茶碗で
  飲んでたヤツもいた。

と、ここで笹やん、かっぱえびせんを一つ、つまみ出して、

  いつ通っても、必ずと言っていいほど、
  このかっぱえびせんをつまみに
  飲んでいやがった。
  それで、あいつら、そのうちオレの顔を
  覚えたのか、1人の酔っ払いが
  「よぉ、兄ちゃん、一杯飲んでけや」とか
  言ってきた。
  そこでオレは、素直に自転車を脇に停め、
  人夫たちの輪に交じった。

そう言いました…って、オイオイ、少年・笹やんのくせに
交じってどーすンだよ。。。

  人通りのない歩道だし、もう辺りは
  薄暗くなっていた。
  オレは学生服姿で、茶碗に注がれた
  焼酎をチビチビと飲んでみた。
  これが旨かったのだよ!
  「これつまみながら飲め」と言って
  別の人夫が楽しそうに、かっぱえびせんを
  差し出してくれた。
  あの時のかっぱえびせんは本当に旨かった。
  それ以降、時々、声を掛けられ、掛けられれば
  交じって飲んだ。
  日本酒も飲んだし、サントリーのオールドを
  これまた茶碗で飲まされたこともあった。
  「おめえ、ガキのくせにつえぇなぁ!」と
  感心されるようになった。
  これが13の頃の話だ。

そうだったのか。。。

笹やんは…、少年・笹やんの時代に酒の味を一通り覚えて
しまっていたのか・・!

それも日雇い人夫らと車座になっての酒盛り…

  ところがナァ…

と、笹やんは、ちょっと苦い顔になって話し出しました。

  そのうち誰か知らんが、見られて
  いたんだろうナ…。
  学校にチクりやがって。
  ある日、担任から「笹○、おまえ、
  下校途中に酒飲んどるそうやな?」
  と、いきなり言われた。
  ここは正直に「はい」と答えたら、
  「おまえ、まだ13やろ?」と言ってきたンで、
  また「はい」とだけ答えた。
  「どんな酒、飲んどるンか?」と聞かれたンで、
  ここも正直に飲んだ酒、全て答えた。
  そしたら担任は口開けたまま、何も言わずに
  突っ立っていた。
  まぁ、あの頃は、おおらかな時代だった。
  特に罰則を受けることもなく、
  「飲み過ぎるな」とだけ言われた。

僕らも、口を開けたまま、何も言えずに聞いていました。。。

しばらくして、スダさんが、

  そっか、13で酒の味を…
  そンじゃ、笹やん。
  オンナの味はいくつの時に
  覚えたんスか?

妙に前のめりな姿勢になって尋ねました。

すると笹やん、顎を左手で撫でながら答えました。

  そっちの方は普通だ。
  高校を卒業した翌年…、
  19の時だった。

  へえ!
  ンで、相手は?

  卒業後、地元の中堅の建設会社で
  働くことになったわけだが、
  そこに勤めていた事務員の女、
  あの頃、確か23歳だか24だったか。。
  オレより4、5歳上だったはずだ。
  で、その女が実に好きモノでなぁ…。
  いやぁ、絵に描いたような好色女だった。

ここで僕ら全員、前のめりになるのでした。。。

  働き出して半年経った頃、向こうから
  「奢ってやるから晩メシを付き合え」と
  言ってきた。
  オレは別に断る理由もないし、
  奢ってもらえるならと、ついて行った。
  で、メシ食った後、ラブホへ連れて
  行かれた。

ガタっ!! ここで、聞いていたバイトの一人が興奮したのか、
紅茶のペットボトルを倒します。。。

  うわっ!

  わっ! わっ!

テーブルの上にこぼれた紅茶を避ける者、それをティシュで
拭き取ろうとする者など、一時中断しましたが、すぐに再開。

  少し酒も入っていたし、ラブホへ
  入るのも初めてだったオレは、
  とにかく女に任せっきりだった。
  何しろ稀代の好色女だ。
  「ここは、こうしろ。それで、ああしろ」と
  手取り足取り、いろいろ指示してきやがってナァ。。。
  その後、半年間、いや、8ヵ月は付き合ったかな。。。
  会えばラブホへ行くか、その女の部屋にも
  何度か入れてもらったことがあった。
  一晩に3回も要求して来る時もあってナァ。。。
  あの女と会う前に、オレは必ず生玉子を3個、
  飲んで出掛けたもんだ。

そう語る笹やんの手元のかっぱえびせんは、既に空っぽに・・

そうだったのか!

絶倫・笹やんを仕込んだ女!

それが稀代の好色女だったってワケか!

と、ここでスダさんが、ピーナツ入りの柿の種を取り出しました。

その柿の種は、個装タイプになっていて、スダさんは開封した
袋を口に持っていき、一気に口の中へ入れ、バリバリ、ポリポリ
音を立てて食べ始めました。

  お!
  旨そうだな、スダ。
  オレにも一つくれ。

笹やんが、そう言って、スダさんの方へ掌を差し出しました。

スダさんは口を動かしながら、柿の種の個装を一つ、笹やんへ
渡しました。

そして、スダさんが尋ねました。

  それで、その女とは?

  大分の別府で、中古車販売店を
  経営している男にプロポーズ
  されたとかで、そっちへ嫁いで
  行った。
  別にオレは、不思議なくらい
  サバサバしていた。
  向こうも遊び半分でオレと
  付き合っていたんだろう。
  それからオレは20代後半になった
  あたりからモテ期に入った。
  これも不思議なくらい女が言い寄って
  きたり、こっちから仕掛けても
  ほぼほぼ攻略できた。
  思えば、あの好色女のおかげかも
  知れんナァ…。

と言って、笹やんは、スダさんの真似をして、柿の種一気食い。

  おぅ!
  旨いな!

ポリポリ言わせながら、笹やんが言うと、

  でしょ?
  柿ピーは、こうやって一気に
  食うのが一番旨いんスよ。

スダさんは、2つ、3つと続けて一気に食べていきました。

少年・笹やんから青年期にかけての酒と女の話。

とは言え、これは笹やんにとって、ホンの一部のお話でしょうね。

今、旨そうに「柿の種」を食べている笹やんですが・・

そのモテ期の頃、どンだけ「ガキの種」を撒き散らして
きたんでしょう…。
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