笹やん 名推理
午後2時過ぎ。
バイト先の冷凍食品センターへ、早朝から配達に出たトラックが
続々と帰ってきます。
笹やんのところに、3人のドライバーが集まってきました。
と言いますのも…
笹やんが担当している納品先のマンガ喫茶11店舗のうち、S店から
「発注した商品が届いていない！」という連絡がありまして…
その商品と言いますのは…
1.ミニホタテフライ
2.レンコンチップ
3.三色団子
4.エスニックベース
以上、4点が各1個ずつ。
こうした場合、「バラ詰め」と呼んでいますが、空いたダンボール
へ各商品を入れ、ダンボールには各種商品名と数量、それと納品
する店名を紙に書いて貼り付けることになっています。
S店から連絡を受けたのは午前9時40分頃…
笹やんは、間違いなくS店分のバラ詰めをしたと主張し、念のため
庫内在庫を確認しますと…
間違いなく、それぞれの商品は、S店受注分で出庫されており、
在庫数量に誤差はありませんでした。
そこで配達したドライバーへ、別の店舗に間違えて納品して
いないか、確認するように連絡しました。
この日、マンガ喫茶11店舗には、3人のドライバーにより
配達されました。
ここは仮に、Aさん、Bさん、Cさんとしましょう。
Aさんが、S店を含む5店舗へ…
Bさん、Cさんはそれぞれ3店舗へ配達しました。
センターから連絡を受けたAさんは、既に納品を済ませた店舗へ
逆戻りして、誤って納品されていないか確かめたのですが、
どの店舗にもなかったそうです。
そのあとAさんは、Bさん、Cさんへ連絡し、S店分のバラ詰めが
間違って、2人のトラックに積み込まれていないか確かめて
もらったのですが…
Bさん、Cさん、それぞれのトラックにはありませんでした。
3人とも、マンガ喫茶のほかに2～3件の納品先がコースに
含まれており、それらの配達を終え、こうして戻って
きたわけです。
もし、Bさん、Cさんのどちらかのトラックに積み込まれて
いたのであれば、これは笹やんチームの「積込みミス」に
なります。。。
間違いなく出庫して、S店分の
バラ詰めをしてる！
さらに、積込みミスもしていない！
ってコトで、オレのところでは
何も間違えていないっ！
と、力を込めて主張する笹やん。
マンガ喫茶以外の納品先へ配達したって
コトは考えられんのか？
センター長が、3人のドライバーへ尋ねました。
納品する店舗ごとに、それぞれ別の
カゴ車に商品を積んでいるから
間違えることはないと思うんスよね～。
それにバラ詰めだったら、カゴ車の
一番上に積まれているから、別の
カゴ車に積まれていたら一目で
わかると思うんスよね～。
と、Aさんが答えると、Bさん、Cさんも頷きます。
っつーことは、どういう
コトなんや？
腕組みしながらセンター長が、誰に問うわけでもないように
ポツリと言いました。
バラ詰めのダンボールって、
どんなダンボールですか？
今度はBさんが、笹やんに向かって尋ねました。
知らん！
オレが詰め込んだわけじゃないからな。
でも大抵、無地か別商品のダンボールだろ…。
とにかく、そこらにある空いている
ダンボールを使うだけだから。
素っ気なく答える笹やん。
だとしたら、S店の誰か知らんけど、
届いているのに、そのダンボールを
開けて、中を確認してもいないくせに、
ミニホタテとかレンコンチップとか、
届いていないって言ってんじゃねーの？
Bさんが言うと、
その可能性はあると考えた。
それでS店から連絡を受けた際、
各商品1個ずつなので、別商品の
ダンボールにまとめて入っているから、
それを確認してもらえますかと言ったら、
そんなダンボール自体見当たらないと
言っていたんや。
センター長が答えました。
････････････････････････
････････････････････
････････････････････。。
しばし沈黙…。
そして突然…
犯人は、この中にいますよ！
笹やんが、大きな声で言いました。。。
･･････････
･･････。。
ちょっと沈黙…。
やがて、やや唇を歪め、やや冷たい目で笹やんを見るセンター長。。
そして、呆気にとられるAさん、Bさん、Cさん。。
それから、このあとの展開にワクワクしている僕らバイトの面々。。
バラ詰めの商品は、ダンボールに
納品店名を明記した紙を貼っている！
一目見れば気づくはずです！
別の店に納品することはないでしょう！
今回のダンボールは、4品1個ずつなので、
さほど大きくないはずです！
笹やんは、妙にキリッとした目つきで力強く言い放ちます。
別のドライバーだろうと、本人だろうと、
S店以外で納品する可能性は、まず考えられ
ません！
そして、さほど大きくない箱…、
つまり…
と、ここで芝居っ気たっぷりに間を置き、鋭い目つきでAさんを
見据える笹やん。。。
隠しやすいってコトですよ！
なあ、A…。
おい、ちょっと待てよ、笹やん…。
おまえ、オレを疑っとるんか!?
即座に言い返すAさん。。。
わざわざ逆戻りして納品店へ
確認したとか言ってるけど、
おまえ、ウソついてるんじゃ
ねーだろうな…。
何でやねん！
それに、おまえ…
甘いモン好きだよな？
何でやねん！
完全に、笹やんから犯人扱いされているAさん…
と、そこへBさんが割り込んできました。
何や、笹やん。
おまえ、名探偵コナンになってるつもりか？
なあ？
でも、笹やんの場合…
見た目は子ども、頭脳は大人…じゃなくて、
見た目はオジン、頭脳は子ども…だよな…。
ワッハッハッハー☆
ここでセンター長や、Aさんたちドライバーだけでなく、
僕らも爆笑。。
これに、ちょっとムッとした様子の笹やんが、続けて言いました。
おまえ…、確か高校生の息子が
いるって言ってたよなぁ…。
ミニホタテやレンコンチップは
弁当のおかずになるよなぁ…。
もはや呆れ返って何も言えないAさん。。。
これに代わって、Bさんが口を出します。
おうおう、笹やんの名推理や！
オンナ好きの笹やん…
江戸川コナンやのうて、
“エロ”川コナンの“迷”推理や！
ワッハッハッハー☆
またまた爆笑…。
その時です。。。
あの～、コレ…
バイトのナカモリさんが、何やら両手に持って、笹やんの方へ
近づいて行きました。
何や？
イラっとした様子で、ナカモリさんを見て言う笹やん。
ナカモリさんが持っているのは無地のダンボールでした。
その中には…
ミニホタテフライや三色団子など、S店の納品分の商品が
入っているではありませんか…。
何っ!?
目を剥いて驚く笹やん。。
作業場の隅っこに落ちてました。
貼紙、剥がれてどっか行っちゃった
みたいで…
ぼそぼそと小さな声で言うナカモリさん。。
そうです！
今回は、笹やんチームの極めて単純な「積み忘れミス」です。。。
積込み後の検品をしろって
言っとるにもかかわらずッ！
センター長から怒号を浴びる笹やん…
そしてこの後、笹やんは…
Aさんら3人から、フクロにされるのでした…。
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バイト先の冷凍食品センターへ、早朝から配達に出たトラックが
続々と帰ってきます。
笹やんのところに、3人のドライバーが集まってきました。
と言いますのも…
笹やんが担当している納品先のマンガ喫茶11店舗のうち、S店から
「発注した商品が届いていない！」という連絡がありまして…
その商品と言いますのは…
1.ミニホタテフライ
2.レンコンチップ
3.三色団子
4.エスニックベース
以上、4点が各1個ずつ。
こうした場合、「バラ詰め」と呼んでいますが、空いたダンボール
へ各商品を入れ、ダンボールには各種商品名と数量、それと納品
する店名を紙に書いて貼り付けることになっています。
S店から連絡を受けたのは午前9時40分頃…
笹やんは、間違いなくS店分のバラ詰めをしたと主張し、念のため
庫内在庫を確認しますと…
間違いなく、それぞれの商品は、S店受注分で出庫されており、
在庫数量に誤差はありませんでした。
そこで配達したドライバーへ、別の店舗に間違えて納品して
いないか、確認するように連絡しました。
この日、マンガ喫茶11店舗には、3人のドライバーにより
配達されました。
ここは仮に、Aさん、Bさん、Cさんとしましょう。
Aさんが、S店を含む5店舗へ…
Bさん、Cさんはそれぞれ3店舗へ配達しました。
センターから連絡を受けたAさんは、既に納品を済ませた店舗へ
逆戻りして、誤って納品されていないか確かめたのですが、
どの店舗にもなかったそうです。
そのあとAさんは、Bさん、Cさんへ連絡し、S店分のバラ詰めが
間違って、2人のトラックに積み込まれていないか確かめて
もらったのですが…
Bさん、Cさん、それぞれのトラックにはありませんでした。
3人とも、マンガ喫茶のほかに2～3件の納品先がコースに
含まれており、それらの配達を終え、こうして戻って
きたわけです。
もし、Bさん、Cさんのどちらかのトラックに積み込まれて
いたのであれば、これは笹やんチームの「積込みミス」に
なります。。。
間違いなく出庫して、S店分の
バラ詰めをしてる！
さらに、積込みミスもしていない！
ってコトで、オレのところでは
何も間違えていないっ！
と、力を込めて主張する笹やん。
マンガ喫茶以外の納品先へ配達したって
コトは考えられんのか？
センター長が、3人のドライバーへ尋ねました。
納品する店舗ごとに、それぞれ別の
カゴ車に商品を積んでいるから
間違えることはないと思うんスよね～。
それにバラ詰めだったら、カゴ車の
一番上に積まれているから、別の
カゴ車に積まれていたら一目で
わかると思うんスよね～。
と、Aさんが答えると、Bさん、Cさんも頷きます。
っつーことは、どういう
コトなんや？
腕組みしながらセンター長が、誰に問うわけでもないように
ポツリと言いました。
バラ詰めのダンボールって、
どんなダンボールですか？
今度はBさんが、笹やんに向かって尋ねました。
知らん！
オレが詰め込んだわけじゃないからな。
でも大抵、無地か別商品のダンボールだろ…。
とにかく、そこらにある空いている
ダンボールを使うだけだから。
素っ気なく答える笹やん。
だとしたら、S店の誰か知らんけど、
届いているのに、そのダンボールを
開けて、中を確認してもいないくせに、
ミニホタテとかレンコンチップとか、
届いていないって言ってんじゃねーの？
Bさんが言うと、
その可能性はあると考えた。
それでS店から連絡を受けた際、
各商品1個ずつなので、別商品の
ダンボールにまとめて入っているから、
それを確認してもらえますかと言ったら、
そんなダンボール自体見当たらないと
言っていたんや。
センター長が答えました。
････････････････････････
････････････････････
････････････････････。。
しばし沈黙…。
そして突然…
犯人は、この中にいますよ！
笹やんが、大きな声で言いました。。。
･･････････
･･････。。
ちょっと沈黙…。
やがて、やや唇を歪め、やや冷たい目で笹やんを見るセンター長。。
そして、呆気にとられるAさん、Bさん、Cさん。。
それから、このあとの展開にワクワクしている僕らバイトの面々。。
バラ詰めの商品は、ダンボールに
納品店名を明記した紙を貼っている！
一目見れば気づくはずです！
別の店に納品することはないでしょう！
今回のダンボールは、4品1個ずつなので、
さほど大きくないはずです！
笹やんは、妙にキリッとした目つきで力強く言い放ちます。
別のドライバーだろうと、本人だろうと、
S店以外で納品する可能性は、まず考えられ
ません！
そして、さほど大きくない箱…、
つまり…
と、ここで芝居っ気たっぷりに間を置き、鋭い目つきでAさんを
見据える笹やん。。。
隠しやすいってコトですよ！
なあ、A…。
おい、ちょっと待てよ、笹やん…。
おまえ、オレを疑っとるんか!?
即座に言い返すAさん。。。
わざわざ逆戻りして納品店へ
確認したとか言ってるけど、
おまえ、ウソついてるんじゃ
ねーだろうな…。
何でやねん！
それに、おまえ…
甘いモン好きだよな？
何でやねん！
完全に、笹やんから犯人扱いされているAさん…
と、そこへBさんが割り込んできました。
何や、笹やん。
おまえ、名探偵コナンになってるつもりか？
なあ？
でも、笹やんの場合…
見た目は子ども、頭脳は大人…じゃなくて、
見た目はオジン、頭脳は子ども…だよな…。
ワッハッハッハー☆
ここでセンター長や、Aさんたちドライバーだけでなく、
僕らも爆笑。。
これに、ちょっとムッとした様子の笹やんが、続けて言いました。
おまえ…、確か高校生の息子が
いるって言ってたよなぁ…。
ミニホタテやレンコンチップは
弁当のおかずになるよなぁ…。
もはや呆れ返って何も言えないAさん。。。
これに代わって、Bさんが口を出します。
おうおう、笹やんの名推理や！
オンナ好きの笹やん…
江戸川コナンやのうて、
“エロ”川コナンの“迷”推理や！
ワッハッハッハー☆
またまた爆笑…。
その時です。。。
あの～、コレ…
バイトのナカモリさんが、何やら両手に持って、笹やんの方へ
近づいて行きました。
何や？
イラっとした様子で、ナカモリさんを見て言う笹やん。
ナカモリさんが持っているのは無地のダンボールでした。
その中には…
ミニホタテフライや三色団子など、S店の納品分の商品が
入っているではありませんか…。
何っ!?
目を剥いて驚く笹やん。。
作業場の隅っこに落ちてました。
貼紙、剥がれてどっか行っちゃった
みたいで…
ぼそぼそと小さな声で言うナカモリさん。。
そうです！
今回は、笹やんチームの極めて単純な「積み忘れミス」です。。。
積込み後の検品をしろって
言っとるにもかかわらずッ！
センター長から怒号を浴びる笹やん…
そしてこの後、笹やんは…
Aさんら3人から、フクロにされるのでした…。
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