________________________________________________________________________

笹やん 猿芝居

バイト先の冷凍食品センターでは、年末年始のバタバタで
商品の破損が多発し、一部の納品先において、外箱がひどく
潰れた状態の商品や、パッケージが破袋した商品が納品され
てしまい、それによって、クレームも多発しました。

で…

この前の月曜日から今日まで、本社の流通管理部商品管理課
という部署から、連日、課員がこのセンターへやって来て、
センターの各社員が管轄する納品先ごとの作業状況を視察、
チェックすることになったそうで…

今日は商品管理課の課長が、10時頃から来て、我らが笹やん
をチェックすることになっているようです。。。

その課長と言う人は、小柄ですが気取った感じの、いかにも
エリートっぽい人で、何やらイチイチ手帳に書き込みながら、
何やら冷たい感じの目つきで、笹やんや僕らバイトの動きを
チェックしてるみたいです。

課長の傍についているセンター長も、緊張の面持ちで黙って
その様子を見ているのです。

  ここのチームは大きな納品先がいくつか
  あるけど、出庫から仕分けまで、誰が
  どの段階でチェックしてるの?

そんな質問を笹やんへ投げ掛けるエリート課長。。

  ハイ、え~、まずは自分が、
  出庫票に基づき、商品が正しく
  出庫されているかを確認する
  のであります!

これに笹やんは、テキパキ、キビキビとした口調で答えます。
顔つきも、いつになく真面目です。。

  そのあと、仕分票に基づき、
  納品店舗別に商品を小分けして
  いくのであります!
  これはバイトたちに任せております!

キビキビとしてはいますが、棒読みです。。。

  そして、仕分け作業終了後に、
  納品店舗ごとに商品をチェック
  するのであります!
  これが積み込み前の最終チェックと
  なりなして、自分が行うのであります!

何でイチイチ語尾に“あります”と言わなアカンのや?

僕は、そんなコトを思いながら、ニヤニヤして聞いていました。。。

  そう…。
  それだけチェックしているのに、
  聞いたところでは、つい最近、
  ハンバーグで規格違いの商品を
  納品したそうじゃない?

まるで、目から冷凍光線を発しているような目線で笹やんを
直視しながら、何気ない口調で尋ねる課長。

これに対し、笹やんは、イヤらしい作り笑いを浮かべつつ、

  ハア、あの…、その件につき
  ましてですが、ハンバーグだけでも
  何十種類もありまして…、
  その…、あの…、あの時は確か、
  チーズ入りハンバーグの20個入りと
  30個入りで…、
  同じ商品のくせに、何で入数を変えて
  いるのか意味がわからんのでありますが、
  これ、実に…、
  このぉ、何と言いますか…、
  紛らわしい限りでありまして。。

と、たどたどしく説明しています。

  紛らわしいのはわかるけど、
  そんな商品、他にもあるでしょ?
  とにかくアイテムが多くて、
  間違えやすい商品が多いわけだから、
  そのために2重、3重のチェック体制で
  やっているんでしょ?

サラリと課長に言われ、ちょっとムッとした目つきになりましたが、
すぐに抑え、笹やんは、こわばりつつもヘラヘラと作り笑いで、

  ハイ!
  あれから、積み込み前の最終
  チェック体制を強化することに
  したのであります!

そう答えました。

が…

実際、な~んも強化していないのでした。。。

この辺りで、センター長は口を歪め、無言のまま笹やんを
見ています。

笹やんに対して、おそらく、

  ようそんなデタラメばっか
  言えるナ、オメーは…。

とでも思っているのでしょう。。

  最終チェック体制の強化って
  言ったけど、その後ですぐ、
  混載のケースを積み間違えたでしょ?
  あれはどこの納品先だったかなぁ?

冷たすぎる課長の目線をモロに受け、笹やんは、こわばった顔で、

  ハア、あれですか…、あれですね…、
  あの、あれは…、アレ?
  ああ、確か、あれはドライバーの
  ミスだったと思いますね。
  商品を混載したケースを取り違えたと
  聞いていますが…。

そう答え、また作り笑い。。。

こうして笹やんは、商品管理課の課長の前では、品行方正な
社員であることをアピールしようとして…

ロクにチェックしてもいないくせに、2重3重のチェックを
実施しているような説明をして…

それも棒読み…、うつろな眼…、わざとらしい身振り…

さらに作り笑い。。

ぶっちゃけ、ヘタなお芝居です…。

たぶん、課長は既に、笹やんがルールを無視して作業している
ことを知っていると思います。

だからこんなにミスが多いわけで。。。

そんなことに気づかず、猿芝居を続ける笹やん…。

  さあ、私は詳細まで聞いていないので、
  ここでは何とも言えないけどね…。

課長は、そう言ってセンター長の方をチラリと見ました。

センター長は何も言わぬまま、ただ唇を歪め、立っているだけ
です。

おそらく、徐々に馬脚を現している笹やんに呆れ、何も言えない
のでしょう。。。

  まあ、何にしても、ミスを1件も
  起さないように出庫、仕分けの
  チェックをしっかりやってヨ。
  それと商品の取り扱いも気を付けてヨ。
  商品は資産であり、納品先は財産だからサ。
  お願いしますよ。

冷たい口調で課長に言われた笹やん…

  ハイ!
  チェック体制を完璧にして
  まいります!
  商品の取り扱いを丁寧にするよう、
  バイトたちに徹底させるつもりで
  あります!

そろそろ課長の話も終わる頃だと思って、少し緊張が解けたのか、
直立不動の姿勢ながらニッコリ笑って答えました。

が…

  けどさぁ、商品の破損件数、それに
  納品先からのクレーム件数、両方とも
  一番多いの笹○さん…、
  あなたの所だよ。。


  ぬぅ…。

課長に冷たく言われ、奇妙なうめき声を発する笹やん…

やはり、化けの皮が剥がれていました…。
にほんブログ村 オヤジ日記ブログへ
にほんブログ村




nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました