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笹やん 夢気分

昨日は天皇誕生日でしたが、バイト先の冷凍食品センター
の異端社員・笹やんの誕生日でもありました。

御年65となっても、顔艶よろしく壮健…っつーか、何だか
イヤらしさが前面に出ているって感じがしないでもない
ような…。

  えっ!?
  笹やん、とうとう65に
  なっちゃったの?

  へえ!
  そうかぁ…って、いくつまで
  働く気?

  ここのセンター、定年がないって
  言ってたけど、でも65歳になって
  働くってのも…。

  いやいや、元気なうちは働いて
  いた方がイイって!
  私もそうしたいわぁ~

  今時はそうかもね。
  特に笹やんみたいなタイプは、
  働くの止めた途端にボケそうで…

  キャハハ☆

熟年女子バイトの面々が、そんな話をしながら笑って
いるところへセンター長がやって来ました。

  よ~し、丁度、一段落
  ついたようだな。
  悪いけど、みんな集まってくれ。
  少し話がある。

そう言って、センター長が、笹やんを含めてチームの
バイトたちを作業場内に呼び集めました。

何の話だろ?って、全員、キョトン顔で、ぞろぞろと
集まりました。

  ええ~、ここにいる笹○さん、
  昨日めでたく65歳の誕生日を迎え、
  まぁ、本人に仕事を続けるかどうか、
  意向を確かめたところ、あと2、3年は
  続けるとの返答をもらいました。

と、センター長が言い終るや…

  ほぉ~~っ!

僕らバイト全員、そんな感嘆の声を漏らしました。。。

この場合の感嘆とは…

  スゴいね!
  ここからまだ2、3年も
  続ける意思があるなんて!
  さすが笹やん、元気だよナ☆

って言う意味でもあり、

  へぇ~、よく続けようと
  思うよねぇ…。
  もう年金暮らしでのんびりしても
  イイと思うのに…

って言う意味でもあり、まぁ、複雑ですね。。

チラッと笹やんを見ると、本人は至って澄ました顔で、まるで
他人事のように聞いているみたいです。

  但し…

センター長が、全員をゆっくり見渡しながら言いました。

  さすがにもうトシや!
  ここで働いてもらうのは有難いけど、
  現状の仕事を続けてもらうのはどうかと…

ここで、センター長の視線は、笹やんに留まりました。

それでも笹やんは、澄まし顔のまま。。。

逆に僕らバイトが、何らかの不安を覚えました。

  現状、ここの管轄はボリュームが
  格段に大きく、負担が多い。
  そこで、まずはオレの個人的な考えを
  言わせてもらうと、笹○はフォークリフトの
  操作が得意なんで、今、リフト専任の
  タカハシと交代してもらおうと思っとる。

センター長が、そう言った途端…

  ほぉ~~っ!

僕らバイト全員、再び感嘆の声を漏らしました。。。

この場合は、

  とうとう笹やん、担当
  外れちゃうか…。

って言う少し淋しい気持ちと…

  そっか、タカハシさんかぁ…
  彼、真面目だし、大人しいしナ。

って言う安心感も交じり、まぁ、複雑ですね。。


  だけど、まだ確定ではない!
  オレ自身、いろいろ迷っとる…。

と、センター長は、腕組みしながら言いました。さらに、

  話は変わるが、社員のフジエは、
  来年の3月末で退社することが
  決まっとる。
  アイツは、3月で62歳になるが、
  腰痛が酷くなっているらしく、
  これを機に辞めると言っている。
  ってコトで、ここの人材が不足する
  わけだ。
  本社には社員の補充を頼んであるが、
  これも確定ではない。

と言うと、

  ほぉ~~っ!

僕らバイト全員、3度目の感嘆の声を漏らしました。。。

  そうかそうか…、
  フジエさん、62歳になるのか…
  辞めちゃうンだ。。。

ここは全員、そんな思いを抱いたと思います。

で…

フジエさんが抜けた後、上手く社員が補充されたとしても、
まだ不慣れなので、すぐに担当を任せることができず…

その前に、ボリュームの大きな笹やんの担当を、しっかり者の
タカハシさんに繋げて、盤石にしておきたい。。

しかし…、しかしだ!

センター長の迷いは、僕らバイトにも、よくわかるのでした。

以前からセンター長は、

  ここの社員で、唯一まともなのは
  タカハシ一人だけだ!

と言っており、タカハシさんには一目置いているのです。

そんな彼ですから、得意先軒数、商品アイテム数が格段に
多い笹やんの管轄も、後任として充分勤まるだろうと
思います。

しかし…、しかしだ!

一方、リフト専任の仕事は、センターに入庫する全商品を
一手に引き受け、それらを格納し、さらに大口出庫商品の
全てを出庫しなければなりません。

これも多忙極まる仕事でして、格納ロケーション管理に
賞味期限の日付管理、さらに在庫管理、保管温度管理など
気を遣う点も多いのです。

それを…

それを、笹やんに任せられるか!?

このことです…。

このことに、センター長は大いに迷っているわけで。。

笹やんのことですから、入出庫の基本中の基本である先入先出
もロクに守らず…

平気で賞味期限日付を逆転させ…

さらには、格納ロケーションを無視…、在庫誤差もどこ吹く風…。

そうなれば、センター全体が混乱してしまうのです!

  ・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・。

センター長も、そして僕らバイトも、しばらく沈黙。。。

笹やんはと言えば、本音は現状のままでいたいはずです。

それを顔に出さぬよう、敢えて澄まし込んでいるようですが、
そりゃあ、間違いなくリフト専任は避けたいと思っているはず
です。

何しろ、専任は一日中、リフトを操作して、庫内のアチコチを
行ったり来たり…

バイトは男ばかりで、女子バイトと話す時間も大幅にカット。。

そんなの笹やんには、耐えられないはずで。。

  センター長、笹やんは
  今のままでイイと思うヨ…。

ここで、熟年女子バイトのリーダー的存在であり、笹やんチームの
ご意見番でもあるキノシタさんが、ポツリと発言したのです。

すると、それを合図に、女子バイトたちが一斉に頷き出しました。

  そうだよ。
  笹やんは専任、向いてないと
  思うナ…。

  今の担当は確かにボリュームあるけど、
  アタシらがフォローするんで☆

そんなコトを口々に言い出す熟年女子たち。

  オレもそう思います!
  オレ、笹やんと一緒に仕事したいッス!

と、若手バイトのリーダーである“狂犬”スダさんも力強く
言いました。

これに対し、センター長、何度も頷きつつ、

  そうか、みんながそこまで
  言うのなら…

そう言って、現状通りで行くことになりました。

ここで笹やん、実に晴れやかな顔つき☆

にんまり笑いながら、満足気に頷いていました。

ここまでバイトたちに慕われ、現状のままで続けられることで、
まさに夢気分…ってところじゃないでしょうか☆

が…

キノシタさんたちの本音、僕には少しわかるような気が…

現状の仕事のボリュームが、どれだけ大きかろうが、大変だろうが、
笹やんは今まで、まともに仕事してない!

なので、65歳だろうが、70になろうが、ぶっちゃけ関係ない!

熟年女子バイトたちとしては、真面目なタカハシさんより、
テキトー、イイ加減な笹やんの方が、ずっと扱いやすいと
いうだけの話なのです。。。
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