笹やん ハンバーグ
今朝、バイト先の冷凍食品センターの商品格納庫へ入ってみると、
収納されている商品が大幅に異なっていました。
季節の変わり目ということもあるのか、得意先もメニュー変更、
取扱品の見直しなどが行われているようで、これに伴って
センターに収納する商品や、在庫数量も変更されるわけです。
それにしても、エラい
変わりようやな…
ホントに初めて見る商品が多く、戸惑ってしまいました。
で…
こんな時期は、特に注意しないと出庫間違いなどのミスが
多発する時期でもあり…
そんなミスを多発させるのは…
おい！ハヤカワっ！
これ違うやろ！
庫内の作業場で、笹やんの罵声があがりました。
バイトのハヤカワさん…
27、28歳の彼は、その年齢にしては頼りなさげな外見で、背は低め、
顔色は浅黒いのですが、別に健康的と言うわけじゃなく、はっきり
言っちゃえば冴えない…って感じ。。。
顔立ちは、どことなくミャンマーとかカンボジアの人を思わせる
つぶらな瞳の持ち主で、愛嬌のある顔だと思います。
あまり人と話をすることがなく、控えめな性格ですが…
やたらミスが多い人です。。。
笹やんの悩みのタネの半分は、ハヤカワさんのミスだと言う
人もいるほどです。。。
あとの半分は、笹やん自身が原因だと言われています。。。
って言うか、これ、昨日も言ったじゃんねー！
このハンバーグは×××の専用品って言ったろ！
○○屋のハンバーグはグリルMとJ-115の2種類だ！
オマエが出してきたのはグルメだろ！
グルメじゃなくて、グリルだっつーの！
笹やんは、口から唾を飛ばす勢いでハヤカワさんを怒鳴りつけて
おり、ハヤカワさんは、まぶしそうな目つきでボンヤリと笹やんを
見ながら、飛んでくる唾を顔に受け、ただ突っ立っています。
って言うか、もうオマエはハンバーグの
出庫するなっ！
オマエのせいで出荷ミスが続いてまうやろ！
こう言われてもハヤカワさんは、薄笑いを浮かべながら、笹やんを
まぶしげに見てモジモジしているだけ…
僕らには、もう見慣れた光景です。。。
笹やんに叱られても、謝るわけでもなし、反省して気を入れる
わけでもなし…
ハヤカワさんは、ある意味、得体の知れないところがあるのです。
ひと言でハンバーグって言っても
どんだけ種類が多いか、オマエだって
知っとるやろ！
･･･････････
･･･････････
先月末から新しいハンバーグも何種類か
入ってきとるンやぞ！
オマエ、それら全部、わかっとるんか！？
･･･････････
･･･････････
それより、ここのセンターに今、何種類の
ハンバーグがあるか、オマエ、
わかっとるんか！？
･･･････････
･･･････････
笹やんの言葉を、薄笑いを浮かべながら無言で聞いているハヤカワさん。。。
実は、笹やんの言う通り、このセンターの在庫の中で最も多いと
思われるのは、ハンバーグです。
たぶん50種類以上のハンバーグが、このセンターに収納されていると
思います。
と言いますのも、ファミレス、喫茶店、フードコート、定食屋、弁当屋、
惣菜屋など、現代の外食、中食産業においてハンバーグは人気メニュー
のひとつであり、各得意先ごとに、それぞれ異なる規格のハンバーグが
取り扱われるわけで、しかも、一社につき何種類ものハンバーグが
取り扱われることになり…
こうなるともう、ひょっとしたら100種類ものハンバーグが、ここに
収納されていると言っても過言ではないほどです。
そのためか、出荷ミスもハンバーグが一番多いようです。
×××の出庫はエサキに任せろ！
やたらハンバーグの種類が多い得意先だし、
入れ替わりも激しいから…
そう言えば、エサキはどこへ行った？
笹やんが言ったエサキさんとは、このセンターの準社員的な存在の
40代の人です。
主にフォークリフトで商品の格納、出庫をしており、ここの最も
優れたリフトマンと言われています。
そんなエサキさんは、多種多様なハンバーグの格納、出庫も
間違えることなくこなしてくれます。
そのせいか、エサキさんのことを「バーグマン」と呼んでいる
バイトもいます。。。
別にエサキさん本人は、ハンバーグを連想させるような体型とか
ふっくらした顔つきとかじゃありませんが…
あっ！いた、いた！
バーグマン！
エサキさんを見つけたらしく、中年女子バイトの一人が大声を
あげました。
ピーッ…
ピッピッピ…
フォークリフトの電子音を響かせつつ、エサキさんがこっちに
来ました。
そう！僕は宇宙のかなた、
バーグ星からやって来たバーグマン！
って、誰がバーグマンや！？
バーグマンと呼ばれると、エサキさんは時々、こんなノリをしてくれ
ます。。。
笹やんも思わず吹き出し、
わりぃけど、エサキ…
このグルメを片づけて、同じ数だけ
グリルMを出庫してくれや
と、エサキさんに頼みます。
○○屋の出庫分か？
どうせハヤカワだろ？
こういうミスするのは…
さすがエサキさん！ ハンバーグの商品名を聞いて、すぐに得意先が
わかり、ミスをしたハヤカワさんまで当ててしまいました。。。
おい、ハヤカワ！
オマエ、少しでも悪いと思ったら、
エサキについて、収納と出庫の
手伝いして来い！
笹やんに言われて、エサキさんのフォークリフトの後を追って、
格納庫に向かって行くハヤカワさん。
その様子を見送りながら、
ったく、アイツは何回同じ
ミスしたら気が済むんや！
そう言う笹やん。
この言葉、そのまま笹やんにハネ返っていることは、当人は全く
知る由もありません…。
ところで、今日の話には、こんなオチがありまして…
昼休み、食事を済ませて、しばらく時間があったので、センター内の
食堂で時間をつぶそうと思って入ってみると…
片隅でひっそりと、ハヤカワさんが食事をしていました。
何気なく見ると、近くの弁当屋で買ったハンバーグ弁当を食べて
いるようでした。
あれだけハンバーグで叱られても、
ハンバーグ食えるんやなぁ…
バイト仲間のヤノさんのひと言に、思わず笑ってしまいました。。。
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収納されている商品が大幅に異なっていました。
季節の変わり目ということもあるのか、得意先もメニュー変更、
取扱品の見直しなどが行われているようで、これに伴って
センターに収納する商品や、在庫数量も変更されるわけです。
それにしても、エラい
変わりようやな…
ホントに初めて見る商品が多く、戸惑ってしまいました。
で…
こんな時期は、特に注意しないと出庫間違いなどのミスが
多発する時期でもあり…
そんなミスを多発させるのは…
おい！ハヤカワっ！
これ違うやろ！
庫内の作業場で、笹やんの罵声があがりました。
バイトのハヤカワさん…
27、28歳の彼は、その年齢にしては頼りなさげな外見で、背は低め、
顔色は浅黒いのですが、別に健康的と言うわけじゃなく、はっきり
言っちゃえば冴えない…って感じ。。。
顔立ちは、どことなくミャンマーとかカンボジアの人を思わせる
つぶらな瞳の持ち主で、愛嬌のある顔だと思います。
あまり人と話をすることがなく、控えめな性格ですが…
やたらミスが多い人です。。。
笹やんの悩みのタネの半分は、ハヤカワさんのミスだと言う
人もいるほどです。。。
あとの半分は、笹やん自身が原因だと言われています。。。
って言うか、これ、昨日も言ったじゃんねー！
このハンバーグは×××の専用品って言ったろ！
○○屋のハンバーグはグリルMとJ-115の2種類だ！
オマエが出してきたのはグルメだろ！
グルメじゃなくて、グリルだっつーの！
笹やんは、口から唾を飛ばす勢いでハヤカワさんを怒鳴りつけて
おり、ハヤカワさんは、まぶしそうな目つきでボンヤリと笹やんを
見ながら、飛んでくる唾を顔に受け、ただ突っ立っています。
って言うか、もうオマエはハンバーグの
出庫するなっ！
オマエのせいで出荷ミスが続いてまうやろ！
こう言われてもハヤカワさんは、薄笑いを浮かべながら、笹やんを
まぶしげに見てモジモジしているだけ…
僕らには、もう見慣れた光景です。。。
笹やんに叱られても、謝るわけでもなし、反省して気を入れる
わけでもなし…
ハヤカワさんは、ある意味、得体の知れないところがあるのです。
ひと言でハンバーグって言っても
どんだけ種類が多いか、オマエだって
知っとるやろ！
･･･････････
･･･････････
先月末から新しいハンバーグも何種類か
入ってきとるンやぞ！
オマエ、それら全部、わかっとるんか！？
･･･････････
･･･････････
それより、ここのセンターに今、何種類の
ハンバーグがあるか、オマエ、
わかっとるんか！？
･･･････････
･･･････････
笹やんの言葉を、薄笑いを浮かべながら無言で聞いているハヤカワさん。。。
実は、笹やんの言う通り、このセンターの在庫の中で最も多いと
思われるのは、ハンバーグです。
たぶん50種類以上のハンバーグが、このセンターに収納されていると
思います。
と言いますのも、ファミレス、喫茶店、フードコート、定食屋、弁当屋、
惣菜屋など、現代の外食、中食産業においてハンバーグは人気メニュー
のひとつであり、各得意先ごとに、それぞれ異なる規格のハンバーグが
取り扱われるわけで、しかも、一社につき何種類ものハンバーグが
取り扱われることになり…
こうなるともう、ひょっとしたら100種類ものハンバーグが、ここに
収納されていると言っても過言ではないほどです。
そのためか、出荷ミスもハンバーグが一番多いようです。
×××の出庫はエサキに任せろ！
やたらハンバーグの種類が多い得意先だし、
入れ替わりも激しいから…
そう言えば、エサキはどこへ行った？
笹やんが言ったエサキさんとは、このセンターの準社員的な存在の
40代の人です。
主にフォークリフトで商品の格納、出庫をしており、ここの最も
優れたリフトマンと言われています。
そんなエサキさんは、多種多様なハンバーグの格納、出庫も
間違えることなくこなしてくれます。
そのせいか、エサキさんのことを「バーグマン」と呼んでいる
バイトもいます。。。
別にエサキさん本人は、ハンバーグを連想させるような体型とか
ふっくらした顔つきとかじゃありませんが…
あっ！いた、いた！
バーグマン！
エサキさんを見つけたらしく、中年女子バイトの一人が大声を
あげました。
ピーッ…
ピッピッピ…
フォークリフトの電子音を響かせつつ、エサキさんがこっちに
来ました。
そう！僕は宇宙のかなた、
バーグ星からやって来たバーグマン！
って、誰がバーグマンや！？
バーグマンと呼ばれると、エサキさんは時々、こんなノリをしてくれ
ます。。。
笹やんも思わず吹き出し、
わりぃけど、エサキ…
このグルメを片づけて、同じ数だけ
グリルMを出庫してくれや
と、エサキさんに頼みます。
○○屋の出庫分か？
どうせハヤカワだろ？
こういうミスするのは…
さすがエサキさん！ ハンバーグの商品名を聞いて、すぐに得意先が
わかり、ミスをしたハヤカワさんまで当ててしまいました。。。
おい、ハヤカワ！
オマエ、少しでも悪いと思ったら、
エサキについて、収納と出庫の
手伝いして来い！
笹やんに言われて、エサキさんのフォークリフトの後を追って、
格納庫に向かって行くハヤカワさん。
その様子を見送りながら、
ったく、アイツは何回同じ
ミスしたら気が済むんや！
そう言う笹やん。
この言葉、そのまま笹やんにハネ返っていることは、当人は全く
知る由もありません…。
ところで、今日の話には、こんなオチがありまして…
昼休み、食事を済ませて、しばらく時間があったので、センター内の
食堂で時間をつぶそうと思って入ってみると…
片隅でひっそりと、ハヤカワさんが食事をしていました。
何気なく見ると、近くの弁当屋で買ったハンバーグ弁当を食べて
いるようでした。
あれだけハンバーグで叱られても、
ハンバーグ食えるんやなぁ…
バイト仲間のヤノさんのひと言に、思わず笑ってしまいました。。。
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