ある職人さんが教えてくれたこと

今日、一緒に仕事してた職人さんの弟が、今月一杯で退職させ
られる…リストラされるという話を聞きました。

聞けば、大手電機メーカーの下請企業に勤めているそうで、
ま…、大手電機メーカー自体も経営が厳しくて、給与カットや
大規模なリストラを実施するなどの記事を新聞で読みましたが、
やはり、その下も打撃を受けることになるわけです。。。

って言うか、大手の下請ほどキツイ打撃を受けるんでしょうね。

　　しっかりした会社だから安泰だぁ…
　　なんて思ってたら、とんでもねぇコトだよ！
　　もうこれからは安定なんて望んじゃいけねぇ！
　　人生、不安定なモンだと思うことだ…。

その職人さんが、そう言っていました。

僕もその通りだと思います。

誰だって安定を望みますが、その保障なんて何もありません。。。

安定していると思い込んでいるだけなのかも知れません。。。


　　オリャ、ずっと大工仕事してきたし、
　　この先もコレで食っていくつもりだ…、
　　手に職つけてりゃ、何とかなる…、
　　今、そんな時代になっているみたいだ…

職人さんは、そんなことも言ってました。

聞けば、その職人さんは高校卒業後、親方から大工の仕事を
仕込まれ、30年近く、ずっと大工としてアチコチの現場を
渡り歩いているとのことで、休みもほとんどなく、家族旅行
どころか、外で食事をすることも滅多にないほど働いて、
奥さんと二人の娘さんを養ってきたそうです。

一方、弟さんの方は長期休暇もあり、賞与もありで、羨ましいと
思ったこともあったそうですが、

　　たとえ兄弟でも、人間、人と
　　比べちゃいけねぇな…
　　これが自分の生き方だと割り切って、
　　毎日生きていくしかねぇ…

そう思いを決めて、ひたすら仕事に励んできたそうです。

しかし、アチコチの現場を渡り、一見、不安定なように見えても、
結局、この職人さんは、今もこうして大工で食っているわけで…。

しかも、ちゃんと家族を養い、生活出来てるわけで…。


　　安定を望み、それにもたれ掛かるのではなく、
　　ひたすら自分自身を動かして生きていく…

僕は、その職人さんから、そんなコトを教えられたような
気がしました。

赤黒く焼けて、カサカサの顔…ベテランの大工の顔って
言うんでしょうか…、その職人さんに僕は、何とも言えない
好感を抱きました。

人懐っこそうな眼で僕を見て、いろいろな話をしてくれて、
今日だけ一緒に仕事することになりましたけど、是非また
どこかで一緒に仕事できるとイイな…。

僕は久しぶりに、何か温かいモノが胸の中で膨らんでいく
ような思いを感じました。

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タグ：リストラ 職人