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笹やん 救援隊

日曜だけバイトすることにしている冷凍食品センターでは、
取り扱っている商品の全てが冷凍品というわけではなく、
「常温庫」と呼ばれる、さほど大きくはない倉庫があり、
そこにはソース、つゆの素などの調味料やサラダ油が
保管されています。

で、今日…、

その常温庫内で、ハプニングが起こりました。

それは、ペットボトル入りのソースが破損して、
床がソースまみれになってしまったのです!

僕は冷凍庫内で作業をしていたので、その現場を
目撃してはいませんでしたが、聞くところでは、
ラックに収納されたパレット積みの、2リットル入り
ソースが6本ずつ入れられたケースを、パレットごと
フォークリフトで取り出そうとして、操作を誤り、
ラックの柱にパレットの角が引っ掛かり、その
はずみで、ソースのケースが4ケースほど、床に
落ちてしまったそうです。

衝撃で中のソースのペットボトルが破損し、
床上は見る見るソース色に染まっていったと
言うことです。。。


  やって… しまいました!
  やって しまいました!
  やってしまいました!
  やってしまいましたぁ───っ!!

この作業をしていたのは、社員の方でフジエダさんと
言う40歳ぐらいの男の人ですが、事故当時、大きな声で
そう叫んだと言います。


やがて、現場に居合わせていたバイトが事務所へ連絡した
ようで、センター長が冷凍庫へ入ってきて、笹やんを
呼びつけました。

  笹○…、ちょっと悪いけど、
  常温庫でフジエダがソースを
  破損させたから、掃除とか手伝って
  やってくれ!
  ここのバイト3人ぐらい連れて行け。

そんな指示を受けた笹やん、

  了解でっす!

軽く、そして元気に返事をして、僕らの方を見ました。

  おっし!
  アベくん、ヤノくん、それと…
  ナカムラくん。
  3人、一緒について来て!

と言うわけで、笹やんを隊長とした「常温庫救援隊」が
結成されました!

ピッピッピッピッ…、笹やんはフォークリフトに乗って、
冷凍庫の向い側にある常温庫へ向かって行きます。

ピッピッピッピッ…

ピッピッピッ… フォークリフトの電子音が勇ましく
響き渡ります。

でも、速度はムチャクチャゆっくり。。。

ピッピッピッピッ…

そのあとを、僕ら3人の即席隊員が徒歩でついて行きます。
トボトボとした足取りです。。。


ピッピッピッピッ…

トボトボトボ…

ピッピッピッピッ…

トボトボトボ…


そして、常温庫に到着!

そこでは既に常温チームのバイト2人がモップで
懸命に、ソースを一ヵ所に寄せ集めるようにして
床上を磨くような作業をしていました。

フジエダさんは、フォークリフトに乗ったまま、
茫然とした様子で、ボ───ッと、その作業を
見ていましたが…、

到着した笹やんに気づき、

  おぉ…、笹やん…
  ワリィなぁ、手伝いに来てもらって…

そう言うと、ようやく我に返ったように自分も
リフトから降りて、モップを手にしました。

僕ら即席隊員も、同じようにモップを使って
ソースを吸い取りつつ、寄せ集めつつ、そんな
作業を始めました。

それにしても、辺り一面、もの凄いソースの匂いです!!

ソース特有の、甘いような…、ちょっとツ~ンとした
ような、アノ匂いが充満しています!

ものの数分で気持ち悪くなってきました。。。

  うわぁ~、たまらんなぁ…
  この匂い… うえっ!
  気持ち悪うなってきた…!

と、ヤノさんが言えば、ナカムラさんも、

  この中に居っ放しじゃ
  ヤバいぞ。これ!
  ちょっと外出て、匂いのない
  空気を吸おう!

そう言って、僕らは時折、手を休めて外で深呼吸を
するのでした。


こうしてフジエダさんを含め、常温チーム3名と
僕ら3名の隊員が、何とか床上のソースを、ほぼ
寄せ集め、吸い取りました。

その間、笹やん隊長はフォークリフトの上で、
じ──ッと作業の進行具合を見つめているだけ。。。

ま、隊長ですから…。


濡れたモップを絞るローラーの容器もソースの色と
匂いが染みつき、それをパレットに乗せて、
フォークリフトで外へ運び出すと笹やん隊長が
言いました。

4つのローラー容器には、収集したソースで
いっぱいです。

僕らは、ゆっくりとパレットに乗せ、笹やん隊長に
運び出してもらうことにしました。


ピッピッ… ピッピッピッピッ…

笹やん隊長がリフトでパレットをすくい上げ、
外へ出て行きます。


ガタッ!ガタガタッッ!!

地面は舗装されていても、フォークリフトは
スムースに走行するわけではありません。

多少の振動があります。

これにともなって、ローラー容器の中のソースも
少し飛び跳ねて、地面にシミを作っていきます。。。


  オイオイオイ…、まさか、笹やん…、
  ここにきて、せっかく収集したソースを
  ぶちまけてしまうんじゃないだろうな…。

隊員たち誰もが、そんな心配をしていると、笹やん隊長、
それを察してか、フォークリフトを超徐行させました。

ピッ…ピッ…ピィピィッ…ピッ…

ピッ…  ピッ…  ピッ…

やがて敷地内の側溝へとたどり着き、僕らは一斉に
ローラー容器のソースを側溝へ流し込みました。

以上、笹やん救援隊、任務完了です!!


ところが…、

僕は帰りがけに聞いたのですが、近隣の住民から

  すげぇソース臭いぞ!
  何やったんだ?! おめーら!
  ああんっ?!

と言ったクレームが数件、寄せられてきたそうです。。。
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